2024年10月7日月曜日

筑波大学森林生物学実習に参加しました

 

雨龍研究林 技術職員の原です。202493日から6日の日程で、筑波大学山岳科学センター八ヶ岳演習林で開催された森林生物学実習に参加してきました。

筑波大学八ヶ岳演習林は、高原野菜で有名な長野県の野辺山に所在します。最寄り駅は小海線の野辺山駅です。野辺山駅はJRで、最も標高の高い駅です。9月の初旬の本州は、暑いのではと覚悟していましたが、野辺山は標高が高いため気温は北海道とあまり変わらず、夜は肌寒いくらいでした。

初日は、ヘルメットが配られ、安全講習がありました。落雷への注意やハチ、ヘビ、マダニと行った動物に関する注意を確認しました。

実習中の夕ごはんと朝ごはんは自炊でした。初日の夕ご飯は「自炊と言えば、カレー!」。しかし、米が手に入らず、ご飯のかわりにパスタを主食とし、コメ不足を実感しました。しかし、サラダは野辺山産の高原レタスやいただいたインゲンマメを使うなど、美味しくいただきました。



 みんなで自炊視野カレーと野辺山の高原レタスの夕食

 2030分から夜の講義。翌日の予習です。今回の実習の目的は、森林の樹木の見分け方や同定方法を学ぶことと、実際に演習林で採取した植物の標本を作製することです。清野達之先生から標本の作製方法の講義と、八ヶ岳周辺の植生について、カンバを例に学名の見方や、同属樹種で標高や土壌といった条件によって分布が変わることを学びました。そして翌日以降の実習では、実際に山を歩きながら分布を観察します。

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2日目(94日)は、まず、川上演習林に樹種同定と植物採取に向かいます。川上演習林は13601790mと標高差がある演習林です。標高約1540mまで車で登り、実習スタート。まずはそこから林道沿いにさらに歩いて登っていきます。主要樹種ミズナラやブナ、カエデ類。私の所属する雨龍研究林のある北海道の北部に比べ樹種数が多く、特にカエデ類は多くてなかなか覚えるのが大変。林道沿いを歩いていくと川があり、そこに近づくにつれて、土壌が湿潤な場所や川が引き起こす攪乱を好む樹種へと植生が変わっていくのが分かります。そのコントラストを実感しながら歩きました。


林道沿いを歩きながら、樹種同定と標本採取


尾根伝いに山を下ります。すると、今度は標高の違いで樹種構成が変わっていきます。前日に学んだカンバを例にすると、標高の高いところではダケカンバが主だったのが、降っていくにつれて、シラカンバやヤエガワカンバの生える森になります。ヤエガワカンバは、このあたりの本州中部山地と北海道の足寄周辺に隔離分布する珍しい樹種です。葉は、シラカンバにそっくりですが、樹皮がごつごつしており、シラカンバの平滑な樹皮と比べると一目瞭然です。

今回の実習のメインは樹木同定ですが、森林生物学実習ということで生物のついても学びます。北海道でも大きな問題になっている、シカの食害。特に、針葉樹では、ウラジロモミ、広葉樹では、リョウブやミズキが好まれて食べられているそうです。見事に樹皮を食べられてしまったミズキがありました。このように幹の周り一周、「環状剥離」されてしまうと、枯死に至る可能性が高いのです。シカの食害は全国各地で問題となっています。



樹皮をシカに食べられたミズキ


そしてなんといっても、2日目午前のクライマックスはヤマネ!八ヶ岳演習林では天然記念物であるヤマネの生態調査もしており、ヤマネの巣(寝床)を見せてもらうことができました。

ヤマネの巣箱をおそるおそる覗くと



ヤマネの巣箱

いました!ヤマネです。小さいからだに大きな目でした。学生たちも私もテンションが上がってしまい、寝ていたヤマネを起こしてしました。ヤマネは夜行性で、巣は同じところではなく、毎日のように変えるそうで、このような巣箱を用意しておくと、自分でコケや木の皮といった巣材を持ち込んで使ってくれるそうです。

2日目の午後は、八ヶ岳演習林で樹種同定と標本採取を行いました。八ヶ岳演習林は、川上演習林と比べると標高が低く湿地が分布するエリアのため、川上演習林とはまた、異なる樹種構成の森林です。湿地林のなかには、定期的に毎木調査を行っているエリアがあり、木の成長や入れ替わりなどモニタリングされています。

湿地以外の中部地域の比較的標高の低い森は、シラカンバやミズナラの広葉樹の二次林で、北海道の植生に似ていましたが、ヤエガワカンバやヤマハンノキ(雨龍研究林でよくみられるのはケヤマハンノキ)、クリといった樹種が森を構成していました。


八ヶ岳演習林の湿地林


八ヶ岳の演習林の広葉樹の二次林

2日目の締めは、演習林の近くにあるヤツガタケトウヒを見に。ヤツガタケトウヒの個体数は5000本程度と言われ、絶滅危惧種です。樹皮など、アカエゾマツに似ています。個体数が少ない上に、単木的な生育なので交配が難しく、種の保全が課題であると感じました。



絶滅危惧種のヤツガタケトウヒ

ヤツガタケトウヒを見学して、宿舎に戻りますが、2日目の実習はこれで終わりでありません。宿舎に戻ったら、今日1日集めた樹木の枝葉のさく葉標本づくりを行いました。あの牧野富太郎氏をモデルにした朝ドラでもおなじみの新聞紙に挟まれた押し葉のようなものです。


柵用標本の作製途中、7種のカエデ

 柵用標本の提出がこの実習の課題でもあるので、学生たちは真剣に取り組んでいました。山からとってきた枝葉は水分を含んでいるので、標本を挟んだ新聞紙の間にも吸い取り紙として新聞紙を挟み、押しつつ、枝葉の水分を取ります。きれいな柵用標本をつくるこつは、こまめに吸い取り紙を変えること。きちんと作ると半永久的に保存することができるそうです。清野先生が学生時代に作成した標本を見せていただきましたが、きれいに保管されていました。


柵用標本の作製途中、標本は板に挟んできつく縛り、漬物石で抑える

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3日目(95日)は、八ヶ岳連峰に標高2,127mを通る麦草峠へ。このあたりの森は、コメツガ、シラビソ、オオシラビソ、チョウセンゴヨウ、ハイマツ、といった、針葉樹をメインに、ダケカンバ、ネコシデ、ナナカマドが混交する森です。ここでは、特に針葉樹をメインに、標高や土壌等の条件の違いによる植生の違いを観察しました。


数種の針葉樹が混交する森


岩が多い場所はコメツガが純林をつくる

 午後からは、白駒池の周辺の森を見に行きました。少し森を見て、引き返す予定でしたが、学生さんの一声で、白駒池をグルっと1周しました。11時間くらいでしょうか。苔と原生林が広がる神秘的な森を観察しながら、歩きました。登山が趣味の私としては、実習でこのようなフィールドに来られるのは羨ましいなと思いました。


白駒池周辺の森林について学ぶ

白駒池


苔の森。北海道と同じで倒木更新が見られます。
 

最後の夕食は、ジンギスカン+ジビエ。長野県は北海道に次ぐ、ジンギスカン大国とのこと。羊(ラム)だけではなく、豚、ジカ、イノシシのジンギスカンをいただきました。


長野のジンギスカン。ジビエもあります。

夕食後も、実習は終わりません。学生さんたちは2日目に作成した、柵用標本の吸い取り紙の交換や明日、最終日に行われる樹木同定の試験のための復習をします。私もさく用標本作りを体験しましたが、北海道まで持って帰れないので、学生さんたちの復習用に使ってもらいました。


熱心に復習中
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4日目(最終日、96日)は、樹種同定の試験を行って実習終了です。試験は、2日目に採取してきた枝葉と、3日目に白駒池周辺で見てきた樹木の写真の樹種同定です。皆、優秀な成績でした。


試験の様子。葉の形や付き方、繁殖器官で同定します。

 最後に4日間お世話になった宿舎の掃除を行って、解散です。

 なかなか行くことができない、筑波大学の八ヶ岳、川上演習林の森や八ヶ岳白駒池周辺の亜高山帯の森を歩くことができ、いい経験をさせていただきました。今回の実習は自炊だったので先生や学生たちと一緒に調理し、食事をするなど、筑波大学の学生と交流することができ、楽しい時間を過ごすことができました。清野先生をはじめとする八ヶ岳演習林のスタッフの皆様、筑波大学生の皆様に感謝です。ありがとうございました。


高原野菜と八ヶ岳。八ヶ岳演習林宿舎からすぐの畑から


森林フィールド講座・信州編 〜⾃然の成り⽴ちと⼭の⽣業〜

 中川研究林 技術職員 高橋悠河

2024820日から823日に信州⼤学農学部野辺⼭ステーションで行われた
森林フィールド講座・信州編~自然の成り立ちと山の生業実習~に
技術スタッフとして参加しました。その実習の様子をブログで紹介します。

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1⽇⽬:820()

昼過ぎごろに野辺⼭ステーションへ集合。

まず信州⼤学 ⼩林元 准教授より実習のガイダンスを受けたあと、
信州大学 荒瀬輝夫 准教授、筑波大学 清野達之 准教授、私高橋(北海道大学)が
それぞれの演習林(研究林)について紹介をしました。

休憩を挟んだあと、信州大学の小林 准教授より中部⼭岳の⾥⼭に関する講義があり、
信州周辺における⾥⼭の利⽤の歴史などについて学びました。



写真1, 講義の様子

1日目の最後は、次の⽇の野外調査の説明と使⽤する道具の準備を⾏いました。



写真2, 次の日の道具の準備

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2⽇⽬:821()

2⽇⽬の午前中は、バスで筑波⼤学 川上演習林に20分ほど移動し、
毎⽊調査をおこないました。

調査地は過去に薪炭林として利⽤されていた場所で、
ミズナラが優占する広葉樹林となっていました。
学⽣たちは51班になり、20*20 の正⽅形のプロットの場所の選定から行いました。


調査では樹種同定を⾏う際に、正確に同定を⾏おうと、
突き詰めて話し合っていたのが印象的でした。


写真3,毎木調査の様子

調査が終わると林内を尾根沿いに散策しながら下⼭し、途中の広場で昼⾷をとりました。

午後は筑波⼤学川上演習林 杉⼭昌典 技術専⾨職員より、
昇降式の巣箱によるヤマネの⽣息調査の解説をしていただきました。
実際にヤマネが休眠している姿も⾒ることができ、⽣徒たちも興味津々のようでした。



写真4,休眠中のヤマネ

散策を終え、野辺⼭ステーションに戻った後は、
調査したデータの解析を班ごとに⾏いました。

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3⽇⽬:822()

3⽇⽬は天気の崩れが予想されたため、
当初予定していたプログラムの⼀部を⼊れ替えて⾏われました。

林業実習体験ということで、野辺⼭ステーション内の歩道沿いに⽣えてきた
細い針葉樹や広葉樹の枝などを、⼿ノコや鉈を使⽤して整理しました。

その後は⼊れ替わった⼈⼯林の保育に関する講義で、
林業のサイクルや意義についての解説が⾏われました。

また、夜に予定されていた研究林紹介もこの時に⾏われ、
山形大学 菊池俊一 准教授、琉球大学 金城孝則 技術職員、高知大学 長井宏賢 技術専門職員より解説がありました。


崩れるかと思われた天気は意外にも晴れが続き、
昼⾷のお弁当は野辺⼭ステーションの⽞関前で⾷べることができました。

昼⾷後はチェンソーを使⽤した伐⽊、薪割の体験を⾏いました。

まず、職員がデモンストレーションで実際に針葉樹を1本伐倒した後、
伐倒した⽊についている枝をチェンソーで切り、⻑さ1 m 程度の丸太にしたものを
薪割しやすいような⼤きさにチェンソーで切る作業を⾏い、
切ったものを斧で薪にしました。

参加学生たちは実際に薪割斧やチェンソーをもった重みや、排気⾳に驚きながらも
果敢にチャレンジをしていました。

道具の整備も含めて実習ということでチェーンソーの清掃、整備も⾏いました。



写真5, チェーンソー実習の様子


その後、前日の調査のデータをもとに「調査プロットにはどんな樹種がどのくらいの本数あったか」、「今後どのような森になっていく可能性が考えられるか」という内容で発表が行われました。
各班の考察はそれぞれ異なった方向性で展開されて、非常に興味深い発表でした。




写真6, データ解析の結果発表


夜には午後に割った薪も使用して親睦会が開かれました。

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4日目:823()


最終日は瑞牆山(みずがきやま)山中、標高
1800m程度までの天然林観察を行いました。

この周辺は武田信玄によって金山として利用されていたという歴史があり、その後今日に至るまで厳正に管理されてきた森が残っている場所ということでした。

地面は苔に覆われ、大きな奇岩が連なり、その岩の上に針葉樹、広葉樹入り混じりながら成長している様子は圧巻の一言でした。



写真7,巨岩としがみつくような根


一方で、山のふもとには薪炭林の里山として利用されてきた場所もあり、炭焼窯の跡も残っていました。
圧倒的な自然と人の利用の歴史がここまで近くに存在する場所があるのはとても不思議な感覚であり、興味深かったです。

学生たちも様々な質問をしながら、積極的に学んでいる姿が印象的でした。


写真8,コケの分類中

昼食後は野辺山ステーションに戻り、実習のレポートとアンケートを提出して解散となり、本実習は終了となりました。

最後に、ご対応いただきました信州大学のみなさま、筑波大学のみなさま本当にありがとうございました。4日間を通して非常に興味深く、刺激的な実習でした。
参加学生にとっても、調査に始まり、汗を流し、歴史と人と森との身近さを肌で感じるという、ここでしかできない非常に濃密な4日間となったのではないかと思います。

2023年11月10日金曜日

森林フィールド講座・琉球編「世界自然遺産の森・人と生きものの暮らし」

 学術研究員の風張です。少し前になりますが、琉球大学農学部附属亜熱帯フィールド科学教育研究センター・与那フィールドで森林フィールド講座・琉球編「世界自然遺産の森・人と生きものの暮らし」が開催されました。その様子をご紹介します。

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1日目:919

13時半、ゆいレールのてだこ浦西駅に集合。北は北海道から南は九州まで、全国各地の大学から14名の学生が集まりました。ここから大学のマイクロバスに乗せてもらい与那フィールドまで向かうのですが、学生たちは早くもお互いに打ち解けている様子。高嶋先生の解説を時折はさみながら、バスに揺られること2時間半。

 

与那フィールドに到着したら、まずはガイダンス。そして、森や人と自然のかかわりなどについて高嶋先生・松本先生の講義です。やんばるの森は樹木の成長が遅く、台風の攪乱や人の手による伐採の後6070年経っても成熟した森林にはならないのだそうです。そんな森や生態系の保全と人の営みをどのように両立させていけるかを考えるのが、実習の大きなテーマです。学生たちは熱心にメモを取りながら聞き入っていました。今回は、文系・理系のさまざまな分野を学ぶ学生たちが集まっています。どんな感想を聞かせてもらえるのか、楽しみです。


夕食後はYambaru Greenのみなさんのガイドで、与那フィールド周辺の夜の生き物観察に出かけました。目のいい学生たちは足元の小さな生き物を次々に見つけては大興奮!それに対するYambaru Greenさんの一つ一つの解説が面白かったです。そして、やっぱり満天の星空は迫力でした。残念ながらわたしには見つけられませんでしたが、流れ星がいくつも見えたそうですよ!!

   

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2日目:920

午前中は前夜歩いた与那フィールド周辺の森の昼間の様子をじっくり観察。琉球諸島の成り立ちと植生との関係、樹種ごとの特徴と地域の人々による利用、それによる生態系への影響、希少な野生動物の保全と森林利用の両立の難しさなど、森に関するいろいろを学びます。道中、キノボリトカゲや、なんと、木にぶら下がって休憩中のオリイオオコウモリなど沖縄ならではの生きものにも出会い、盛り上がりました。


午後はやんばる野生生物保護センター・ウフギー自然館、辺戸岬経、琉球大学・里山研究園の見学と盛沢山です。ウフギー自然館では、スタッフの方からのやんばるの生態系を守る取り組みについての解説がありました。そのほか、象徴的な動植物についての詳しい展示も面白いです。辺戸岬の展望台からはウミガメの泳ぐ様子を眺めることができ、学生たちは大喜びでした。里山研究園では、生態系を保全しながらやんばるならではの付加価値を生み出す新しい造林について学びます。



途中の鏡地海岸でしばし海遊び。海も砂浜も眩しい…!

「森林フィールド講座」は、北大と琉球大学・高知大学・信州大学・筑波大学・山形大学とも連携して行うシリーズ実習です。夕食後は各大学から協力に来てくれている教職員による演習林・研究林紹介も行いました。その土地の地形や文化を背景とした特色ある取り組みなど、興味深い内容ばかりでした。

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3日目:921

まずは、松本先生の案内で与那フィールドの林冠観測用タワー周辺の森を観察。森の中を散策しながらやんばるの森における物質循環や植生の特徴の解説を聞き、やんばるの森特有の景観を林冠観測用タワーから眺めます。すごい景観です。同行の職員さんが、シリケンイモリやヤンバルナメクジなど次々に生き物を見せてくださるので、タワーに登る順番待ちの間も学生たちはとても楽しそうでした。

その後、世界自然遺産地域にも指定されている、与那フィールドの中でも伐採履歴のない森に移動します。6070年生だったタワー周辺の森との違い、高齢の太い木が生えている森を体感し、ケナガネズミやノグチゲラなどの希少種の生息を可能にする森の特徴を学びました。ここでは、リュウキュウヤマガメも見ることができました。

午後はやヤンバルクイナ生態展示学習施設・クイナの森でヤンバルクイナを、東村のふれあいヒルギ公園で、マングローブ林をじっくり観察しました。ヒルギ公園では、マングローブを構成する3種のヒルギの特徴や生育できる環境の違いによる3層構造を学び、ミナミトビハゼやシオマネキなどの観察を楽しみました。何種類のカニを見たか、競い合って盛り上がる一幕もありました。

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4日目:922

実習のまとめの時間。3日間を通じての気づきや学び、感想を全員に発表してもらいました。今回は文系・理系の様々な分野を専攻する学生が集まりましたが、やんばるの森と人のかかわりについて考えるだけにとどまらず、この実習での学びを自身の専門領域にどう生かしていくかという視点の感想も多く、ワクワクしっぱなしの1時間半でした。そして、講義やフィールドワーク中にいろいろな視点からの質疑応答で盛り上がったので、森林のことをよく知る学生にとっても、フィールド科学は初めてという学生にとっても、お互いにとてもよい刺激になったようでした。幅広い学生たちに対応した講義・解説を用意し、学生たちからのひっきりなしの疑問に答え続けてくださった高嶋先生・松本先生、連携校からお越しいただいたみなさまのサポートのおかげです。本当にありがとうございました!


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最後に、サポートしてくださった琉球大学の職員の皆さま、TAさん、ありがとうございました!そして、食べるのに夢中で()、ほとんど写真を撮りそびれましたが、郷土料理のフーチャンプルーや、毎朝ご用意くださったドラゴンフルーツ、美味しかったです。それに、せっかく沖縄まで来たのだからと組み込んでくださった海遊びも、学生たちのいい思い出になったことでしょう。

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琉球大学での他の森林実習については、このブログ内の記事・琉球大学公開森林実習「亜熱帯林体験実習」でも紹介されています。違った視点で書かれているので、よろしければご覧ください。


2023年10月10日火曜日

信州大学公開森林実習「自然の成り立ちと山の生業」に参加してきました


中川研究林 技術職員 高橋悠河 

202395日から98日に信州大学農学部伊那キャンパス農学部付属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)西駒ステーション、手良沢山ステーションで行われた公開森林実習「自然の成り立ちと山の生業実習」に技術スタッフとして参加しました。

信州大学 農学部 伊那キャンパス 正門

1日目:95

13時集合。信州大学や静岡理工科大学、京都大学から3名の学生が参加しました。
実習ガイダンス後は信州大学演習林の紹介と中部山岳の里山に関する講義でした。
時代が進むにつれ、主要な資源だった木材は、利用が盛んになる一方で、資源量は減少傾向にありました。その後育成林業が発生し、農村地帯で管理されてきたものが里山であるということでした。その後は2日目に使用する地図等の準備を行いました。


「中部山岳の里山」講義の様子

2日目:96

ハイエースに乗り登山道入口へ移動。木曽駒ケ岳、桂小場ルートを標高2000m付近にある大樽小屋まで登山しました。途中、小雨に降られたため合羽に着替えました。沢下りをする場所もあり足元に注意しながらの登山でした。

ハイエースにて移動

薪炭や緑肥として利用するために柴を刈った場所や育成林業としてヒノキが植栽されたものの手入れが行き届かなった場所、登山道の左右で山の持ち主が民有林と国有林で異なり、その利用の歴史が薪炭林と素材生産林とで違うため、下層植生が全く異なる場所など里山利用の痕跡をたどりました。

前日の講義、中部山岳地帯における木材利用の歴史を聞き、実際に利用された痕跡が残る場所へ赴くという実習の流れは、知識と経験を結びつけるという点において非常に有効であると感じました。

手入れが遅れたヒノキ林

薪炭林利用地跡 直径の細い木が多い

←民有林              国有林→

民有林(左):ササに覆われている 薪炭林のため林床が明るい
国有林(右):苔があり稚樹が更新している 常緑針葉樹が優勢しており、林床が暗い

落下注意!


3日目:97

スパイク長靴等の山歩きのための道具を用意し、ハイエースで手良沢山演習林へ移動。
午前中は演習林の人工林の育成に関する講義とチェーンソーの利用方法の講義の後、実際に丸太切りと薪割体験を行いました。
だんだんと腰が入り、パカンッと薪が割れると皆楽しそうでした。


道具を準備している様子

「山の生業」講義の様子


パカッといい音が響きます


薪割木はすごいパワーでした


午後は森林調査でした。
10m×10(斜面のため実際は12m*10)0.01haの区画を造り、その区画の中にある木の胸高直径(地面から1.2)を計測しました。計測した木の数を100倍することで1haの中にどれだけの密度で木が生えているかを知ることができます。

造った区画、傾斜は36°もありとても急です


胸高直径を測っている様子



4日目:9月8日

最終日は前日に計測したデータの解析、アンケートの作成、修了式を行いました。
また、宮本裕美子助教授より菌根菌についての講義があり、時間に余裕があったため、私から中川研究林で行われている研究や業務についてお話させていただき、全日程が終了となりました。

データ解析の様子

一部小雨に振られましたが、おおむね天気は良く、無事実習を終えることができてよかったです。参加人数が少なめでしたが、その分密度の濃い実習を過ごしていただけたのではないでしょうか。

今回ご担当いただきました小林元教授、荒瀬輝夫准教授、宮本裕美子助教授、TAの皆様ありがとうございました。