2020年12月18日金曜日

森林研究・フィールドトレーニング「森林の物質循環と根っこの機能」

10月27-29日の日程で中川研究林で行われた森林研究・フィールドトレーニング「森林の物質循環と根っこの機能」について報告いたします。今年は新型コロナウィルス感染対策に万全の注意を払い、3日間の日程で実施しました。1名の参加がありました。限られた時間の中でしたが、北海道北部の森を感じ、根っこや土壌・養分に関するフィールド調査・化学分析体験を通じて、立地環境と細根の分布や形質の関係について考えました。

 

初日は森林を見学しながら、根っこや土壌の採取道具に触れ、地下の世界への扉を開けました。「剣先スコップ」は基本アイテムです。さて、ここはなんか様子が違いますが分かりますか?そう、ササを刈っている実験区のためササが生えていません。こんな歩きやすい森林は道北にはなかなかありません。

土壌断面を観察しました。上層の茶色の色が濃い部分がA層と呼ばれる有機物に富んだ層です。この表層には養分量が多く、根っこも集中します。

初日にはいろいろな体験をしました。森林内を流れる河川源頭部において河川水質を調べています。現地で調べることのできる携帯型のpH計、EC(電気伝導度)計を使って調べました。

(右)こちらが道北の森の実際の姿です。背丈以上のササの中がんばって穴を掘っています。
(左)洋上に利尻富士 を望むことができました!

中川研究林の面積の9割以上が天然林で、その大部分が針葉樹と広葉樹が入り混じった針広混交林です。手前がトドマツ(樹皮が比較的なめかなのが特徴)。今回のトレーニングでターゲットにした樹種です。下を覆うのがクマイザサです。数地点でサンプリングを行い、土壌養分量、根量や形質を調べてみました。

根を水を張ったトレイに並べてスキャンし、根長や直径を測定するところです。

土壌中に含まれる無機窒素成分を測定するために、土壌抽出・ろ過をしました。今回は、そのろ液に試薬を加えて発色させる「比色分析」を体験しました。







自分で立てた研究課題に沿って体験した内容についてまとめ、発表しました。

ここは長期観察林といい、40年以上の長期にわたって森林動態を調べている調査区です。この大木はエゾマツです。長期的な調査により、針葉樹が減少傾向にあることがわかってきました(おまけ)。
 
翌日、高標高地(>400m)で雪が降りました!何とか雪が降る前に終わってよかったー(主催者談)。斜面を覆っているのはササと低木。この標高でほぼ森林限界です。





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