2019年7月11日木曜日

森林圏学特論Ⅲ@雨龍研究林


森林圏科学特論Ⅲ&フィールドドレーニング

技術補佐員の大島です。

今年も2019年6月10日~13日に雨龍研究林で大学院生対象の「森林圏学特論Ⅲ」が行われました。今回ははじめての試みとして全国の学部生を対象とした森林研究のフィールド・トレーニングも兼ねての実習となりました。
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 この実習では、野生動物に関する科学的な調査法を体験、それらの生態学的な理論を学び、調査結果をまとめる一連の作業を通じて、理論・データ・解析・議論の関係など研究に関わる一連のプロセスについての理解を深めることを目標としています。

幌加内町母子里にある雨龍研究林
【1日目】
到着後、早速研究林内に向かい、まずは“ハリガネムシ”についての説明を受けます。
なんと、陸生昆虫に寄生して、その行動をコントロールするという虫・・・
それによって昆虫が魚類のエサにもなっているとか。自然界は複雑に絡み合っているのですね。 全員で周辺を探します。ハリガネムシや寄生されている虫は見つかるでしょうか??

 いたようです! ただの糸ではありません。宿主から出てきたハリガネムシがこちら。


場所を移動して、今度はネズミのトラップを仕掛けに行きます。
ネズミが通りそうなところに仕掛けて。明日はかかっているといいなぁ~

 そしてお次は、林内に設置されている赤外線カメラの回収。動物は映っているかな??

 作業はまだ終わりません。周辺のクローバーの葉を採取します。

 庁舎に戻り、回収してきたカメラの画像解析やネズミの頭数調査についての講義。

 赤外カメラにはシカ、ネズミ、コウモリ、人間などが写っていました。


 夕食は楽しく団欒タイム初日はトンカツのボリュームご飯です。
よく動いたのでみなペロリ、でしたね?!

夜は、班毎に解析した赤外カメラからのベストショット!を発表
この後、暗闇の中シカのライトセンサス(周辺のシカ調査)に向かいました。
遅い時間まで盛りだくさんの実習です。


【2日目】 

この日は早速、昨日しかけたネズミトラップを確認しに行きました。
ともにトラップに入っていた 左:エゾアカネズミ 右:エゾヤチネズミ
捕獲したネズミにはマーキングをして、フィールドに放しました。

 午後はブトカマベツ川で魚類調査実習です。魚を釣り上げる・・・のではなく、電気ショッカーで一時的に麻痺した魚を捕獲して調査します。

 ヤマメを観察用のミニ水槽に入れて、じっくりと観察。


 朱鞠内湖へそそぐ河口付近へ移動し、川の太さによって生息している魚の大きさがどのように違うかを見ます。仕掛けられた定置網には30センチを超えるウグイがかかっていました。 ウェーダーを着ていると、川の中を自由に歩き回れます。

 講義室に戻って、前日採取したシロツメクサの葉の実験の準備にとりかかりました。
動物の食害に対する植物の対抗適応を知るため、既にデータのある北大構内と札幌市内のシロツメクサと比べ、その成分に違いがあるかを調べます。

夕食をはさんで、結果が出ました。幌加内町のシロツメクサは他地域のものに比べて青酸反応のある個体は少ないようでした。

この日の夕食はハンバーグとエビフライ。豪華です♪

【3日目】
最後のフィールドワークは、河川でのベントス(底生生物)調査です。
川底の石を拾い上げ、付着している生き物をひとつひとつピンセットで収集します。
時折霧雨のぱらつく寒い気候の中、頑張りました。研究には体力・気力も必要ですね。

持ち帰った無脊椎動物試料を講義室で分類します。トンボやカゲロウなど陸生昆虫の幼虫もいれば、水生昆虫、一見小石にしか見えない生物もいるようでした。

最後の夕食はジンギスカン!ここでしっかり体力を回復して、明日の課題発表に備えます。
この後、夜中過ぎまで課題に取り組んだ班もあったようです。

【4日目】
いよいよ最終日です。
 今回の実習で収集したデータやその他の課題を班毎に解析、考察し、プレゼンテーションを行いました。
各班、力の入った発表で質疑応答も飛び交います。
時間をいっぱいまで使った課題発表をもって、4日間の実習は締めくくられました。
それぞれ異なった研究テーマを抱えた学生ですが、今回の実習を今後の研究生活に存分に生かしてくださいね!

この実習の担当教員
内海 俊介:内海研HP
揚妻 直樹:けだもの研究室
岸田 治 :岸田研HP 



2019年2月25日月曜日

第5回森林フィールド講座・日本海編 1,2日目



学術研究員の奥崎です.

2019年2月19日~22日に山形大学上名川演習林で開催されました「第5回森林フィールド講座・日本海編」についてご紹介します.
「森林フィールド講座」は学年・学部を問わず,全国の大学生が参加可能な森林初学者向けの実習です.今回は豪雪地帯である山形県庄内地方の産業と雪山を体験することを目的として開催され,全国から21名の学生が参加してくれました.


1日目(2月19日)


鶴岡にある山形大学農学部に集合して,酒田臨海地域の発電所に向かいました.火力,風力,太陽光,バイオマスの発電施設が集まっており,異なる仕組みの発電所を一度に見学できます.


はじめに酒田共同火力発電所株式会社で石炭による発電施設を見学させていただきました.


タービンのある館内は冬でも暑いです
石炭は空気に触れて発熱します.それを抑えるため重機で石炭の山をならします
つづいて合同会社JRE酒田風力の風車とメガソーラーを間近で見せていただきました.
5回転で一般家庭1日分の電力を生み出せるそうです
ソーラーパネルが延々と続きます
サミット酒田パワー株式会社では木材チップによる発電について解説していただきました.



チップを満載したトラックが垂直になり,チップが燃料タンクに投入されます.
 昼食後,鶴岡バイオマス発電所で地元の間伐材を利用したバイオマス発電を見せていただきました.規模の異なる発電の特徴・長所を実感できたのではないでしょうか.

こちらでは発電所のすぐ隣で木材をチップ化しています
湿ったチップは脱水されてからボイラー(写真正面)に運ばれます
いよいよ上名川演習林に向かいます.入り口から雪道5 kmを歩いて宿舎まで向かいます.



荷物は雪上車で運びます


途中に温度計が設置されており,積雪の上と中の温度をモニタリングしています
宿舎に到着したらガイダンスです.山形大学のロペス先生が立体模型を使って,演習林を説明しました.



夕食後にアカデミックワールドが開催され,再生可能エネルギーや森の動物についての講義が行われました.森林フィールド講座には全国の大学演習林(北海道・筑波・高知・琉球)からスタッフが参加しており,様々な地域のフィールドや研究について学ぶことができます.



同じくロペス先生による再生可能エネルギーの講義です
続いて筑波大学の杉山さんがヤマネの調査について紹介しました
2日目(2月20日)
かんじき履いて,いよいよ雪山調査がスタートします.
上名川演習林の新井さんからかんじきの結び方を教わります
雪崩の心配がない林内で斜面の積雪深を測ります.
急斜面を登りながら,雪の深さを測ります

帰りは滑り降ります
つづいてスキー練習です.クロスカントリー式のため,はじめての人も多かったです.


午後には上名川演習林で研究を行っている大学院生の研究紹介がありました.
安定同位体分析により樹木の水と窒素の利用について最新の興味深い知見が得られています
その後は夕食までアクティビティーです.
TAも加わり,全チームで雪合戦
スノーモービル体験.速すぎて上手く写真が撮れません
急斜面でそり滑り
夜のアカデミックワールドでは西日本の演習林が紹介されました.
高知大学の早田さんが嶺北フィールドを活用した教育を紹介しました.
次に琉球大学の外間さんが与那フィールドの自然について説明しました.
後半に続きます!

第5回森林フィールド講座・日本海編 3,4日目

3日目(2月21日)
この日は積雪断面の観察と雪の化学分析を行いました.午前中は重機で掘った積雪断面を利用して調査方法を学びます.
深さごとに雪の密度などを測ります
午後は学生達が雪を掘り,その雪質の測定とその化学分析を行いました.
樹木がないところは雪がたくさん積もります
pHや電気伝導率を測定しました
夜はその調査結果を班ごとに発表しました.




専門的な議論が飛び交いました


実は懇親会は毎晩行われていたのですが,最後の夜ということでこの日は遅くまで賑やかでした.


4日目(2月22日)
最終日は快晴です.宿舎を掃除して,スキーで下山します.


皆さんかなり上達しました

カモシカの子供にも会えました!

農学部に到着して解散です.


全員最後まで元気に楽しんでいただけたのではないでしょうか.第6回は夏に北海道大学の研究林で開催予定です.今回参加された方,そしてまだ参加したことない学生のご参加を心よりお待ちしております.