2015年10月28日水曜日

筑波大学 公開森林実習 「天然記念物ヤマネ等森林性小型哺乳類の観察」

  北管理部の奥田です。遅くなってしまいましたが、昨年に引き続き筑波大の「ヤマネ実習」に参加してきたので報告します(昨年の実習の様子はこちらこちらをご参照下さい)。
 
 8月25日から28日(3泊4日)の日程で、長野県南牧村の筑波大学農林技術センタ―八ヶ岳・川上演習林で行われました。北大からは私が野ネズミ調査の講師として参加し、北大の学生も2名受講していました。その他、信州大学、静岡大学、京都大学などから合計14名の学生が参加しました。

筑波実験林の門脇先生の挨拶の後、オリエンテーション(八ヶ岳演習林の概要、安全講習や実習生活の注意点などの説明)があり、私が野ネズミの調査方法や個体数の推定方法など基礎的な説明をして、実際に構内に生け捕り罠(シャーマントラップ)を仕掛けました。参加者1人につき3個の罠を仕掛けてもらいました。(写真を撮り忘れました)

門脇先生のオリエンテーション

その後、門脇先生からヤマネの生態について講義を受け、これで1日目終了です。



2日目

 朝食前にネズミの調査です。前日に仕掛けた罠を回収し、実際に捕れたネズミを使い種の識別や性判定、標識方法などの説明をしました。昨年は比較的個体数が少なかったのですが、今年は多くのネズミが捕れました。

捕れたアカネズミ
罠を洗って調査終了


 朝食後、いよいよ川上演習林に移動してヤマネの巣箱調査です。午前、午後と500個ほどの巣箱を見て回ったのですが、ヤマネが居たのは1個だけでした。途中、古い巣材の入ったものやヒメネズミが入っていたものなどを見ることができました。見つかったヤマネは巣箱ごとケースに入れて実験室に持ち帰りました。

ソーっと覗いてみます
やっと見つけた!

巣箱に運び込まれた巣材(コケや地衣類、樹皮ならヤマネ)


調査の道中いろいろな植物も目に止まりました。

ヒトツバカエデ
フシグロセンノウ

夕食後はヤマネの夜の姿を観察するため、餌になる蛾などの虫をみんなで集め暗視カメラでモニター観察。



3日目

 前日与えた餌の様子を観察、ヤマボウシの実と蛾はほぼ食べられていました。クモは口に合わないのか、残されていました。その後、観察した個体は巣ごと元の場所に戻しました。そして、次は巣箱をかける高さによる、ヤマネによる使われ方の違いを見るため、高所(約6m)、普通の高さ(約1.5m)、地上近く(約0.5m)にかけた巣箱を見て回りました。

約6mの高さに掛けられた巣箱
高い巣箱を利用していたヤマネ

午後はラジオテレメトリーの体験実習。構内には秋の花がたくさん見られました。

受信機の音を頼りに発信機の隠し場所を探します
オミナエシ
ワレモコウ

最終日

 朝食後、宿舎の掃除を済ませセミナールームでまとめの小論文、皆真剣に取り組んでいました。





おまけ
 
 昨年は八ヶ岳を眺めつつ何もせずに北海道に戻ったのですが、今年は八ヶ岳の最高峰赤岳に寄り道してきました。あいにくの曇り空、雨が降る前にと、ちょっと早め(11:00)に演習林の車で野辺山の登山口(県界尾根)まで送って頂きました。目的は縞枯れとトウヒの林です。


登山道になっている防火線の入口(周りはカラマツの植林)
標高が上がるとシラビソの縞枯れが見られた
シラビソに混じってトウヒ、コメツガが見られた

 昼を過ぎると程なく雨が降り出し、視界が極端に悪くなったが、高山植物やカモシカに出会いました。赤岳の山頂には15:00頃に到着、頂上山荘に宿泊し、雨とガスで視界が効かないまま足元の植物を楽しみながら下山しました。
 
気が付くとカモシカ
トウヤクリンドウ
赤岳の山頂
キレット小屋のコマクサ
権現岳の手前の長いハシゴ場






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