みなさん、こんにちは。佐伯です。
今回は、9月23日~27日に和歌山研究林で行われた「野外シンポジウム ~森をしらべる~ 南紀―古座川(和歌山研究林)編」の様子をご紹介します。和歌山研究林、ブログ初登場です! 森も、川も、人々も、とにかく素敵な和歌山研究林。その魅力を、参加学生さんたちとたっぷり堪能してきました。記事を書いていたら、なんだか内容盛りだくさんになってしまったので、前編、後編の2回に分けてレポートします。
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和歌山研究林の庁舎です。文化財にも登録されています。 |
野外シンポジウムとは、北大研究林が毎年開催している、学生さん向けのフィールド研究体験イベントです。今年は、天塩・中川(
http://frs-kyoten.blogspot.jp/2013/09/blog-post.html)に続き、和歌山でも開催されることになりました。全国各地の大学から11名の学生さんが来てくださり、4泊5日の日程で様々なセッションを体験していただきました。
〇森林軌道にのって・・・
和歌山研究林はとても傾斜の急なところにあります。常緑広葉樹林と人工林が主体ですが、森の中を徒歩で行き来するのはとても大変です。そこで、研究林内には森林軌道というモノレール風の乗り物が設置されており、急な斜面をのぼったりおりたりできるようになっています。わたしも乗せていただきましたが、これは楽しい! 森林軌道から見える木々の風景は、足で歩くのとはまた違ってとても新鮮でした。
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森林軌道。 |
〇コウモリたちの宴
夜には、和歌山大学の福井大先生に担当いただき、バットディテクターという機械をつかってコウモリの超音波をききとりました。「ピピポパポ・・・」 すごい! 宇宙人と交信しているみたい!! (ちなみにこれは、キクガシラコウモリの超音波をひろった音です。) セッションの後半には、福井先生がつかまえてくださったユビナガコウモリをみなで観察しました。野生の生きたコウモリを間近で見られるなんてそうありません。学生さんからは、とぎれることなく質問が出ていました。
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ユビナガコウモリです。かわいい・・・。
(って、動物が出てくるたびに書いているような気がしますが、ほんとにかわいかったです。) |
〇カルシウム足りてますか?
みなさん、カルシウム足りてますか? イライラしたとき、カルシウムとるといいっていいますよね
(※)。
このカルシウムをとても必要とする生物がいます。それは、エビやカニといった甲殻類です。この殻をつくるのに、カルシウム、足りてないとダメなんです!
カルシウムは、自然界では、土壌や水に溶けて存在しています。その濃度は土地によって様々なのですが、和歌山研究林は、カルシウムのとても少ない土地柄なのだそうです。でも不思議なことに(?)、スギが生えていると、地面に堆積した落ち葉中のカルシウム濃度が高くなり、エビやカニの数が各段に多くなります。この興味深い現象を研究されている苫小牧研究林の太田民久さん(博士課程3年)と一緒に、みんなでエビやカニを探す調査を行いました。
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採集した石や落葉を仕分けながら、エビやカニ、ヒメフナムシなどを探します。ヒメフナムシは、やはりカルシウムを多く必要とする土壌性甲殻類です。セッションでは、川と陸、双方で探査を行い、
森林タイプと個体数との関係を考察しました。 |
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あ、サワガニがいました! 赤ちゃんもいますよ!!! カルシウム、足りてるようですね。 |
(※:記事を書いたあとに教えていただいたのですが、イライラとカルシウムの関係には諸説あるそうです。)
〇哺乳類の痕跡調査
3班に分かれて、野生動物の痕跡を探しにいきました。班ごとに、それぞれタイプの異なる森林に出かけ、どんな場所に動物たちが暮らしているのか考えるのが目的です。現地では、シカの糞塊を探したり、自動撮影カメラにうつっていた動物を確認したりしました。普段はなかなか目にすることのできない動物たち。こうした調査を通じて、その様子を知ることができるのですね。
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自動撮影カメラでとらえたシカの映像です。 |
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セッションを担当された揚妻直樹(あげつまなおき)和歌山研究林長です。
揚妻林長は長年、シカ、サルをはじめとして多くの野生動物の生態を調査されてきました。夜のポスターセッションでは、和歌山研究林でみられる野生動物のハビタット調査の結果をご紹介くださり、
学生さんと熱いディスカッションが展開されていました。 |
〇空の上から眺めよう
和歌山研究林のある平井集落は、ゆずの生産で知られています。山あいの小さな集落ですが、歩いてみると、ゆず畑のほか、きれいな風景がたくさんあって、とてもここちよいです。このセッションでは、和歌山大学の院生の方々と一緒に、コンピューター上の地図情報を参照しながら、集落内をゆったり散策しました。うーん、いい天気で気持ちよかったです!
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平井集落。 |
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タブレット式のコンピューターに入った情報をもとに、集落を散策します。
ちょっとだけ寄り道して、平井集落オリジナルのゆずアイスクリームも食べに行きました。
(あ、書いちゃった!)
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(後編に続く・・・)
参考URL
和歌山研究林野外シンポジウム報告サイト
http://www.za.ztv.ne.jp/hokudai/yagaisymposium/2013.html
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