2013年7月6日土曜日

森林科学総合実習Ⅰ @苫小牧研究林


みなさまこんにちは。特任助教の佐伯です。すこし前のことになりますが、苫小牧研究林に、農学部森林科学コースの2年生約40名が実習に来てくれました。今回は、実習4日目に行われた日浦勉(ひうらつとむ)教授による研究林紹介ツアーの一コマをレポートします。

1.野外実験から、生態系の営みを解き明かす
 苫小牧研究林では、日々、様々な野外研究が行われています。バスにのってまず向かったのは、「伐採・施肥実験区」とよばれるところです。ここでは、上層木の伐採を行う調査区、窒素施肥を行う調査区、その両方を行う調査区、何もしない調査区の4種類が設けられ、エンレイソウ類やユキザサといった林床植物が、光や土壌栄養分の変化にどのような応答を示すのかについて研究が行われました。現在、地球環境を脅かす要因として森林伐採や窒素過多などがとりあげられています。光や栄養の変化に対する生物の応答を知ることは、今後の森林の変化を予測する上で重要、というお話をうかがいました。
 

実験区の説明を行う日浦教授.あいにくの雨でしたが、学生さんは熱心に耳を傾けていました。
2.シカと生態系 ~バンビの長城~ 
 北海道ではシカが年々増加しており、森林への影響が心配されています。その影響は実際、どのようにはかることができるのでしょうか? 
 苫小牧研究林では、約20ヘクタールの森林を柵で囲い、シカを高密度で生息させる実験区と、シカをまったく入れない実験区の二つを設置しています。実験区の中の植生の違いは一目瞭然。シカの影響を把握し、今後の森林管理に活かす取組の一つを見ることができました。



シカ柵(通称:バンビの長城)の見学風景。中央より左側がシカのいない実験区、右側がシカを高密度で生息させる実験区。よく見ると、左側のほうが、植生がよく茂っているのがわかります。



エゾシカ。苫小牧研究林でも、個体数が年々増加しています。

 

3.樽前山の噴火と火山灰
 苫小牧研究林の森林は、約300年前に噴火した樽前山の火山灰の上に成り立っています。噴火時には、手のひらサイズの軽石がポンポン飛んできたとのこと。大きな穴の中に入って、火山灰や軽石に実際にふれてみると、当時の状況をより鮮明に想像することができます。約300年でできた土壌の厚さはわずか10cm程度です。成熟した生態系ができあがるには長い時間が必要なんですね。

 



穴を囲んで講義を受ける学生さんたち。軽石をおみやげに持って帰る人もいました。

 



母材である火山灰の上に、土壌が生成されています。
 
 
 

4.林冠クレーン
 次は、苫小牧研究林でもっとも大きな観測施設である林冠クレーンを見学しました。クレーンの周辺では、土壌や枝をあたためて樹木の応答を調べる温暖化実験などが行われています。日浦先生が、「クレーンに乗りたい人!」と聞くと、たくさんの学生さんが手をあげてくれました。いつか、実際にのって調査できる日が来るといいですね¥(o^0^o) ¥。

  
 
林冠クレーン(苫小牧研究林HPより)
 
 
5.川と森のつながり
 最後は、幌内川上流域に設置された河畔林実験区を見学しました。ドーム型の大きな骨組みの一面にシートをはり、川と森とのつながりを分断する実験をしたところ、水中の生物であっても陸上生物の多くを餌としていること、また陸上の生物であっても川の生物の多くを餌資源にしていることなどがわかりました。「生態系の保全や管理を考えるとき、森林だけ、川だけ、というのではなく、生態系同士、生物同士のつながりに配慮する視点を忘れないでほしい」という日浦林長からのメッセージで、本実習は締めくくられました。
 
幌内川におりたっての観察。川の水の味も堪能しました。
 

以上、ごくごくかいつまんで、実習の様子を紹介させていただきました。ご興味をもたれた方は、ぜひ以下のURLもご参照ください。
 
 
苫小牧研究林について


 
日浦教授の研究内容について


※苫小牧研究林では、学生さんの見学・訪問を随時受け付けています。
 


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