2014年3月21日金曜日

2014年3月5日水曜日

冬の学校! in 九大北海道演習林 ほんとうに終わり

5日目 木質燃料~イグルー完成~講義・議論~反省会
充実の実習もついに最終日です。

これまで毎日コツコツと作ってきたイグルーを、午前中で完成させます。
だいぶ壁が高くなりました!
イグルー作りにもみなさん慣れてきて、各チーム、あうんの呼吸で雪のブロックを積んでいきます。


もう、中から体を出せないくらいに天井がせまくなってきました!


ついに、天井が作られます!!



最後のひとピースまであと少し!!


やったーーー!!!
無事に、みっつのイグルー(と王様のイス)が完成しました!!
氷の窓や玄関、テーブルまで、色んなデザインのイグルーが出来上がりました!
(とても申し訳ないことに、各チームのメンバーと出来上がったイグルーの写真を撮っていませんでした、、
遠目からの写真でゴメンナサイ、、

そして王様のイスが邪魔で、奥のイグルーが見えない・・・!!)



午後は薪づくりです。来年の実習でお風呂やストーブに使う薪を準備します。
まずは、チェーンソーで適度な長さに切っていきます。


次は斧を使って薪を割ります!日頃のストレスを薪にぶつけます!!
熟練者はいとも簡単に薪を割りますが、慣れていないと何度やっても割れません。
割れるまで何度も何度も、斧を振り下ろします。
スカっとわれたときの爽快感は素晴らしい!


最後に内業です。電気やガスの代わりに薪のみを使った場合、森林は持続可能でいられるのか?チームごとに、どの様に計算をするか議論を行い、発表をしました。これをもとに、レポートを提出してもらいます。

クリーンエネルギーとしてバイオマス(木質)エネルギーが注目されていますが、本当にそれは持続可能であると言えるのか?昨日、お風呂や食事等に使った薪の量と森林の成長量のデータから、持続可能性を検討します。

さて、結果はどうなのでしょうか?



余った時間で木登り体験です!
完成したイグルーの中で、とっても美味しいココアも飲みました!!
イグルーの中は、とっても暖かかったみたいですよ。


最後の最後、私も少し時間をもらってお話しをさせて頂きました!
皆さん(多分)熱心に聞いてくれて、とっても嬉しかったです。

実習はとても楽しく、普段できないような経験をたくさんすることが出来ましたね!
充実感や達成感をたくさん得ることができたと思います。
これからは、ここで得たものを自分の血と肉に変えて、充実した日々を送ってくださいね!!


6日目 解散!



長かった実習もついに終わります。
本当に素晴らしい実習でした!!!

皆さんからのレポートでは、

・様々な要因によって植生は決められているのだと実感した。
・降雪量や積雪量の差によって、動植物の生態が大きく変わるということがよく分かった。
(斜面の違いやオンネトーと演習林の違いなどのことですね。)
・植生が経時的に変化することを学んだ。
(3日目のアカエゾマツからトドマツ、広葉樹が混じってくる遷移についてですね。)
・雪崩遭難実習では、雪が持つ恐ろしさを体験した。自然の驚異を理解し、正しい知識を持つことが欠かせないと改めて感じた。
・樹木は人間や他の動物のように、生存のために様々な戦略を持っている。
・はたして化石燃料にかわって薪燃料などを使うことが本当に環境にやさしいと言えるのかということを考えさせられた。

など、冬山での行動や北海道の森林ついて多くのことを学んだようです!

ここでの出会いや学んだことを大切にして、これからも頑張ってください!
そして、また、北海道に遊びに来てね!!
(北大研究林にもぜひ♪足寄とは全然違う森があるから!)





後日談・・・。


近くの保育園のチビッコたちが、イグルーに遊びに来てくれたみたいです!これも、毎年の恒例行事になっているみたいです!楽しそう!!





HP紹介
九州大学北海道演習林

九大演習林は、福岡、北海道、宮崎の3つの地域のあります。それぞれのHP上で「通信」コーナーがあり、森にしかけた自動撮影カメラによる写真などを紹介していたりします。とっても面白いので、是非見てみてください!
わしっぷ通信(北海道演習林)、ささやま通信(福岡演習林)、あかぎ通信(宮崎演習林)
 

冬の学校! in 九大北海道演習林 完結編

4日目 例温帯落葉広葉樹林の観察~冬の生活技術


さてさて今日は、昨日習った地形図の読み方とコンパスを駆使して、自分たちで目的地を探しながら、演習林内の植生を観察していきます。


まず、演習林全体を見渡してみました。昨日のオンネトーとは全く景色が違いますね。
何が違うか分かりますか?そう、葉っぱがついている木がありません。
ここの森は落葉広葉樹林なんですね。
今では北海道でなかなか見ることができない、天然の落葉広葉樹林です。
昨日の森は天然林でしたが、常緑針葉樹林(アカエゾマツ)と針広混交林でした。
少し場所が異なるだけで、針葉樹が生育しない環境になります。
中央に見える濃い森は、針葉樹の人工林です。

「オンネトーと演習林の森が全然違うことに驚いた」、
という学生さんからの感想が数多く聞かれました。
同じ場所から見た夏の景色です。とっても美しい緑ですね。
季節により森は全く違う姿を見せてくれます。
ぜひ、夏にも北海道に来てね!!

さて、ここからは自分たちで行く方向を決めていきます。
もちろん、道なんてありません!地図とコンパスだけが頼り!!
まずは、自分のいる位置を定めます。



チームごとに行動します。チーム全員で地図を見て、行く方向を議論します。


さあ、どんどん進んでいきましょう!
ちなみに、この日の歩く手段は「スノーシュー」です。
あまり雪が深くないし、斜面も多いのでスノーシューが歩きやすいですね。



無事に第一目的地にたどり着きました!ここでお弁当♪
みなさん、気づきましたか?ここは全く雪がありませんね。南斜面なんです。
もともとこのあたりは積雪が少ない地域なのですが、斜面によってもその量に違いがあります。
南斜面では雪が積もってもすぐに溶けてしまうんですね。

というわけで、お弁当を食べるには南斜面が最適です!
ちなみに、ここに生育する樹木のほとんどがミズナラでした。

積雪がないと、冷たい空気が直接土壌を冷やし、土が凍ります。
雪の多い道北の北大研究林では、雪(=断熱材)があるために土が凍ることはありません。
ここでは、15cmの深さまで土が凍っていました。

土が凍るということは、樹木にとっては大きなストレスになります。
また、落ち葉の分解の速さにも影響するかもしれません。
斜面によっても土の凍り方は大きく違うかもしれません。

ここでは、南と北向き斜面でそれぞれプロットを作り、
樹木の種類や落ち葉の量、落ち葉の分解速度、落ち葉からの栄養供給などに関する研究が行われているとのことでした。

さて、午後は北斜面のプロットを目指します。
道なき道を、ラッセル(雪をかきわけて進むこと)をしながら登っていきます。

みんな(歩いた道やかかった時間は違うけど)無事にたどりつきました!
さっきの南斜面とは全く違う景観ですね。雪が深いです。
ミズナラだけでなく、他にも色んな木が生えています。

さてさて、ここからは演習林内にある標本小屋で電気を使わない冬の生活を経験します!



薪を使ってお風呂を沸かします!五右衛門風呂!
初めて五右衛門風呂に入りましたが、下からの熱と遠赤外線のせいか、
体がとっても暖かくなりました!!


今日は薪を使って自炊です。メニューは田代先生特製カレー!
様々なスパイスを入れてルウを作ります。
お米はかまどで炊きます!!


「電気を使わない」ので、灯りはサラダ油のランプを使います。
とっても簡単に作れるので、災害時にも役立ちそうです。

マルショウ技研の菅原社長による

北海道の暖房とカーボンニュートラル燃料についての講義の時間です。
みなさん、とても熱心に聞いていました。
ペレットストーブと薪ストーブの良い点・悪い点についてなども知ることができました。


カレー、うまいっっ!!
薪ストーブの上で長時間煮込んだので、手羽元もとってもやわらかくなっていました!



完結編のはずが、完結しませんでした、、
次回こそ、完結します!!




2014年3月4日火曜日

冬の学校! in 九大北海道演習林 後編

3日目
今日は雌阿寒岳のふもとにある野中温泉からオンネトー(湖)まで、山スキー(のようなもの)を履いて歩きます。ここは雌阿寒岳の噴火から森林が年を取っていく(遷移)段階が観察できる森です。



最初に現れるのはアカエゾマツの純林です。

アカエゾマツは、他の樹種が生育出来ない様な厳しい土壌環境でも生きていくことが出来ます。
火山が噴火した後に生育する、わりと新しい森です。

アカエゾマツが大きく育ってきた森の下の方では、小さなトドマツがたくさん生えています。

トドマツは、背の高いアカエゾマツが倒れて光が降り注ぐその時まで、地面に近い暗い森の中で、じっと時機が来るのを待つことが出来るんです。
同じ針葉樹といっても、全然性格が違うんですね。






ちなみに、これが森の下の方でアカエゾマツが死ぬのを待っているトドマツの子供です。
葉が幹に対して垂直に出ているのが分かります。
がんばって、少しでも多くの光を得ようと頑張っています。
小さく見えても、20歳くらいだったりします。
見かけによりませんね!


オンネトーに出ました!冬の間は雪に埋もれてしまいます。
皆さんが立っているその下に湖があります。
このあたりまで来ると、アカエゾマツだけの森から、トドマツやダケカンバなどが混じった混合林になります。
森が古くなっているんですね。
この写真が、夏のオンネトーです。青くて神秘的。とっても綺麗ですね!



オンネトー湖上で記念撮影!晴れていたら奥の方に雌阿寒岳が見えるはずなのですが、この日は天気が良くなくて見えませんでした・・・。残念!!

お弁当の時間です。実は、野中温泉で飼われている「チロル(通称:チロ)」が、ずっと私たちについてきていました!
そのチロのお目当てはもちろんおにぎり!
田代先生の前からじっと動かず、良い子のフリをして、おすそ分けがもらえるのをじっと待っています。
でも、結局、田代さんは、おにぎりをみつめるチロの視線には全く動じず、おにぎりはもらえません。 



そして、ターゲットを変えて学生にねだるチロ。
この後、無事におにぎりひとつ食べることが出来たみたいです。
良かったね、チロ!

次は雪崩遭難実習です。
まずはビーコン(電波発信機と受信機。雪崩で雪に埋まった人を探すときに使う)を実際に使ってみました。



次に、大きな穴を掘って、そこに入って雪をかぶせられ、雪の中に埋もれる体験です。
もちろん、口の周りは空間を確保して、息が出来るようにします。全員、雪の中に埋もれました。
この写真は、手本に内海先生が穴に入って、雪を上からかけられているところです。

これはただの記念写真ではありません!みなさんの下には私が埋まっています!!
どれだけ声を出しても、気づいてくれません。そして、全く動くことが出来ません。
(上に人が乗っているからではなくて、少しでも雪が被さると動けなくなりました。)
呼吸する分の空間は確保しているとはいえ、とても怖かったです。

一度だけ、雪の中に埋まっていく学生さんを助け出そうと(?)、
チロが必死に雪を掘り返していました。笑





ザラメ雪の斜面を必死に登ってみるのですが、なかなか上れません。
それでもなんとか、一歩一歩上がっていきます。

冬山は何をするにも、知識とテクニックが必要です。



帰ってきたらすぐにイグルー作りです。4人3チームに分かれて作ったのですが、チームごとに個性が現れていました。仕上がりをきれいにすることにこだわるチーム、役割分担がはっきりして手際よく作業を進めるチーム、形がとても個性的で大きなイグルーを作るチーム。

どんどんイグルーの壁が高くなっていきます。実習中に、完成できるかな?!

スタッフが手伝うと不公平になるので、スタッフは見ているだけ。というのも暇なので、スタッフで「王様のイス」を作ってみました!一番手前にある、後ろ向きのイス、分かりますか?!笑 


夕飯の後は(くたくたになりながら)もちろん講義です。
明日はオリエンテーリングを行うので、地形図の読み方とコンパスの使い方を内海先生から学びます。
明日、無事に目的地にたどりつけるかな~。


 長くなってしまったので、4日目以降は次の「完結編」で!



冬の学校!in 九大北海道演習林 前編

みなさん、こんにちは。今回は趣向を変えて、他大学でどの様な実習が行われているのか、潜入捜査をしてきましたので、その様子をお伝えしたいと思います。

潜入先は、九州大学北海道演習林で行われた「フィールド科学研究入門・冬の北海道プログラム」、通称「冬の学校」。学部を問わず、九大の1,2年生であれば誰でも参加できる全学共通科目「フィールド科学研究入門」シリーズの一つです。参加人数は限定12人!農学部はもちろん、文学部・歯学部・医学部・工学部など、多様な学生さんたちがはるばる福岡から北海道にやって来ました。

九大北海道演習林は(鈴木宗男・松山千春の故郷である)足寄町にあります。北大研究林のある道北とは違い、道東の十勝地方に位置します。十勝地方は、日高山脈や大雪山系で雪が落とされるので、十勝晴れといって冬は天気が良く、積雪は少ないのですが、その分、放射冷却によりとっても冷え込みが激しい地域です。

そんな道東の森で、どの様な実習が行われたのでしょうか?


1日目 帯広駅集合~然別湖コタン見学~スキー技術解説・冬の行動技術講義


まず、帯広駅に皆さん集合しました。そのまま然別湖へ!

バスでおよそ2時間かかるため、この間にアイスブレイクで自己紹介がてら、ひとりひとり、北海道について調べてきたこと(予習)を発表していきました。

テーマは自由だったのですが、皆さんそれぞれの視点で面白い発表が多く、例えば、北海道の地図を作ってきた人の歴史、スキーを日本で広めたレルヒ少佐について、佐賀の七賢人と北海道とのつながりについてなど、全てとても勉強になりました。



そしてついに然別湖に到着!然別湖は大雪山国立公園内にある湖です。ここでは毎年、冬になると湖が凍って、50㎝以上の厚さの氷が湖面を覆います。その上に、氷上露天風呂や教会、イグルー、アイスホテルなどが雪と氷だけで作られています。

なぜ、ここに来たか?それは、イグルーを見るためです。イグルーとは、雪を固めたブロックで作るエスキモーの人たちの家です。実習中にイグルーを製作するので、そのお手本を見に来ました!


とても綺麗ですね!ここにある氷は、然別湖から伐り出しているみたいです。
明日からのイグルー作り、がんばりましょう~!

庁舎に戻ってからは、スキー技術に関する講義と冬の行動技術についての講義がありました。雪の多い地域では、森を歩くことすら道具と技術、そして正しい知識が必要です。明日以降、ゲレンデスキー、山スキー、スノーシューなどの道具を使って山を歩きます。低体温症・凍傷・雪目・雪崩などの原因や回避法など、内海先生が教えてくださいました。


2日目 スキー技術実習~イグルー製作~講義(冬の行動技術)




2日目は、それに備えて1日中スキーの練習です!半分くらいの学生さんが滑ったことがないor修学旅行以来、とのことで、スキーがプロ級にうまいスーパー技術職員の幸子さんが、丁寧に教えてくれました!

まずは、転んで起き上がる練習からです!この時点で既に、起き上がれない人が・・・。笑



でも、午後になるとみんなスイスイ滑ることが出来るようになりました!

素晴らしい上達っぷり!!


この日はとても天気が良く、本当にスキー日和!

くたくたになって帰って来ても、休む暇はありません!

宿舎に戻るとすぐにイグルー作りが始まります。毎日2時間くらい作業をして、
4日目には完成させてイグルーの中でココアを飲まなければなりません!!

雪のブロックを作るところから作業は始まります。

みなさん、もちろん初めての経験なので、見よう見まねで作り始めました。
どうなることやら、心配、、


夕食の後は1時間程、北海道の環境と自然について、田代先生より講義がありました。明日は雌阿寒岳のふもとの森を山スキー(のようなもの)で歩きます。その森林についての解説です。また、久米先生から雪には色んな種類がある、というお話しも聞きました。みなさん、雪に種類があるということを初めて知り、とっても驚いていましたね!


後編につづく