森林圏科学特論Ⅲ&フィールドドレーニング
技術補佐員の大島です。今年も2019年6月10日~13日に雨龍研究林で大学院生対象の「森林圏学特論Ⅲ」が行われました。今回ははじめての試みとして全国の学部生を対象とした森林研究のフィールド・トレーニングも兼ねての実習となりました。
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この実習では、野生動物に関する科学的な調査法を体験、それらの生態学的な理論を学び、調査結果をまとめる一連の作業を通じて、理論・データ・解析・議論の関係など研究に関わる一連のプロセスについての理解を深めることを目標としています。
幌加内町母子里にある雨龍研究林 |
なんと、陸生昆虫に寄生して、その行動をコントロールするという虫・・・
それによって昆虫が魚類のエサにもなっているとか。自然界は複雑に絡み合っているのですね。 全員で周辺を探します。ハリガネムシや寄生されている虫は見つかるでしょうか??
いたようです! ただの糸ではありません。宿主から出てきたハリガネムシがこちら。
場所を移動して、今度はネズミのトラップを仕掛けに行きます。
ネズミが通りそうなところに仕掛けて。明日はかかっているといいなぁ~そしてお次は、林内に設置されている赤外線カメラの回収。動物は映っているかな??
作業はまだ終わりません。周辺のクローバーの葉を採取します。
庁舎に戻り、回収してきたカメラの画像解析やネズミの頭数調査についての講義。
赤外カメラにはシカ、ネズミ、コウモリ、人間などが写っていました。
よく動いたのでみなペロリ、でしたね?!
夜は、班毎に解析した赤外カメラからのベストショット!を発表
この後、暗闇の中シカのライトセンサス(周辺のシカ調査)に向かいました。
遅い時間まで盛りだくさんの実習です。
【2日目】
ともにトラップに入っていた 左:エゾアカネズミ 右:エゾヤチネズミ
捕獲したネズミにはマーキングをして、フィールドに放しました。
午後はブトカマベツ川で魚類調査実習です。魚を釣り上げる・・・のではなく、電気ショッカーで一時的に麻痺した魚を捕獲して調査します。
ヤマメを観察用のミニ水槽に入れて、じっくりと観察。
動物の食害に対する植物の対抗適応を知るため、既にデータのある北大構内と札幌市内のシロツメクサと比べ、その成分に違いがあるかを調べます。
夕食をはさんで、結果が出ました。幌加内町のシロツメクサは他地域のものに比べて青酸反応のある個体は少ないようでした。
この日の夕食はハンバーグとエビフライ。豪華です♪
【3日目】
最後のフィールドワークは、河川でのベントス(底生生物)調査です。
川底の石を拾い上げ、付着している生き物をひとつひとつピンセットで収集します。
時折霧雨のぱらつく寒い気候の中、頑張りました。研究には体力・気力も必要ですね。
持ち帰った無脊椎動物試料を講義室で分類します。トンボやカゲロウなど陸生昆虫の幼虫もいれば、水生昆虫、一見小石にしか見えない生物もいるようでした。
最後の夕食はジンギスカン!ここでしっかり体力を回復して、明日の課題発表に備えます。
この後、夜中過ぎまで課題に取り組んだ班もあったようです。
【4日目】
今回の実習で収集したデータやその他の課題を班毎に解析、考察し、プレゼンテーションを行いました。
各班、力の入った発表で質疑応答も飛び交います。
時間をいっぱいまで使った課題発表をもって、4日間の実習は締めくくられました。
それぞれ異なった研究テーマを抱えた学生ですが、今回の実習を今後の研究生活に存分に生かしてくださいね!
この実習の担当教員
内海 俊介:内海研HP
揚妻 直樹:けだもの研究室
岸田 治 :岸田研HP