2017年1月26日木曜日

森林研究・フィールドトレーニング「森林の物質循環と環境保全 」レポート その2

8/9(2日目) の続きからです。

研究体験では、グループごとに考えた次の3つの課題:「蛇紋岩植生と土壌」、「河川水質の形成」、「ササと樹木の関係」に取り組みました。ここからはグループごとに分かれての調査になりました。各グループに教員が一人ずつついてサポートしました。
パンケ山からははるかかなたに利尻山も見えました。


では調査風景を紹介していきます・・・2日目午後から3日目午前にフィールド調査を行いました。そして宿舎に戻ってからは測定、分析をしました。
 
 
林冠の様子。多様な樹種からなる天然林です。
一方の林床。一面ササが茂っています。これがこの地域の森林の特徴なんですね。数メートル進むのも一苦労です。そのササも調べたくなってきたようです。
一定エリア内のササを刈り取り、ササの量を測ろうとしています。
採ったどー!

樹木の葉を採ろうとしています。樹木の葉の形質とササの量の関係などを調べました。
水がちょろちょろと流れている河川源頭部にて採水しています。集水域内の数か所で採水し、その変化を調べました。

土壌も大事。サンプリングしました。
「さてどこから登ろうか?」 「どこでもササがあるなー」調査地点選定の様子です。こちらの二人は多地点で土壌サンプリングしてその化学性を比較しました。




宿舎に戻ってからは化学分析です。比色分析という、サンプルに試薬を加えて色の濃さから濃度を測定する方法です。溶存窒素濃度を測定しました。


色の濃さに違いが出てますね!結果が出てくるとまたわくわくしますねー!

ササの重量を測っています。

こちらはイオンクロマトグラフィー。水に含まれる陽イオン濃度を測りました。


3日目(8/10)の夜、翌日の発表に向け、まとめているところです。データから何がいえるか、PCや黒板に図を書いたりしながら考えて、考えて、考えました。

4日目(8/11)。いよいよこの数日間に調べた成果の発表です。

発表では、なぜそれを調べたのかという疑問や、その疑問をもった研究背景も示しつつ、研究の目的や仮説(予想)をたててみました。そして方法、結果、考察を示しました。考察とは前日に図を見ながら考えた「なんでそうなるの?」という部分です。結果は必ずしも当初の仮説とは一致せず、前日には皆けっこう悩んでいましたが、それぞれ面白い考察を示してくれました。少し紹介します。例えば、植物の生育には土壌の窒素量が影響するだろうと考えていたのが、実際にはそれだけでなく光条件も影響していることが分かりました。また、渓流水質は源頭部の100メートルほどの範囲内でさえも流下過程で変化していることから、その水が地下でどこを通過してきたのかが水質形成に影響していそうだと考えられました。さらに、標高や地質がことなる多地点で土壌窒素量を調べてみると、窒素形態の違いも含めて非常に変動が大きいことが示されました。とても興味深い結果です。時間が限られていたこともあり、すべての答えがはっきりと説明できたわけではありませんが、参加した学生さんは、「考えること」を体験しました。なぜだろう?と考えるのはまた楽しいことでもあります。いろいろ妄想が膨らみ、質疑応答も盛り上がりました。素晴らしかった!

4日間でまとめまで行うのは少しスケジュール的にハードだったかもしれませんが、少人数でフィールド調査をがっつり、かつ化学分析も行いました。どちらもできるのが物質循環研究の醍醐味であり、このコースの目指したところでもありました。体を使い、頭をちょっと(ではないか!)使い、という感じでしょうか。ここにきて実際にササをかき分けてみなければ分からないこともありますね。この研究体験を卒論研究にも生かしていただければうれしいです。またここで研究したくなったら、いつでもまた来てくださいね!あるいはこのページを見て、来たいという方も歓迎です。


おまけ)
コースはもう一日続きました。希望者はエクスカーションで、中川研究林を縦断しました。4日目の夕食は外でBBQを楽しみました。

シルエットだけですが、「イエーイ!」

数分後に日は沈みました。美しいので載せました。

8/12(5日目)、中川研究林縦断ツアー(中川町→音威子府村)です。初日に2か所巡りましたが、中川研究林のほんの一部です。縦断せずして中川研究林を理解したとは言えません。


研究林内を流れる琴平川。自然度の高い河川です。河に沿って上流まで歩きました。

すると滝がありました。青春ですね―。


絶景を見ながら弁当を食べました。ここは中川研究林の最奥地・分水嶺です。中川町側から音威子府村側へ入りました。また背中側にある谷はオホーツク海へ注ぎます。

音威子府側に抜けました。ここは照査法試験地。50年にわたり、樹木位置や直径が調べられ、森林の木材資源量の変化がモニターされています。手前の白い花は分かりますか?音威子府名産といえば○○です。

5日間のコースがすべて終了しました。音威子府駅で解散となりました。天気にも恵まれ、元気な学生が集まり、あっという間に過ぎた熱い1週間でした。(おわり)





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