森林フィールド講座・北海道編の3,4日目の様子です。
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3日目:9月21日
午前中は中路先生によるプログラム、「ドローンで森林を測る!」。
さまざまな分野でリモートセンシング(遠隔探査)が活躍していますが、人工衛星による森林のバイオマス(生物量)予測もそのひとつです。森林バイオマスは地球温暖化対策などの国際的な取り決めにも影響を及ぼす重要な指標ですが、予測誤差が大きいなどの課題があります。北大研究林はその課題解決に向けての取り組みに参加しており、そのひとつがドローンを使ったリモートセンシングによる森林観測精度の向上です。このプログラムでは、ドローンで測定された樹高と森の中で自分たちが計測した樹高とを比べて、リモートセンシングの誤差とその要因を調べました。
泥炭湿地の特性や過酷な環境で生きるアカエゾマツの生態を学び、樹高測定へ!
午後のプログラムは林業。
まず、吉田先生から雨龍研究林が取り組んでいる新しい林業について、お話を聞きました。ササが生えていると森が育たないため、道北には無立木地が点在しています。研究林は、ササを取り除くことで種子散布能力の高いシラカンバなどの天然更新を手助けし、効率的な木材生産につながる森づくりに関する研究も行っています。大型の重機を使ってのササ刈り・土の掻き起こしの現場を見学しながら、道北ならではの新しい林業の可能性を学びました。その後は、技術職員さんの指導を受けながらの林業体験。トドマツの植林、チェーンソーを使っての木材加工、薪割りなどを行いました。受講生たちは、鍬や斧などの昔ながらの道具の扱いに苦労しながら、楽しそうに活動していました。
この日は道中、ひょこり現れてバスの前に座り込むという謎の大サービスで、キツネも受講生たちを楽しませてくれました。そして、北大研究林はヒグマの生息地でもあります。実は、林業体験中にヒグマにも出会いました。こちらに驚いてすぐに逃げる様子はなく、皆伐地を悠々と横切るではありませんか。数百メートル以上離れているとは言え、一同に緊張が走ります。同時に、野生のヒグマをこの目で見ているという静かな高揚感にも包まれました。でも、こういう場合は安全を最優先します。その後は、残念でしたが予定していた重機体験や伐採体験を断念し、安全な庁舎付近まで戻って実習を継続しました。
4日目(9月22日)
実習最終日。これまで、針広混交林、ミズナラの純林、アカエゾマツの純林といろいろなタイプの森林を見てきましたが、この日は河畔林を散策しハルニレやヤチダモ、ケヤマハンノキなどを観察しました。川では、運よくイトウを見られた受講生もいたようです。
実習のまとめの時間には、4日間で興味を深めたことなどを一人一人が発表しました。この実習はフィールド初心者向けに設定されていましたが、実は受講生のみなさん、鳥・魚・昆虫・植物などすでに自分の得意分野を持っている人も多く、興味深く発表を聞かせていただきました。発表の場にも慣れていて堂々と自分の興味を披露していたことも印象的でした。