2013年10月12日土曜日

調査研究利用@苫小牧研究林   「コナラにおける花成制御遺伝子の発現変化」

 
こんにちは。苫小牧研究林の佐伯です。高知出張から戻ってきたら、エゾリンドウが咲いていました。もう秋なんですね。

今回は、研究利用で来林された岡山大学の谷岡千春(たにおかちはる)さんの調査風景をご紹介します。
谷岡さんです。とても楽しそうに調査されているのが印象的でした。

谷岡さんは、現在学部4年生。卒業論文のテーマである「コナラにおける花成制御遺伝子の発現変化」を調べるために、来てくださいました。苫小牧には、「OTCCOpen Top Canopy Chamber)」という実験装置のついたジャングルジムがあります。このジャングルジムの最上階には、コナラの一部の枝が透明の板に囲まれている空間があり、そこだけ1-2度、周囲よりも気温が高くなっているのだそうです。谷岡さんは、温められた枝につく花や葉で発現している遺伝子を調べ、温暖化に対する樹木の応答を推定する研究をされています。


 
ジャングルジムに登っていかれる谷岡さん(写真右上:赤い服の方です)。
 

登ってから下を覗くと、けっこう迫力があります。

でも、上を向くとこんなにきれいな青空が見えます。
 
そして横にはこんな方が・・・ (うわ~!!!)
 

あ、この方についてはまた別の回に説明しますね(笑)。
谷岡さんのお仕事はまず、コナラの実(=どんぐり)のついた枝を探すことです。今年はどんぐりが不作のようでした。でも、無事に必要な数のサンプルを採集することができたそうです。よかったです!

ジャングルジムでのサンプル採収。
写真だとわかりづらいのですが、谷岡さんは、透明の板に囲まれた「疑似温暖化」ゾーンで作業をされています。


どんぐり発見! もうこんなに大きくなっているんですね。(取材は9月10日に行いました。)

ん、届くかな?



採集したサンプルは、すぐに専用のチューブへ入れます。

調査には、谷岡さんを指導されている宮崎祐子先生も同行されていました。宮崎先生は、苫小牧研究林の日浦勉教授とともに、ジャングルジムを使った研究を10年あまり続けられているそうです。谷岡さんは、はじめてジャングルジムに登ったとき、宮崎先生のあまりに素早い動きについていくのがやっとだったとか。
 宮崎先生からは、「なまけもののように動いてください。」といわれているそうです。ゆっくり着実に、という意味ですね。そして、このアドバイスは、宮崎先生の恩師であった日浦勉教授からいわれていたものだそうです。
谷岡さんを指導されている宮崎祐子先生(岡山大学)です。
 
谷岡さんは、今回採集されたサンプルを岡山大学に持ち帰り、遺伝子解析されるそうです。温められた枝と、そうでない枝とで、遺伝子の発現の状況に違いはあるのでしょうか? 結果がとても楽しみですね。 がんばってください!



参考URL

岡山大学農学部森林生態学・緑地生態学研究室HP
http://www.agr.okayama-u.ac.jp/plantecology/index.html
※谷岡さんが所属されている研究室です。

苫小牧研究林HP
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~exfor/Toef/hp_j/0_top.html

日浦勉教授研究室HP
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~member/Hiura/index.html

※苫小牧研究林には、林冠にアクセスするためのジャングルジムが多数設置されています.利用を希望される方は、研究林スタッフまでお気軽にご相談ください.

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