ラベル 森林フィールド講座 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 森林フィールド講座 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年1月29日木曜日

森林フィールド講座・八ヶ岳編 ~八ヶ岳の森と生物~

202584日から87日に筑波大学八ヶ岳演習林で行われた「森林フィールド講座・八ヶ岳編~八ヶ岳の森と生物~」の報告をします。

1日目:84()

 15時頃八ヶ岳演習林の事務所に集合。八ヶ岳演習林の事務所と学生宿舎はJRの最高標高駅である小海線野辺山駅(標高1345.67m)が最寄りです。季節は夏真っ盛りですが、標高が高いだけあり、涼しいです。野辺山駅の近くには、永遠の小学1年生(いや、高校生?)探偵が主人公の2025年のアニメ映画の舞台のモデルになっている国立天文台の宇宙電波観測所があり、昨年訪れたときと比べて賑やかになっていました。受付したのち、宿泊棟に移動し、宿泊の注意事項を確認し、フィールド講座のスタートです。

まずは、フィールドに出るにあたっての安全講習を行いました。フィールドワークは初めての1年生や様々な学部の学生が参加しているので、野外での危険と対策を確認します。例えば、熱中症や蜂、マムシといった動物のリスクです。

 その後、スタッフの挨拶も兼ねて、連携大学の紹介を行いました。北海道大学の研究林は面積が広大であること、道内各地と和歌山の各研究林の特徴と行っている調査や丸太を生産していることについて紹介しました。北大生も多数いましたが、研究林をよく知らない学生も多かったので知ってもらえてよかったと思います。山形大学の紹介では山名川演習林の概要と豪雪地帯であることや地域特性を生かした特色のある実習内容の紹介、また、次回の森林フィールド講座の開催についての告知がありました。次回のフィールド講座は冬の山名川演習林でどんな経験ができるのか、わくわくするお話が聞けました。信州大学は標高差のある演習林を有しており、山岳地帯にある演習林には、山小屋もあって、日本で最も高い場所にある演習林として特性を活かした実習が組まれているそうです。高知大学嶺北フィールドでは急峻な地形のなか、60年周期の法正林施業をやっており、面積が小さい中にぎゅっと魅力詰まっていました。琉球大学与那フィールドは世界自然遺産に登録されたやんばる地域に位置していて、大陸島であることによる固有種や希少種が多く生育しているそうです。筑波大学は今回フィールド講座を行った八ヶ岳・川上演習林のほか標高700-2400mにあり急峻な井川演習林(静岡県)がありそれぞれの植生の特徴が紹介されました。

 各大学、それぞれの魅力を感じられる紹介があり、ぜひとも、各演習林を訪れてみたくなります。 

↑来年度のフィールド講座は冬季に雪深い山形大学山名川演習林でやります!


 最後に、今回のフィールド講座の4日間で、考えてもらいたい内容が筑波大学清野先生から提示され、オリエンテーションは終了です。その内容は、

八ヶ岳の植物・動物のことを学ぶ3日間が始まります。


2日目:85()

 2日目午前中は川上演習林で人工林(人の手で苗を植えて育てた森)やこの地域特異の天然林の自然観察と野生動物の観察を行いました。予定では、川上演習林の見学は午後の予定でしたが、午後から雷雨の天気予報であったため、八ヶ岳演習林と比べて標高が高く落雷の可能性が高い川上演習林に午前のうちに行くことになりました。天気に応じて予定を臨機応変に変更するのも、野外フィールドでの実習ならではですね。

川上演習林では人の手で植えたカラマツ、サワラ、ストローブマツの紹介がありました。カラマツとサワラはもともとこの地域に分布する樹種ですが、ストローブマツは北アメリカに分布する樹種です。3樹種ともに幹が通直に成長しやすい針葉樹で、植林されることも多い樹種です。

 また、川上演習林で行われた研究の成果として、サワラがまとまって天然更新している森で遺伝子を調べたところ別の個体のように見える木々が同じ遺伝子を持っていて、「伏状更新」であることがわかったことが紹介されました。「伏状更新」とは、枝が雪の重みなどで地面にくっつき、根が出てきて一本の木のように成長していくことです。植物の力は不思議ですね。

↑サワラの天然林(伏状更新)の森(左)とサワラの稚樹(右)

 続いて、川上演習林に生息する野生動物を学びます!ここが一番盛り上がったかな~。技術職員の杉山さんによる、演習林に生息する天然記念物であるヤマネの巣箱の観察のレクチャーを聞きます。林内にはヤマネの生息調査のための巣箱が設置されており、研究者や学生によりさまざまな調査・研究がされているそうです。川上演習林は、人工林の割合が多く樹種の多様性が少ないことから、ヤマネの生息数は少ないと考えていたそうですが、調査により1haあたり1.9匹のヤマネが生息していることが分かっているそうです。ヤマネは、樹上性で枝伝いに移動するので、高いところにある巣箱をよく使用します。そのため、筑波大学では、巣箱を昇降できるように設置し、生息調査を行っています。高いところにある巣箱の降ろし方と巣箱の開け方を教わり、巣箱調査の始まりです。早速1つ目の巣箱にヤマネを確認!ヤマネが飛び出してしまった場合は、踏んでしまわないように人は動かないという注意を受けたのち、巣材をそっと取り出し、順番にヤマネを観察しました。今回の実習では、2匹のヤマネを巣箱で観察することができました。眠っているところを起こしてしまってごめんね。

↑巣箱の説明をする杉山さん(左)と巣箱の中の様子(右)

↑巣箱の様子をそっと覗く(左)と枝に乗るヤマネ(黒目が大きく可愛い)(右)

 午後は、八ヶ岳演習林で湿地林と広葉樹2次林の自然観察を行いました。八ヶ岳演習林は八ヶ岳の山麓の平坦な場所に位置しています。周囲は農地で囲まれていて演習林だけぽっかりと森が残っているような場所です。その中に歩道が整備されており、歩道を歩きながら、野辺山に生育する広葉樹や、希少な湿地性植物を教えてもらいました。

 野辺山の特徴的な樹種として、ヤエガワカンバを教えてもらいました。ヤエガワカンバは、中部山岳地域と北海道の足寄に隔離分布している樹種で、シラカンバやダケカンバに近い樹種ですが、樹皮が特徴的で、ごつごつとしており重なって剥がれます。ダケカンバの樹皮が分厚くなったイメージでしょうか。ほかにも、和製ヘーゼルナッツであるハシバミの木や果樹のリンゴを育てるための台木となるズミの木など、私たちの生活にも関連する樹種を教えてもらい、学生たちは興味深そうに聞いていました。

↑和製ヘーゼルナッツ、ハシバミの葉と実

 八ヶ岳演習林の湿地林には、サクラソウやヒメザゼンソウ、モウセンゴケなどの希少な植物が生育するそうです。夏には、地上部が枯れてしまうものも多いのですが、かわるがわるモウセンゴケを見せてもらいました。モウセンゴケは湿地性の食虫植物です。

↑広葉樹二次林を散策(左)と順番にモウセンゴケを観察(右)

 筑波大学八ヶ岳演習林が取り組んでいる希少種保護について、技術職員の井波さんから教わります。一つ目は昨年、構内に人工的にビオトープを作り、「生息域外保全」に取り組んでいるタルマイスギですタルマイスギは長野県内では野辺山のみ生育している絶滅危惧種ですが、その生息地が開発されることにとなり、最後の手段として生息地ではない、八ヶ岳演習林の構内で保全に取り組むことになりました。また、長野県と山梨県に県境付近(本当に、日本国内、この地域だけ!)にのみに生育している大変稀なヒメバラモミを構内に植林し、育てています。自然環境下では、芽生えてもシカに食べられることもあり、大きく育たないことも多いのです。そのため、ここでは鹿柵を設置して、シカの害から守っています。ヒメバラモミの葉はとても尖っていて触ってみるとちくちくしました。植物の特徴を触って確かめることができるのも、実習の魅力です。

↑タルマイスギ域外保全のために作ったビオトープ(左)とヒメバラモミの植林地(右)

3日目:86()

 今回の講座の課題の一つである、八ヶ岳の植物についてですが、1日目に筑波大の清野先生に標高の違いによる、植生の違いを教えてもらいました。2日目には、八ヶ岳山麓の標高1000mほどに位置する八ヶ岳演習林を見学しました。そして3日目は、バスで麦草峠へ行き、八ヶ岳の標高2,000mを超える亜高山針葉樹林の観察です。野辺山も涼しかったですが、さらに標高が上がり、肌寒いくらいでした。八ヶ岳の亜高山帯では、常緑の針葉樹であるシラビソ、オオシラビソ、トウヒ、コメツガが分布します。亜高山帯では森の木々はゆっくりと成長するので、サイズは小さくとも思ったより年齢が高い木が多いことを教わりました。麦草峠の特徴としては、太平洋と日本海のちょうど中間に位置するため、その両方の特徴を持つ森が成立しているとのこと。例えば、雪に対して強く日本海側に多く分布するオオシラビソと、乾燥に強く太平洋側に多いシラビソが混生しています。八ヶ岳演習林と比べて、同じ地域でも標高によって、植生が変わっていくことを実際に見ることができました。さらに、植生は、標高だけで決まるわけではないので、麦草峠周辺で、地形や風、地質の条件により、通常であれば、さらに標高の高いところに成立する高山帯植生を見ることができます。そこでは、高く育つ木が少なく、ハイマツやコケモモといった地を這うように育つ木を見ることができました。

↑散策MAP/白駒の森と奥庭そして白駒の池をぐるっと一周しました

↑麦草峠の植生の説明を聞く(背が高い針葉樹が多い)(左)
高山帯(樹高は人と同じくらい)を歩く(右)

 その後、白駒池をぐるりと一周散策しました。1時間くらいでしょうか。学生それぞれ植物やキノコなど、思い思いに興味を持って歩いていたことが印象的でした。

↑白駒池(左)とそのまわりに広がる苔の森(右)

 3日目の夕飯は最終夜ということで、BBQです。筑波大演習林の造材現場(木を伐って丸太を売る現場)で出た、カラマツを使ったスウェーデントーチや端材を利用した焚火も配置されていい雰囲気でした。メニューにはシカやイノシシといたジビエのジンギスカンを食べ、野生動物の問題についても考えながら、美味しくいただきました。

 夕食後も、各々、火を囲んで語り合ったりと、話はつきないようでした。学部1年生から大学院生まで、また、学部や研究分野が異なメンバーが集まっているからこと、それぞれ、刺激を受けあっている様子で、とてもいい時間だったように思います。

↑苦労して火を起こしたBBQ台を囲んで乾杯(左)
すっかり日が暮れて焚火を囲みながら語らう(右)


4日目:87()

 最終日は初日に提示された課題について、45名のグループごとに発表を行いました。まとめる時間も短いなか、3日間で感じたこと、考えたことをそれぞれの興味とともに発表してくれました。フィールド講座は、いろいろな大学のさまざまな分野を学んでいたり、興味を持っていたりする学生が集まっていることもあり、個性が出ている発表が多く、面白かったです。

↑3日間の成果の発表

 大学生の今だからこそ、参加できるフィールド講座です。フィールド体験に来るもよし、いろんな学年、いろんな分野の学生にあって刺激をもらうもよし、少しでも興味があれば、ぜひ参加してもらいたいと思います。

おまけ
 帰りにみんなで、お隣にある宇宙電波観測所を見に行きました。世界最大級の電波望遠鏡です。迫力ありますね~。展示も充実していて、勉強になりました。実習と合わせて、現地の観光ができるのも楽しいです。


 苫小牧研究林 原    


2024年10月7日月曜日

森林フィールド講座・信州編 〜⾃然の成り⽴ちと⼭の⽣業〜

 中川研究林 技術職員 高橋悠河

2024820日から823日に信州⼤学農学部野辺⼭ステーションで行われた
森林フィールド講座・信州編~自然の成り立ちと山の生業実習~に
技術スタッフとして参加しました。その実習の様子をブログで紹介します。

--------------------------------------------------------------------------------------------

1⽇⽬:820()

昼過ぎごろに野辺⼭ステーションへ集合。

まず信州⼤学 ⼩林元 准教授より実習のガイダンスを受けたあと、
信州大学 荒瀬輝夫 准教授、筑波大学 清野達之 准教授、私高橋(北海道大学)が
それぞれの演習林(研究林)について紹介をしました。

休憩を挟んだあと、信州大学の小林 准教授より中部⼭岳の⾥⼭に関する講義があり、
信州周辺における⾥⼭の利⽤の歴史などについて学びました。



写真1, 講義の様子

1日目の最後は、次の⽇の野外調査の説明と使⽤する道具の準備を⾏いました。



写真2, 次の日の道具の準備

--------------------------------------------------------------------------------------------

2⽇⽬:821()

2⽇⽬の午前中は、バスで筑波⼤学 川上演習林に20分ほど移動し、
毎⽊調査をおこないました。

調査地は過去に薪炭林として利⽤されていた場所で、
ミズナラが優占する広葉樹林となっていました。
学⽣たちは51班になり、20*20 の正⽅形のプロットの場所の選定から行いました。


調査では樹種同定を⾏う際に、正確に同定を⾏おうと、
突き詰めて話し合っていたのが印象的でした。


写真3,毎木調査の様子

調査が終わると林内を尾根沿いに散策しながら下⼭し、途中の広場で昼⾷をとりました。

午後は筑波⼤学川上演習林 杉⼭昌典 技術専⾨職員より、
昇降式の巣箱によるヤマネの⽣息調査の解説をしていただきました。
実際にヤマネが休眠している姿も⾒ることができ、⽣徒たちも興味津々のようでした。



写真4,休眠中のヤマネ

散策を終え、野辺⼭ステーションに戻った後は、
調査したデータの解析を班ごとに⾏いました。

--------------------------------------------------------------------------------------------

3⽇⽬:822()

3⽇⽬は天気の崩れが予想されたため、
当初予定していたプログラムの⼀部を⼊れ替えて⾏われました。

林業実習体験ということで、野辺⼭ステーション内の歩道沿いに⽣えてきた
細い針葉樹や広葉樹の枝などを、⼿ノコや鉈を使⽤して整理しました。

その後は⼊れ替わった⼈⼯林の保育に関する講義で、
林業のサイクルや意義についての解説が⾏われました。

また、夜に予定されていた研究林紹介もこの時に⾏われ、
山形大学 菊池俊一 准教授、琉球大学 金城孝則 技術職員、高知大学 長井宏賢 技術専門職員より解説がありました。


崩れるかと思われた天気は意外にも晴れが続き、
昼⾷のお弁当は野辺⼭ステーションの⽞関前で⾷べることができました。

昼⾷後はチェンソーを使⽤した伐⽊、薪割の体験を⾏いました。

まず、職員がデモンストレーションで実際に針葉樹を1本伐倒した後、
伐倒した⽊についている枝をチェンソーで切り、⻑さ1 m 程度の丸太にしたものを
薪割しやすいような⼤きさにチェンソーで切る作業を⾏い、
切ったものを斧で薪にしました。

参加学生たちは実際に薪割斧やチェンソーをもった重みや、排気⾳に驚きながらも
果敢にチャレンジをしていました。

道具の整備も含めて実習ということでチェーンソーの清掃、整備も⾏いました。



写真5, チェーンソー実習の様子


その後、前日の調査のデータをもとに「調査プロットにはどんな樹種がどのくらいの本数あったか」、「今後どのような森になっていく可能性が考えられるか」という内容で発表が行われました。
各班の考察はそれぞれ異なった方向性で展開されて、非常に興味深い発表でした。




写真6, データ解析の結果発表


夜には午後に割った薪も使用して親睦会が開かれました。

--------------------------------------------------------------------------------------------

4日目:823()


最終日は瑞牆山(みずがきやま)山中、標高
1800m程度までの天然林観察を行いました。

この周辺は武田信玄によって金山として利用されていたという歴史があり、その後今日に至るまで厳正に管理されてきた森が残っている場所ということでした。

地面は苔に覆われ、大きな奇岩が連なり、その岩の上に針葉樹、広葉樹入り混じりながら成長している様子は圧巻の一言でした。



写真7,巨岩としがみつくような根


一方で、山のふもとには薪炭林の里山として利用されてきた場所もあり、炭焼窯の跡も残っていました。
圧倒的な自然と人の利用の歴史がここまで近くに存在する場所があるのはとても不思議な感覚であり、興味深かったです。

学生たちも様々な質問をしながら、積極的に学んでいる姿が印象的でした。


写真8,コケの分類中

昼食後は野辺山ステーションに戻り、実習のレポートとアンケートを提出して解散となり、本実習は終了となりました。

最後に、ご対応いただきました信州大学のみなさま、筑波大学のみなさま本当にありがとうございました。4日間を通して非常に興味深く、刺激的な実習でした。
参加学生にとっても、調査に始まり、汗を流し、歴史と人と森との身近さを肌で感じるという、ここでしかできない非常に濃密な4日間となったのではないかと思います。

2023年11月10日金曜日

森林フィールド講座・琉球編「世界自然遺産の森・人と生きものの暮らし」

 学術研究員の風張です。少し前になりますが、琉球大学農学部附属亜熱帯フィールド科学教育研究センター・与那フィールドで森林フィールド講座・琉球編「世界自然遺産の森・人と生きものの暮らし」が開催されました。その様子をご紹介します。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

1日目:919

13時半、ゆいレールのてだこ浦西駅に集合。北は北海道から南は九州まで、全国各地の大学から14名の学生が集まりました。ここから大学のマイクロバスに乗せてもらい与那フィールドまで向かうのですが、学生たちは早くもお互いに打ち解けている様子。高嶋先生の解説を時折はさみながら、バスに揺られること2時間半。

 

与那フィールドに到着したら、まずはガイダンス。そして、森や人と自然のかかわりなどについて高嶋先生・松本先生の講義です。やんばるの森は樹木の成長が遅く、台風の攪乱や人の手による伐採の後6070年経っても成熟した森林にはならないのだそうです。そんな森や生態系の保全と人の営みをどのように両立させていけるかを考えるのが、実習の大きなテーマです。学生たちは熱心にメモを取りながら聞き入っていました。今回は、文系・理系のさまざまな分野を学ぶ学生たちが集まっています。どんな感想を聞かせてもらえるのか、楽しみです。


夕食後はYambaru Greenのみなさんのガイドで、与那フィールド周辺の夜の生き物観察に出かけました。目のいい学生たちは足元の小さな生き物を次々に見つけては大興奮!それに対するYambaru Greenさんの一つ一つの解説が面白かったです。そして、やっぱり満天の星空は迫力でした。残念ながらわたしには見つけられませんでしたが、流れ星がいくつも見えたそうですよ!!

   

    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

2日目:920

午前中は前夜歩いた与那フィールド周辺の森の昼間の様子をじっくり観察。琉球諸島の成り立ちと植生との関係、樹種ごとの特徴と地域の人々による利用、それによる生態系への影響、希少な野生動物の保全と森林利用の両立の難しさなど、森に関するいろいろを学びます。道中、キノボリトカゲや、なんと、木にぶら下がって休憩中のオリイオオコウモリなど沖縄ならではの生きものにも出会い、盛り上がりました。


午後はやんばる野生生物保護センター・ウフギー自然館、辺戸岬経、琉球大学・里山研究園の見学と盛沢山です。ウフギー自然館では、スタッフの方からのやんばるの生態系を守る取り組みについての解説がありました。そのほか、象徴的な動植物についての詳しい展示も面白いです。辺戸岬の展望台からはウミガメの泳ぐ様子を眺めることができ、学生たちは大喜びでした。里山研究園では、生態系を保全しながらやんばるならではの付加価値を生み出す新しい造林について学びます。



途中の鏡地海岸でしばし海遊び。海も砂浜も眩しい…!

「森林フィールド講座」は、北大と琉球大学・高知大学・信州大学・筑波大学・山形大学とも連携して行うシリーズ実習です。夕食後は各大学から協力に来てくれている教職員による演習林・研究林紹介も行いました。その土地の地形や文化を背景とした特色ある取り組みなど、興味深い内容ばかりでした。

    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

3日目:921

まずは、松本先生の案内で与那フィールドの林冠観測用タワー周辺の森を観察。森の中を散策しながらやんばるの森における物質循環や植生の特徴の解説を聞き、やんばるの森特有の景観を林冠観測用タワーから眺めます。すごい景観です。同行の職員さんが、シリケンイモリやヤンバルナメクジなど次々に生き物を見せてくださるので、タワーに登る順番待ちの間も学生たちはとても楽しそうでした。

その後、世界自然遺産地域にも指定されている、与那フィールドの中でも伐採履歴のない森に移動します。6070年生だったタワー周辺の森との違い、高齢の太い木が生えている森を体感し、ケナガネズミやノグチゲラなどの希少種の生息を可能にする森の特徴を学びました。ここでは、リュウキュウヤマガメも見ることができました。

午後はやヤンバルクイナ生態展示学習施設・クイナの森でヤンバルクイナを、東村のふれあいヒルギ公園で、マングローブ林をじっくり観察しました。ヒルギ公園では、マングローブを構成する3種のヒルギの特徴や生育できる環境の違いによる3層構造を学び、ミナミトビハゼやシオマネキなどの観察を楽しみました。何種類のカニを見たか、競い合って盛り上がる一幕もありました。

    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

4日目:922

実習のまとめの時間。3日間を通じての気づきや学び、感想を全員に発表してもらいました。今回は文系・理系の様々な分野を専攻する学生が集まりましたが、やんばるの森と人のかかわりについて考えるだけにとどまらず、この実習での学びを自身の専門領域にどう生かしていくかという視点の感想も多く、ワクワクしっぱなしの1時間半でした。そして、講義やフィールドワーク中にいろいろな視点からの質疑応答で盛り上がったので、森林のことをよく知る学生にとっても、フィールド科学は初めてという学生にとっても、お互いにとてもよい刺激になったようでした。幅広い学生たちに対応した講義・解説を用意し、学生たちからのひっきりなしの疑問に答え続けてくださった高嶋先生・松本先生、連携校からお越しいただいたみなさまのサポートのおかげです。本当にありがとうございました!


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

最後に、サポートしてくださった琉球大学の職員の皆さま、TAさん、ありがとうございました!そして、食べるのに夢中で()、ほとんど写真を撮りそびれましたが、郷土料理のフーチャンプルーや、毎朝ご用意くださったドラゴンフルーツ、美味しかったです。それに、せっかく沖縄まで来たのだからと組み込んでくださった海遊びも、学生たちのいい思い出になったことでしょう。

  +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

琉球大学での他の森林実習については、このブログ内の記事・琉球大学公開森林実習「亜熱帯林体験実習」でも紹介されています。違った視点で書かれているので、よろしければご覧ください。


2022年10月14日金曜日

森林フィールド講座・北海道編が開催されました(3・4日目)

 森林フィールド講座・北海道編の3,4日目の様子です。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

3日目:921

午前中は中路先生によるプログラム、「ドローンで森林を測る!」。

さまざまな分野でリモートセンシング(遠隔探査)が活躍していますが、人工衛星による森林のバイオマス(生物量)予測もそのひとつです。森林バイオマスは地球温暖化対策などの国際的な取り決めにも影響を及ぼす重要な指標ですが、予測誤差が大きいなどの課題があります。北大研究林はその課題解決に向けての取り組みに参加しており、そのひとつがドローンを使ったリモートセンシングによる森林観測精度の向上です。このプログラムでは、ドローンで測定された樹高と森の中で自分たちが計測した樹高とを比べて、リモートセンシングの誤差とその要因を調べました。

北海道内でも珍しい泥炭湿地に広がるアカエゾマツの純林にて。
泥炭湿地の特性や過酷な環境で生きるアカエゾマツの生態を学び、樹高測定へ!

ドローン飛行の実演に興味津々の受講生たち

午後のプログラムは林業。

まず、吉田先生から雨龍研究林が取り組んでいる新しい林業について、お話を聞きました。ササが生えていると森が育たないため、道北には無立木地が点在しています。研究林は、ササを取り除くことで種子散布能力の高いシラカンバなどの天然更新を手助けし、効率的な木材生産につながる森づくりに関する研究も行っています。大型の重機を使ってのササ刈り・土の掻き起こしの現場を見学しながら、道北ならではの新しい林業の可能性を学びました。その後は、技術職員さんの指導を受けながらの林業体験。トドマツの植林、チェーンソーを使っての木材加工、薪割りなどを行いました。受講生たちは、鍬や斧などの昔ながらの道具の扱いに苦労しながら、楽しそうに活動していました。

この日は道中、ひょこり現れてバスの前に座り込むという謎の大サービスで、キツネも受講生たちを楽しませてくれました。そして、北大研究林はヒグマの生息地でもあります。実は、林業体験中にヒグマにも出会いました。こちらに驚いてすぐに逃げる様子はなく、皆伐地を悠々と横切るではありませんか。数百メートル以上離れているとは言え、一同に緊張が走ります。同時に、野生のヒグマをこの目で見ているという静かな高揚感にも包まれました。でも、こういう場合は安全を最優先します。その後は、残念でしたが予定していた重機体験や伐採体験を断念し、安全な庁舎付近まで戻って実習を継続しました。

どんどん近づいてくるキツネ

4日目(922日)

実習最終日。これまで、針広混交林、ミズナラの純林、アカエゾマツの純林といろいろなタイプの森林を見てきましたが、この日は河畔林を散策しハルニレやヤチダモ、ケヤマハンノキなどを観察しました。川では、運よくイトウを見られた受講生もいたようです。

河川生態系における倒木の重要性についてのレクチャー中

実習のまとめの時間には、4日間で興味を深めたことなどを一人一人が発表しました。この実習はフィールド初心者向けに設定されていましたが、実は受講生のみなさん、鳥・魚・昆虫・植物などすでに自分の得意分野を持っている人も多く、興味深く発表を聞かせていただきました。発表の場にも慣れていて堂々と自分の興味を披露していたことも印象的でした。

森林フィールド講座・北海道編が開催されました(1・2日目)

学術研究員の風張です。「森林フィールド講座・北海道編」、コロナ禍で2年延期になっていましたが、91922日に北海道大学雨龍研究林でようやく実施されました。新型コロナウイルス対策のため、例年の半分以下の参加者を募集しましたが40名以上の応募があり、最終的には10名の学生さんが参加してくれました。3年ぶりの森林フィールド講座の様子をご覧ください。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 1日目:919

13時に名寄駅に集合し、研究林のバスで雨龍研究林の母子里庁舎へ。そして、雨龍研究林とフィールドワークの初歩的なガイダンスを受けて、いざ森林散策へ!この日は台風の影響であいにくの雨でしたが、道北の針広混交林の代表的な樹種の見分け方などを学びました。

雨のため見晴らしはイマイチでしたが、夕暮れ時の朱鞠内湖も見学

2日目:920

午前中は、小林先生による「常緑針葉樹の生き様を学ぼう!」。

葉の寿命に着目して針葉樹の生き方の戦略を、仮説検証型研究を体験しながら学びます。どんな環境条件が葉の寿命を左右するのか仮説を立て、環境条件から葉の寿命が長い・短いと予測したトドマツを選んで実際の葉年齢を数えて、自分たちの仮説が支持されるかどうかを確かめました。結果発表では、仮説が支持された班もそうでない班も議論が盛り上がりました。

サンプリングした葉の年齢を数えているところ

昼食後は、吉田先生の「さまざまな稚樹を探そう!」。

雨龍研究林には、樹齢200300年のミズナラの純林が点在しています。下生えのササが森林更新を妨げるため、老齢の木ばかりなのだそうです。そこで、研究林では木材としても価値の高いミズナラの林を維持するために、さまざまな研究を行っています。このプログラムではそのひとつ、ササを刈り取った後に地面を掻き起こすことで更新を手助けする研究を体験しました。様々な樹種の稚樹を覚えて、実際の試験区でササ刈りの条件による稚樹の生育の違いを調べました。ミズナラの繁殖戦略についての解説に、彼らの生涯の長さに思いを馳せ、ついロマンを感じてしまった受講生もいるのではないでしょうか?

ササ刈り後の試験区で、稚樹の数を数えています
ミズナラの種子(ドングリ)の生産量を調べる研究サイトにて

夕食後に、この日最後のプログラムがありました。揚妻先生による「夜の動物観察」です。

まずは、シカの個体群の動態や人との関係などのレクチャーを受けた後、ライトと双眼鏡を使ってエゾシカを探すライトセンサスを体験しました。何頭ものシカを見つけることができ、受講生たちはそのたびに大喜びでした。その後、バットディテクター(超音波検知器)を片手に夜の森を歩きました。飛び回るコウモリの出す超音波もしっかり聞くことができました。

照らされているあたりにシカ?
バスとシーツの即席スクリーンで、コウモリについての講義

例年より気温が低く肌寒い一日でしたが、受講生のみなさん元気に過ごしました。



2019年9月11日水曜日

第6回森林フィールド講座・四国編





学術研究員の奥崎です.

2019年9月2日~6日に高知大学嶺北フィールドにて開催されました「第6回森林フィールド講座・四国編」についてご紹介します. 「森林フィールド講座」は学年・学部を問わず,全国の大学生が参加可能な森林初学者向けの実習です.


今回は森林率が高く,古くから林業の盛んな高知県を舞台として,森林の調査と施業を体験する実習です.中国・四国地区大学間連携フィールド演習ならびに全国大学演習林協議会公開森林実習との同時開催となり,全国から29名の学生が参加してくれました.

1日目(9月2日)



まず高知駅から北に向かい,「ばうむ合同会社」にて若手林業家,川端さん(山番有限責任事業組合)と立川さん(地域おこし協力隊)から嶺北地域での林業や生計の立て方についてお話をしていただきました.


穴内川ダムに面する宿舎に着いたら,バーベキューです.お肉のほかに鰹とナスのたたきなど高知の名物を楽しみました.


2日目(9月3日)



いよいよフィールドワークのスタートです.演習林の説明を受けた後,林内に調査区画を作ります.




急斜面に加え,初めて使うポケットコンパス(方位磁石と望遠鏡を組み合わせた測量機器)で苦戦しながらも,無事に水平距離で10×10 mの区画を作成できました.




宿舎に戻ってからは,方位角と高低角から区画内の樹木の位置を作図しました.




夕食後はアカデミックワールドです.今回の森林フィールド講座には全国各地の連携校(北海道大学,山形大学,筑波大学,琉球大学)から教職員が参加しており,それぞれの大学の研究林・演習林での研究や活動を紹介しました.この日は奥崎が北海道の植生と昆虫の関係を,山形大学の菊池先生が上名川演習林を活用した教育と庄内地方の特色について紹介しました.


3日目(9月4日)


昨日作った区画内の樹種を調べます.よく似た樹木があるため,結構難しいです.



背の高い樹木は鎌つきの測桿で葉を採集して同定します.


午後は伐倒調査です.職員さんがチェンソーで切り倒した樹木を幹,枝,葉に分けて,それぞれの重さを測定します.



その途中でまさかの夕立,ブルーシートで雨宿りしました.



その夕立のため,野焼きは中止です.晴れていれば,ここで野焼きを体験できたのに残念.



この日のアカデミックワールドでは,筑波大学の遠藤さんから井川演習林の崩壊地と獣害対策について,琉球大学の上原さんから与那フィールドの自然環境と固有種について解説してもらいました.


4日目(9月5日)


これまでの植生調査から得られたデータをもとに,過去に人々がどのように山を利用していたのか,そして今後どのようになっていくのかを班ごとに発表しました.


午後は牧野植物園の見学です.高知の暖温帯から冷温帯にかけての植生が見事に再現されていました.


最後は高知駅で解散です.山の中での長い実習でしたが,全員元気にやり遂げることができました.次回は北海道大学の研究林で開催予定です.今回参加された方,そしてまだ参加したことない方のご参加を心よりお待ちしております.


最後に高知大学の教職員とTAの皆さん,たくさんの実習プログラムに加えて,美味しい食事に温かいお風呂をありがとうございました.