2016年8月17日水曜日

北海道大学苫小牧研究林 野生動物管理実習 3〜5日目

引き続き、7月4日〜8日に苫小牧研究林で行われた野生動物管理実習の様子をお届けします。


3日目(7月6日)

前日に引き続き、シャーマントラップを確認しに森に向かいました。…が、この日も全くネズミがかかりませんでした… これまで実習を行ってきて、ネズミが1匹も捕れなかったのは初めてのことだそうです。この実習で一番盛り上がるのがネズミ調査なので、非常に残念ですね。そこで、事前に準備していたエゾヤチネズミに登場してもらいました。

エゾヤチネズミの姉妹です。林業においては害獣ですが、かわいいです
実際にネズミを見ると学生さんも盛り上がります
バネばかりで体重を測定してみます

午後は昆虫調査です。手当たり次第に虫を捕まえて、その後に衝突板トラップを回収しました。

いろいろな場所でひたすら虫を探します
衝突板トラップを回収します。虫はとれているでしょうか?

実習期間中は天気がずっと悪かったため、残念ながら捕れた昆虫は少なかったのですが、同定してまとめ、多様性について学びました。

捕まえた昆虫を整理します
内海先生から昆虫の多様性について説明を受けます

4日目(7月7日)

初日に設置した自動撮影カメラを回収してから、エゾシカによる樹木の食痕調査を行いました。30m30mのプロットを9区画に分け、9班で調査します。区画内の樹木について、種名と胸高直径、食痕の度合いを記録していきます。苫小牧研究林の技術スタッフが細かい手順や種名を解説しながら作業を進めます。シカに食べられやすい種とそうでない種がはっきりわかったと思います。

スタッフに樹木の種名を教わります
ただ種名をならうだけでなく、その種の特徴をいろいろ教えてもらいます
毎木調査法についても学びます
シカによる食痕の特徴についても教わり、個々の木について記録します
苫小牧研究林の技術スタッフの方々が大活躍していました

午後は班ごとにテーマを決めて、課題に取り組みました。シカ、ネズミ、サンショウウオ、ハムシなどについて、研究テーマを選び、データを解析し、まとめてパワーポイントファイルを作成しました。最終日に行う課題発表のために、夜遅くまで作業をしていたそうです。

課題についての説明を受け、その後はひたすらデータ解析とスライド作りです

途中で自動撮影カメラで撮影した動画の上映会も行われました。今年はエゾシカ、タヌキ、キタキツネ、ヒト、トラックなどが撮影できました。過去にはヒグマを撮影できた年もあったそうです。






最終日(7月8日)

前日に行った課題の発表会が行われました。皆さんが一生懸命考えたことがよく分かる見事な発表が続きます。質疑応答も盛り上がりました。

素晴らしい発表が続きます

今回はネズミが全く捕れなかったのが残念でしたが、それを考える材料にして、シミュレーションモデルを作って地域絶滅と個体群維持について考えてみるという例年にないテーマでの発表も行われました。転んでもただでは起きず、経験したことを考える材料にするということは、学生さんたちにとっていい経験になったと思います。

このように、この実習では動物の生態について様々なことを学びました。ただ漠然と見るだけでなく、実際に手を動かしてデータを取り、そのデータを解析して、試行錯誤しながらまとめあげて発表するという経験のできる充実した実習でした。私が学生の頃にはこのように考えることを重視した実習はなかったので、今の学生さんがこのような実習を受けれることを大変羨ましく思いました。

皆さんお疲れ様でした。

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