学術研究員の奥崎です.
2019年9月2日~6日に高知大学嶺北フィールドにて開催されました「第6回森林フィールド講座・四国編」についてご紹介します. 「森林フィールド講座」は学年・学部を問わず,全国の大学生が参加可能な森林初学者向けの実習です.
今回は森林率が高く,古くから林業の盛んな高知県を舞台として,森林の調査と施業を体験する実習です.中国・四国地区大学間連携フィールド演習ならびに全国大学演習林協議会公開森林実習との同時開催となり,全国から29名の学生が参加してくれました.
1日目(9月2日)
まず高知駅から北に向かい,「ばうむ合同会社」にて若手林業家,川端さん(山番有限責任事業組合)と立川さん(地域おこし協力隊)から嶺北地域での林業や生計の立て方についてお話をしていただきました.
穴内川ダムに面する宿舎に着いたら,バーベキューです.お肉のほかに鰹とナスのたたきなど高知の名物を楽しみました.
2日目(9月3日)
いよいよフィールドワークのスタートです.演習林の説明を受けた後,林内に調査区画を作ります.
急斜面に加え,初めて使うポケットコンパス(方位磁石と望遠鏡を組み合わせた測量機器)で苦戦しながらも,無事に水平距離で10×10 mの区画を作成できました.
宿舎に戻ってからは,方位角と高低角から区画内の樹木の位置を作図しました.
夕食後はアカデミックワールドです.今回の森林フィールド講座には全国各地の連携校(北海道大学,山形大学,筑波大学,琉球大学)から教職員が参加しており,それぞれの大学の研究林・演習林での研究や活動を紹介しました.この日は奥崎が北海道の植生と昆虫の関係を,山形大学の菊池先生が上名川演習林を活用した教育と庄内地方の特色について紹介しました.
3日目(9月4日)
昨日作った区画内の樹種を調べます.よく似た樹木があるため,結構難しいです.
背の高い樹木は鎌つきの測桿で葉を採集して同定します.
午後は伐倒調査です.職員さんがチェンソーで切り倒した樹木を幹,枝,葉に分けて,それぞれの重さを測定します.
その途中でまさかの夕立,ブルーシートで雨宿りしました.
その夕立のため,野焼きは中止です.晴れていれば,ここで野焼きを体験できたのに残念.
この日のアカデミックワールドでは,筑波大学の遠藤さんから井川演習林の崩壊地と獣害対策について,琉球大学の上原さんから与那フィールドの自然環境と固有種について解説してもらいました.
4日目(9月5日)
これまでの植生調査から得られたデータをもとに,過去に人々がどのように山を利用していたのか,そして今後どのようになっていくのかを班ごとに発表しました.
午後は牧野植物園の見学です.高知の暖温帯から冷温帯にかけての植生が見事に再現されていました.
最後は高知駅で解散です.山の中での長い実習でしたが,全員元気にやり遂げることができました.次回は北海道大学の研究林で開催予定です.今回参加された方,そしてまだ参加したことない方のご参加を心よりお待ちしております.
最後に高知大学の教職員とTAの皆さん,たくさんの実習プログラムに加えて,美味しい食事に温かいお風呂をありがとうございました.
0 件のコメント:
コメントを投稿