2018年6月20日水曜日

森林圏科学特論Ⅲ@雨龍研究林

技術補佐員の田守です。
2018年6月11日~14日にかけて雨龍研究林で行われた、環境科学院の実習形式の集中講義「森林圏科学特論Ⅲ」についてご紹介いたします。

この実習には11名の学生が参加し、野ネズミやエゾシカの野外調査、カエルやサンショウウオの幼生の個体数と形態の関係性、昆虫類の遺伝的多様性と種多様性の分析など様々な森林動物について学びました。
最終日には調査・分析結果をもとにした研究成果を発表し合い、理論・データ・解析・議論など研究に関わる一連のプロセスについて理解を深めることができました。

1日目。
雨龍研究林宿舎に到着です。ここで4日間お世話になります。
 

部屋に荷物を運んだら、さっそく実習スタートです。
ガイダンス後、午後の実習で使用するトラップの準備です。


お昼休憩をはさんで、いざ動物たちの暮らす森へ。
齊藤先生の説明に熱心に聞き入ります。
班毎に分かれてトラップを設置します。
目印も忘れずに!
パンチューも設置。捕まって欲しいような欲しくないような・・・

鹿の足跡

足跡発見。よし、ここにカメラを仕掛けよう。


場所を移動して,今度は昆虫用のバケツトラップを仕掛けます。
パチンコを使って枝を狙います。

高さを変えてトラップを仕掛けます。
事前に仕掛けてあったこちらでは、ハリガネムシの調査をしています。
ハリガネムシ・・・寄生虫の一種なのですが、とてもおもしろい生活をしています。

豪華な夕食の後は、ライトセンサスです。
バスに乗り込んで暗闇を進みます。

何も見えませんが、ライトで照らす先にはシカがいます。
約1時間の調査で、 22頭のシカを発見することができました。


2日目。
1日目に仕掛けたトラップの見回りから始まります。

捕ったどー


逃がさないように慎重に袋に移して・・・


みる!


性別を調べて重さも量ります。
続いての実習はトンボ採集です。
あいにくこの時期の北海道ではまだ成虫を採るのは難しいので、今回はヤゴ採集です。
トンボ博士の山中先生に筑波からお越しいただき特別授業です。

こうやって足でガってやって・・・
先生のお手本の後は、川・湖・湿地の3箇所に分かれて採集スタートです。
どれどれいるかなー
(ミズバショウ育ちすぎー)
発見!
 
ヤゴかなーちがうかなー


結果発表はまた後ほど・・・


お昼休憩をはさみ、午後は魚類の調査のためブトカマベツ川へ向かいます。
調査のため雨龍研究林に滞在中の、京都大学の宇野先生・管野さん・由井さん・セーニャさんにご指導ご協力をいただきました。
電気ショッカーで魚を一時的に麻痺させて、そのすきに網ですくい上げます。
イワナやヤマメがたくさん捕れました。
上の白いバケツの中はクローブ油を少量垂らした水です。
この水で魚に麻酔を施し、その間に体長を計測したりします。

メスで小さい穴を開けて、そこからマイクロチップを埋め込みます。

口から水を注入して、胃内容物を吐き出させます。
小さい魚なのでプレッシャーのかけ方に要注意です。


台風の影響もあり雨の中での実習でしたが、みんな積極的に体験させてもらっていました。
なんでもウェーダーを着ると無敵になれるそうです。


ブトカマベツ川での調査の後は、岸田先生の両生類の講義です。

サンショウウオの幼生が入った容器と入っていない容器の
それぞれのおたまじゃくしを観察し、違いについて考えます。



下から見たり 横から見たり 定規で測ったり スキャンしたり 


最後に、この違いにはどんな理由が考えられるか発表し合いました。



夕食後、夜の講義はトンボ多様性について学びます。山中先生の開発した「トンボウォッチ」というアプリを使って、午前中に採集したヤゴの数で得点を競い合いました。


スマホをいじってサボってるわけではありません。



これは1点です。

優勝チームにはオリジナル缶バッチが!おめでとうございます。
3日目。
今日もトラップの見回りから始まります。
前日に習ったとおりにできるかな


ご協力いただいたネズミさんたちを森へリリースしました。
達者で暮らせよー
パンチューでも2匹捕まえましたが、こちらは捕殺トラップのため、この後の標本製作で・・・
まずは齊藤先生による実演


しっぽの長さや重さを調べて・・・


ハサミに持ち替えて毛皮を剥いでいきます。みんな真剣です。


完成

午後は内海先生による昆虫の講義です。
1日目に仕掛けたバケツトラップを回収して、さっそく中身を確認していきます。
トラップ毎に捕まえた昆虫を並べて、群集構造の違いを見ていきます。

仕掛けた場所や高さによって、入っていた昆虫も様々です。



群集を座標化し作図することで、群集構造の違いについて理解しやすくなりました。

夕食の後はいよいよ課題の準備に取り掛かります。
先輩の話だと徹夜もあるとかないとか・・・いっぱい食べてがんばろう!

最後の晩餐は豪華すき焼きです。
食後の団欒タイム
4班に分かれて、夜遅くまで準備しました。
先生から説明を受けて

パソコンとにらめっこ

4日目。
課題発表会。
4日間の成果を出し切りました。        他の班の発表にも積極的に質問をしたりしていました。


最後は初日に設置した自動カメラ映像の上映会です。
今回の結果は残念ながらあまり満足のいく映像ではありませんでしたが、過去の傑作集を見せてもらい、野生動物の行動を垣間見ることが出来ました。
 
おまけの熊
4日間という短い日程ではありましたが、とても濃厚で充実した4日間でした。
最後に記念撮影




0 件のコメント:

コメントを投稿