2013年11月28日木曜日

北大時報で野外シンポジウムが紹介されました!

皆さん、こんにちは、片山です。
このブログでも既に紹介しましたが、今年、8月に天塩・中川研究林で、9月には和歌山研究林で野外シンポジウムが開催されました。その時の様子が、北大の学内向け広報誌「北大時報」に紹介されました!


天塩・中川編はこちら。
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/news/jihou/jihou1309/mokuji.html

エクスカーションの時に撮った写真が、表紙を飾っています!


和歌山編はこちら。
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/news/jihou/jihou1310/715_26.html

インターネット上で見れますので、是非ご覧になってください!


私の住んでいる名寄市では、今朝、今シーズン初めての除雪車が活動していました。ついに、冬が始まります。写真は北大研究林の北管理部です。ぜひ、極寒の冬にも、北大研究林に遊びに来てください!




2013年11月22日金曜日

札幌研究棟より~初冬

事務担当の山崎です。

札幌では、11月8日に初雪が観測されました。
平年より11日遅く、昨年(11月18日)より10日早いそうです。

現在の札幌研究棟の姿をご紹介します。


11月22日撮影
さ・・・さみしい姿に・・・・


9月はこんなにhttp://frs-kyoten.blogspot.jp/2013/10/blog-post_5664.html 葉が繁っていたのに、すっかりどこかへいってしまいました。
実も落ちてしまったようで、カラスとご対面することもなくなりました。



先日は業者の方にツタの剪定をしていただきました。


高所での作業、ご苦労様です

すっきりとした姿で、冬を迎えます。

2013年11月9日土曜日

野外シンポジウム@和歌山研究林 後編

こんにちは。再び佐伯です。前回に続き、和歌山研究林で行われた野外シンポジウムの様子をお伝えします。

〇森の足元でうごめくモノたち

 「♪ ミミズだーって、ヤスデだーって・・・♪」 そう、みんな生きているんです。友達なんです。
 不肖なわたしはついつい、このことを忘れてしまうのですが、土壌生態系について研究されている小林真(こばやしまこと)さんとお話ししていると、土壌動物の世界の奥深さに、しばしば驚かされてしまいます。このセッションでは、足元の土壌の様子、そしてそこでうごめく生き物たちの様子を学びました。


冒頭のポスター説明の様子です。
左のオレンジの服を着た方が、セッションを担当された小林さんです。
今秋より、中川研究林に来てくださることになりました。 (撮影:太田民久さん)


実際に土をほってミミズを探します。
植物の根がはっているので、森の土を掘るのってなかなか難しいんですよね。
実際にミミズが出てくると、「あ、いた!」という声があがりました。

採集した土壌を水の中でふるいにかけ、団粒構造の様子を観察します。
ゆーらゆーら揺らしていると、だんだん、土の構造が見えてくるんですよ。
 (撮影:太田民久さん)
〇幹だって呼吸する!

このブログで再三、おもしろい記事を書いてくださっている片山歩美(かたやまあゆみ)さん。いつも明るく周りを盛り上げてくれる彼女は、みんなの人気者です。でもそれは、彼女のほんの一面にしかすぎません。彼女は、「森林の炭素循環」を専門とする、バリバリの研究者なんです! 
 樹木は葉や幹や枝で呼吸をし、また葉の光合成を通じて二酸化炭素を吸収して酸素を大気中に放出しています。片山さんのセッションでは、この基本的かつ重要な仕組みを調べるための調査を体験しました。

 
片山さん(手前、青とピンクのジャケットの方)が、ご自身でつくられたという測定機械を
幹にあてて、幹の呼吸速度を測定します。いろいろな大きさの樹木を測って、
呼吸速度の違いがないか調べてみました。(撮影:太田民久さん)

〇樹木の形はどうして決まる?

このセッションでは、ジャングルジムという、樹冠観測用のタワーにのぼって、アカガシの梢(こずえ)の様子を観察しました。一見、同じように見える樹木の枝葉ですが、よく見ると、樹木のどの場所についているかで形が変化しているんですね。ジャングルジムに登って、実際に枝や葉を採集し、室内で特徴を計測してその違いを学びました。

ジャングルジムにのぼっていく学生さんたち。

室内での作業の様子です。実際に葉をもちかえって、担当の長田典之さん(苫小牧研究林)から、
葉の大きさや枝の計測の仕方を学びます。
長田さんは、ジャングルジムなどを使って、樹木の葉や枝の形態を明らかにするご研究をされています。



あ、妖精さん?!  (ジャングルジムにときどき出てきてくれるらしいです!)
 

〇光でみる葉っぱの健康

さてさて、野外シンポジウム、ほんとに盛りだくさんで楽しいですね。最後にご紹介するのは、中路達郎(なかじたつろう)さんのセッションです。中路さんは、リモートセンシングという光学技術を使って葉の様々な形質を測定する研究をされています。セッションでは、実際にヒサカキの葉を使って、厚さや色、葉緑素の量などを測定し、環境の違いが植物の葉の性質にどのような影響を与えるかについて考えました。

異なる環境で育ったヒサカキのシュート(枝と葉)をならべて、次々と形質をはかっていきます。
はかったデータを白板に書き出していきます。 むむっ。なにか傾向はあるかな?
セッションの行われた展望台からの風景です。
澄み切った青空と、美しい風景に囲まれて森のことを考える -
野外シンポの醍醐味ここにあり、といった感じですね。

このあと、恒例のアンビシャスセッションが行われ、参加学生さんたちのとっても「アンビシャス」な研究計画が発表されました。懇親会も盛り上がり、スタッフ、学生の垣根を越えて交流の輪が広がりました。

みなさん、新学期に入ってそれぞれの生活に戻られていると思います。野外シンポでの体験が参加してくださった学生さんたちの心に長く残ってくれたらうれしいです。またどこかでお会いできるのを楽しみにしています!

どんぐりポーズで記念写真。
(もちろん、ジャングルジムで観察したアカガシのどんぐりですね!)

参考URL

和歌山研究林の野外シンポ報告ウェブサイト
http://www.za.ztv.ne.jp/hokudai/yagaisymposium/2013.html
※こちらもぜひご覧ください。 きれいな写真がたくさんのっています!

北大研究林野外シンポジウムHP
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~yagai/bosyu/2013/

教育拠点事業 教員紹介HP
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~kyoten/member.html
※各教員の専門、研究室紹介などへのリンクがはられています。


2013年11月5日火曜日

野外シンポジウム@和歌山研究林 前編

みなさん、こんにちは。佐伯です。

今回は、9月23日~27日に和歌山研究林で行われた「野外シンポジウム ~森をしらべる~ 南紀―古座川(和歌山研究林)編」の様子をご紹介します。和歌山研究林、ブログ初登場です! 森も、川も、人々も、とにかく素敵な和歌山研究林。その魅力を、参加学生さんたちとたっぷり堪能してきました。記事を書いていたら、なんだか内容盛りだくさんになってしまったので、前編、後編の2回に分けてレポートします。



和歌山研究林の庁舎です。文化財にも登録されています。

野外シンポジウムとは、北大研究林が毎年開催している、学生さん向けのフィールド研究体験イベントです。今年は、天塩・中川(http://frs-kyoten.blogspot.jp/2013/09/blog-post.html)に続き、和歌山でも開催されることになりました。全国各地の大学から11名の学生さんが来てくださり、4泊5日の日程で様々なセッションを体験していただきました。


〇森林軌道にのって・・・
和歌山研究林はとても傾斜の急なところにあります。常緑広葉樹林と人工林が主体ですが、森の中を徒歩で行き来するのはとても大変です。そこで、研究林内には森林軌道というモノレール風の乗り物が設置されており、急な斜面をのぼったりおりたりできるようになっています。わたしも乗せていただきましたが、これは楽しい! 森林軌道から見える木々の風景は、足で歩くのとはまた違ってとても新鮮でした。


森林軌道。


〇コウモリたちの宴
夜には、和歌山大学の福井大先生に担当いただき、バットディテクターという機械をつかってコウモリの超音波をききとりました。「ピピポパポ・・・」 すごい! 宇宙人と交信しているみたい!! (ちなみにこれは、キクガシラコウモリの超音波をひろった音です。) セッションの後半には、福井先生がつかまえてくださったユビナガコウモリをみなで観察しました。野生の生きたコウモリを間近で見られるなんてそうありません。学生さんからは、とぎれることなく質問が出ていました。


ユビナガコウモリです。かわいい・・・。
(って、動物が出てくるたびに書いているような気がしますが、ほんとにかわいかったです。)

〇カルシウム足りてますか?
みなさん、カルシウム足りてますか? イライラしたとき、カルシウムとるといいっていいますよね(※) このカルシウムをとても必要とする生物がいます。それは、エビやカニといった甲殻類です。この殻をつくるのに、カルシウム、足りてないとダメなんです!
 カルシウムは、自然界では、土壌や水に溶けて存在しています。その濃度は土地によって様々なのですが、和歌山研究林は、カルシウムのとても少ない土地柄なのだそうです。でも不思議なことに(?)、スギが生えていると、地面に堆積した落ち葉中のカルシウム濃度が高くなり、エビやカニの数が各段に多くなります。この興味深い現象を研究されている苫小牧研究林の太田民久さん(博士課程3年)と一緒に、みんなでエビやカニを探す調査を行いました。


採集した石や落葉を仕分けながら、エビやカニ、ヒメフナムシなどを探します。ヒメフナムシは、やはりカルシウムを多く必要とする土壌性甲殻類です。セッションでは、川と陸、双方で探査を行い、
森林タイプと個体数との関係を考察しました。

あ、サワガニがいました! 赤ちゃんもいますよ!!! カルシウム、足りてるようですね。
(※:記事を書いたあとに教えていただいたのですが、イライラとカルシウムの関係には諸説あるそうです。)

〇哺乳類の痕跡調査
3班に分かれて、野生動物の痕跡を探しにいきました。班ごとに、それぞれタイプの異なる森林に出かけ、どんな場所に動物たちが暮らしているのか考えるのが目的です。現地では、シカの糞塊を探したり、自動撮影カメラにうつっていた動物を確認したりしました。普段はなかなか目にすることのできない動物たち。こうした調査を通じて、その様子を知ることができるのですね。


自動撮影カメラでとらえたシカの映像です。

セッションを担当された揚妻直樹(あげつまなおき)和歌山研究林長です。
揚妻林長は長年、シカ、サルをはじめとして多くの野生動物の生態を調査されてきました。夜のポスターセッションでは、和歌山研究林でみられる野生動物のハビタット調査の結果をご紹介くださり、
学生さんと熱いディスカッションが展開されていました。

〇空の上から眺めよう
 
和歌山研究林のある平井集落は、ゆずの生産で知られています。山あいの小さな集落ですが、歩いてみると、ゆず畑のほか、きれいな風景がたくさんあって、とてもここちよいです。このセッションでは、和歌山大学の院生の方々と一緒に、コンピューター上の地図情報を参照しながら、集落内をゆったり散策しました。うーん、いい天気で気持ちよかったです!


平井集落。


タブレット式のコンピューターに入った情報をもとに、集落を散策します。
ちょっとだけ寄り道して、平井集落オリジナルのゆずアイスクリームも食べに行きました。
(あ、書いちゃった!)
 
(後編に続く・・・)


参考URL
和歌山研究林野外シンポジウム報告サイト
http://www.za.ztv.ne.jp/hokudai/yagaisymposium/2013.html
※こちらもぜひご覧ください!

2013年11月2日土曜日

東京家政大 「元素動態を通した環境教育の実践研究」@苫小牧研究林

みなさん こんにちは。 苫小牧研究林の佐伯です。

今日は、先日、苫小牧研究林にて実施された東京家政大学のフィールド実習の様子をご紹介します。東京家政大学は、東京都板橋区にある女子教育を専門とする大学です。

実習では、研究林内を流れる幌内川(ほろないがわ)の源流から河口にかけて、複数の地点で水を採集し、その変化をとらえるという調査を行いました。


まずは、幌内川の源流地点で調査を行いました。とてもよいお天気で、緑もさわやかですね。

川のほとりに並んで、水や泥のサンプルを採集します。


電気伝導度など、水質の特性をはかる機器です。実際にデータが出ると、
目で見ているだけではわからない川の水の特徴がみえてきます。

河床の泥を採集して元素の分析を行います。この機械のお値段はなんと、〇〇万円だそうです!!!

パックテストと呼ばれる検査を行っているところです。
川の水を所定の薬品と反応させて、色の変化をみています。

東京家政大学の新関隆(にいぜきたかし)先生です。同大学の環境教育学科で「情報教育研究室」を運営されています。今回は、研究室に在籍する学生さんたちと実習に来てくださいました。もう何度も、北大研究林を実習で利用してくださっているそうです。ありがとうございます!
測定機器の使い方を実演される新関先生。

幌内川を河口にむかって移動していきます。下の写真は、上流から3地点目のところです。川幅もだいぶ広がってきました。水質の違いはどうでしょうか・・。


林道にバスを止めて、川のほとりにおりたちます。
水質や泥の元素分析など、測定する項目がたくさんあります。みんなで手分けして記録をとっていきます。

次は、研究林庁舎近くの橋のたもとです。ここは、一般の方々も散策ができるようになっており、園地や森林記念館などが整備されています。
橋の上での調査風景。

樹木園でちょっと休憩 ― シラカバに擬態(?!)して記念写真です。
女子大生さんは、やっぱり何をしてもかわいいですね!

 さあ、いよいよ研究林を出て、市街地の川の水質をはかります。
写真は、橋の上から水を採集するプラスチックケースをおろしているところです。
こういった場所では、生活排水なども川に流れこんでいると思われます。
研究林内の上流部とは、見るからに違いがありそうですね。

調査終了後は、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターを訪問しました。
ここでは、ラムサール条約登録湿地であるウトナイ湖の自然が紹介されています。


 
東京家政大学のみなさん、実習お疲れさまでした。よかったらまた研究林に来てくださいね。 参加してくださったのは、学部4年生の方々で、3月に卒業予定だそうです。近く、社会に旅立たれるみなさんの、さらなるご活躍をお祈りしています!


参考URL
東京家政大学 環境教育学科
http://www.tokyo-kasei.ac.jp/kankyo/index.php

苫小牧研究林
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~exfor/Toef/hp_j/0_top.html