2026年9月25日金曜日

高知大学・公開森林実習「森林フィールド演習」

 雨龍研究林 技術職員 鬼澤康太

 2026年9月8日から9月11日に高知大学農林海洋科学部附属暖地フィールドサイエンス教育研究センター嶺北フィールドにて公開森林実習「森林フィールド演習」が開催されました。今回技術スタッフとして参加してきたのでその様子をご紹介します。
 今回の公開実習では全国8つの大学から17名の学生さんが参加されました。

<1日目>(9/8)

 12:40にJR高知駅に集合し、演習林宿舎までバスで移動しました。高知市街を抜けて山道を進んでいくと道は徐々に細くなりバス1台が通るのにやっとの幅員の箇所もしばしばありました。出発から1時間ほどで演習林宿舎に到着しました。荷物を部屋に運ぶなど各自準備を済ませてから講義室に集合し、鈴木教授から実習の概要の説明があった後、松本講師から高知の森林や林業と高知大学演習林の歴史などを解説していただきました。講義のあと実習を通してグループワークやプレゼンテーションを行う4つの班に分かれて自己紹介を兼ねたアイスブレークを行いました。

<2日目>(9/9)

 朝からあいにくの雨でフィールドワークの予定を変更し午前中に北岡准教授から3日目に行う予定の毎木調査の解説と調査機器の使用法のレクチャーをしていただきました。

講義と実習の後、お昼までの時間を利用して演習林の林道作設時にでたヒノキの間伐材を利用して各自箸づくりを行いました。

午後から天気が回復したので公用車に分乗して宿舎から演習林敷地に移動し、長井技術職員に研究林に自生する樹木や現在行われている研究、森林施業などについて解説していただきました。

人工林の伐採後の植生の遷移についての解説

アカガシなどの遷移前期種が優先する森

林道から高知市街を望む。
付近には気象観測装置も設置されており、長期モニタリングも実施されている。


最後にこの地域の天然林の極相林であるモミ、ツガ林を見学しました。樹冠が閉鎖したうっそうとした森に生育する大径木の様は非常に壮観でした。

<3日目>(9/10)
 午前中は天気が持ちそうだったので4班に分かれてヒノキとスギの人工林において毎木調査を行いました。測量機を使ったプロット設定から胸高直径や樹高の測定を各班協力しながら行っていました。何とか雨が降り始める前に調査を終え、昼食をとった後データ解析や4日目に予定されている発表の準備を各班で行いました。2日目に予定されていたカメラトラップを利用した動物調査は雨のため事前に設置したカメラのデータを解析するのみとなりましたが、写真や動画で動物が撮影されているため現地に行かなくとも演習林内の動物相を垣間見ることができました。

<4日目>(9/11)
 全員で庁舎の清掃や対処の準備をした後、班ごとにフィールドワークの結果をまとめた発表を行いました。まとめる時間が短時間であったにもかかわらず各班とも解析結果をよく理解しわかりやすい発表を行っていました。


発表が終わった後、バスで高知市街に移動し、牧野植物園を見学しました。園内は広大で見学時間も限られていたためところどころ速足での見学にはなってしまいましたが高知県内のみならず海外の植物も見ることができ非常に良い経験となりました。

2026年9月7日月曜日

琉球大学・公開森林実習「亜熱帯林体験実習」

北海道大学中川研究林 技術職員の伊藤です。

2026年9月1日~4日にかけて、琉球大学農学部附属 亜熱帯フィールド科学教育研究センター 与那フィールドにて3泊4日で開催された公開森林実習「亜熱帯林体験実習」に参加してきたので、その様子をご紹介します。

この実習は沖縄やんばる地域の亜熱帯林の動植物、そこに暮らす人々との共生について学ぶという内容でした。

実習は公開森林実習として行われ、北海道大学、筑波大学、信州大学、静岡大学、京都大学、京都府立大学、島根大学、高知大学、宮崎大学から13名の学生が参加しました。また、琉球大学学生スタッフ2名も参加しサポートしてくれました。

【0日目】

北海道旭川空港から那覇空港に約7時間かけ到着し、シーサーがお出迎え。モノレールで那覇市内に移動し、ホテルに宿泊。



【1日目】
那覇市内のバスターミナルから名護バスターミナルに移動し乗り換え、13:30に道の駅おおぎみ「やんばるの森ビジターセンター」に集合。
昼食もここで済ませた。
ここからは本実習校である琉球大学の谷口教授と高嶋准教授、上原技術専門職員、金城技術職員と合流し、バスで移動。



慶佐次湾マングローブ林を見学。
樹種のヤエヤマヒルギ、メヒルギ、オヒルギ、生き物では、ハクセンシオマネキやベニシオマネキ、ミナミトビハゼなどの貴重な生態に触れた。
マングローブ林では干潟の陸地化が進んでおり、環境問題が深刻化していることを知った。





見学後、宿泊先である与那フィールドに移動しガイダンスを行った。
食事については、参加学生で調理。食事当番(夕食、朝食×3日)を決めるため3班に分かれじゃんけんをし順番決め。
手際よく、調理していてビックリしました。琉球大学学生スタッフ2名のサポートは素晴らしかったです。





19:30からは管理棟周辺の夜の観察。Yambaru Greenの3名のガイドも付き、詳しい解説もありました。
参加されていた学生は、生き物に詳しく、オリイオオコウモリやヤンバルトカゲモドキ、オキナワキノボリトカゲ、ハナサキガエル、リュウキュウハグロトンボ、アオミオタニシなど、やんばるの生き物に出会い興奮していました。
もちろんハブなどの危険な生き物もいるため十分注意し行動しました。



【2日目】
9:00から与那フィールドの人里付近の森林を見学。
リュウキュウマツやイタジイ、イジュ、イスノキなど樹木も観察した。赤土の酸性土壌である「国頭マージ」も特徴的でやんばるの森に適した樹木を形成している。
生き物たちは、夜間とは違い活発に行動していた。



昼食後、沖縄本島最北端の辺戸岬の見学。辺戸岬は隆起サンゴの断崖。クタトベラが群生している。
天気は良かったが台風も接近していたこともあり白波を立てていた。



沖縄島北端部の森林施業地である伐採、造林地の見学。
やんばるの森は、天然生二次林が多く広がり、造林樹種については、リュウキュウマツやイヌマキ、イスノキ、イジュやシャリンバイが主に植栽されている。
見学した造林地は傾斜があり、人力で地拵えを行い、下刈については、植栽木以外の更新木を生かすため、膝上位の高さで下刈を行っているとのことだった。



琉球大学里山研究園の見学。
様々な研究が行われており、木材生産に応えうる可能性があるとみられるナギの植栽試験を行っている。




鏡地海岸の見学。
日差しが強かった。


20:00からは、谷口教授の「亜熱帯林を構成する樹木の生理特性と生態的特徴など」、高嶋准教授の「やんばるの森における研究」について研究紹介がありました。



【3日目】
2日間、幸運にも天気に恵まれていたが、3日目は雨が降ってしまった。
この日、予定していた午後の与那フィールド内の微気象観測タワーサイトの見学は中止となってしまった。
午前中は、ヤンバルクイナ生態展示学習施設と与那フィールドの世界遺産地域の森を見学。
ヤンバルクイナなどの希少動物のロードキル問題や保護について学んだ。
また、森では、生き物たちが暮らしやすい環境を保全するための樹洞の大切さと、林内の排水には小動物が脱出できるようスロープが設けられてるなど配慮がされていた。





午後からは、やんばる世界遺産センター ウフギー自然観の見学。
館内見学と環境省レンジャーの貴重な講話をいただくことができた。



最終日の夜、BBQを予定していたが残念ながら雨で中止となってしまった。
食堂で立食BBQ。なんだかんだ楽しい食事となった。



【4日目】
最終日、レポートを提出し無事に終了。
レポート提出後は、宿泊施設の清掃。綺麗に清掃してくれたことに感謝です。


最後に、みんなで記念撮影をし、解散場所である、道の駅ゆいゆい国頭に移動し、元気に解散しました。

私自身、初めて本実習に参加させていただきましたが、貴重な経験をすることができました。
参加された学生は、色んな事に興味・関心がありたくさん刺激をいただきました。感謝です。

終わりに、ご担当いただきました琉球大学の教職員のみなさま、学生TAのみなさま、充実した実習になりましたことに、感謝申し上げます。