2025年2月13日木曜日

森林研究・フィールドトレーニング「ササの一斉開花・枯死が生態系・森林管理に与える影響」

 

2024828-30日に中川研究林で行われた森林研究・フィールドトレーニング「ササの一斉開花・枯死が生態系・森林管理に与える影響」について報告します。北大と信州大から2名の学生が参加してくれました。

 

道北では、2022-2024年にかけてササ(クマイザサもしくはその近縁種)が大規模に開花・結実し、その後枯死しました。このような大規模なササの一斉開花・枯死は生態系の様々なプロセスに影響すると考えられています。このプログラムでは、このササの一斉開花・枯死が生態系に与える影響について、ササが開花・枯死した現地を観察しながら、どのようなアプローチで探求できるかを考えました。

 

1日目は、中川研究林内の各所をめぐり、森林全体の様子、開花していないササの様子を見学したのち、2023年にササが一斉開花・枯死した場所、2024年に一斉開花した場所を見学しました。また、実験的にササを刈り払うことで、ササがいなくなることでおける生態系への影響を検証している試験地を見学しました。さらに、1960年代にチシマザサが一斉開花・枯死した後にその後の植生の変化がモニタリングされている場所(写真)も見に行き、ササが開花・枯死するこの植生への長期的影響についても議論しました。最後に、参加者で議論し、2日目にどのような調査をするかを考えました。その結果、2016年以降にササを刈り払い続けてササが消失している試験地で樹木の実生を調査することになりました。

2023年にクマイザサが開花・枯死した場所の見学

1960年代にチシマザサが一斉開花枯死した場所。今はもう背丈を超えるチシマザサが群生している



2日目は、前日に決めたササ刈り払い試験地で樹木の実生調査を実施しました。2m×2mの調査区を2016年からササを刈り続けてササが消失した場所と、ササを刈らずに残っている場所に3か所ずつ設置し、調査区内の樹木の実生の数を樹種別に数えました。ササがある場所には樹木の実生はほとんどありませんでしたが、ササ刈り区ではトドマツ、ハリギリ、イタヤカエデ、ダケカンバなどの実生がたくさん生えていました(写真)。中には、樹種がわからない実生もあったので、室内に戻ってから図鑑などで調べました。

実生調査の様子。林床には無数の樹木の実生が生えていて、数えるのが大変でした



3日目は、参加者2名で協力して、2日目の調査結果を入力・集計し、発表をしてもらいました。樹木の実生更新にとってササの存在の影響が非常に大きいこと、ササがない場所でも樹木の実生の数や種組成は異なっており、光環境などの環境の違いが影響したのではないか、といったことを考えてもらいました。

3日間、お疲れさまでした!

発表の様子。短い時間でよくまとめてもらいました


担当:鈴木・福澤(中川研究林)


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