2017年8月15日火曜日

森林研究フィールドトレーニング「天然林と森林施業」

2017年8月4日から8日にかけて、雨龍研究林にて4泊5日で開催いたしました 森林研究フィールドトレーニング「天然林と森林施業」についてご紹介いたします。


自然にあふれる北海道ですが、研究林にはとくに天然林が多く残されています。

雨龍研究林の天然林の景観。参加してくれた2人の学生さんとともに

天然林には多くの希少な動植物が生息することから、その保全は大きな課題です。しかし、もう片方では、生態系の持続可能性に配慮しながら、そこから得られる木材を利用することも、北海道の地域にとって大きな意味を持っています。最近はとくに、内装や家具用途に用いられる広葉樹を中心とした天然林材の需要が高まっています。その期待に応えつつ、天然林資源を持続的に活用するためには、多様な構成樹種の特性把握と施業への応用、環境保全との調和など多くの工夫が必要です。

そのような課題に興味を持ってくれた学生さん2人が、遠路、研究林に来てくれました。5日間の日程。まずは最初の2日間は、じっくりと多くの天然林を訪れました。
ミズナラの天然林。ひとりはミズナラに興味が湧いたようです

こちらは大径木がある渓畔林。もうひとりはここにあるヤチダモが気になっています
 
林床の深いササ。負けずに見に行きます

もちろん、森林施業の現場も訪れます。多くの箇所を訪れ、それぞれの目的や方法の詳細、成果・問題点を学びます。少人数なので、興味に応じて、時間を気にせず見ることができました。
更新のために重機で地拵えを行っている箇所

上の写真のような施工から10年以上経ち更新が進んだ箇所

途中、遊ぶ余裕もあります。TAの大学院生が率先してます

宿舎に帰った後、それぞれの問題意識に応じて、今回取り組む課題について考えました。最初に見た、ミズナラとヤチダモが、次第にターゲットに定まってきたようです。目的が決まったら、何を・どうやって調べたらよいか、に議論が移っていきます。

そして、早くも4日目。この日は、丸一日、データ収集に充てました。
研究林にある資料やデータ、文献も見ながら議論を進めます

ミズナラの稚樹から成長錐で年輪サンプルを採取しています

深いササを懸命に漕ぎながらヤチダモの樹樹を探しました

夕方、データはなんとか取り終えました。さっそく、持ち帰ったデータをまとめます。研究林のおいしいご飯を食べた後は眠くなりますが、夜遅くまでがんばりました(雑談にも花が咲いていましたが)。

夜が明けて、最終日の午前中も、まとめの続きです。
最終日の朝。とてもよい天気です

TAも加わって、最後の追い込み

午後、このプログラム最後のメニューは成果発表です。あまりに天気がよいので、予定を変更して、それぞれのフィールドでプレゼンテーションをすることにしました。聴衆となる研究林の技術職員にも足を運んでもらいます。少し緊張するかもしれませんが、、、

ミズナラ稚樹の成長を説明してくれています。技術職員も興味津々です

ヤチダモの更新。アイヌ民族の利用の観点からおもしろい議論ができました

お疲れさまでした! 成果をまとめるには短い時間でしたが、幅広い知識を吸収し、一つの課題解決へ取り組む過程を経験してもらいました。この実習を契機に、さらに視野を広げて、このあとも森林や自然資源管理に関わってもらいたいと思います。研究林にもまた来てください。

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