2020年6月19日金曜日

森林研究・フィールドトレーニング2018「森林の物質循環と根っこのはたらき」



福澤です。2018年8月6日~10日に中川研究林で森林研究・フィールドトレーニング2018「森林の物質循環と根っこのはたらき」が行われました。参加者は1名でした。このほかに根っこを愛する研究者の方も参加されました。また、ここで研究している大学院生がサポートしてくれました。その内容について報告します。
森林では養分やさまざまな物質が循環しており、それが森林の機能を形作っています。植物の根は養分吸収したり、それがやがて死ぬと落ち葉と同じように土壌の栄養源になったり—。植物にとってだけでなく生態系においても重要な役割を果たしています。今回のテーマはそんな根っこに触れながら物質循環、森林の機能を考えるというものでした。

舞台は道北の爽快な森。

でも、地表はご覧のように背丈以上のササ(写っているのはクマイザサ)に覆われています。

研究計画の発表の様子です。フィールドトレーニングでは、研究計画を立てそれに沿って調査する体験をします。

いざ、森へ!鉄管のようなオーガーという道具で根っこを採取します。ちょっと(いや、かなり?)体育会系です。

土壌がコア状にとれますので、土壌断面の観察もできます。土壌断面は写真を撮りたくなるものですね。

森は水を育みます。ちょろちょろ流れる水を採取してみました。あとで水質分析してみます。

根っこを調べるにあっては、どれだけあるのか(定量的に)知りたいところです。これは根長を自動計測しているところです。ここまでの間に、洗って篩にかけて土壌や太い根、ごみなどを除去する楽しい作業もあります。ちなみに、細根(<直径2㎜)を対象としました。

物質循環もテーマです。採取した土壌を抽出して、試薬を加えて含まれる無機態の窒素量を測定する「化学分析」も行いました。

窒素が含まれていると色がつきます。この色の濃さから窒素濃度を測定する比色分析を行いました。
最後に、データをまとめて発表会を行いました。

最終日、発表も終わって研究林内でエクスカーションしました。下は晴れていたのにガスの中です。ここにはハイマツが自生しています。本州では高山帯でしか見られない植生が標高500mでみることができます。


このほか研究室訪問は随時受け付けています。北海道の森林でこういう研究をしてみたいという方はお気軽にご連絡ください。
文責:福澤加里部
(所属:中川研究林,連絡先: caribu(at)hokudai.ac.jp)