2014年9月30日火曜日

信州大学 アルプス登山学演習

特任助教の長田です。今回は、92日から5日まで行われた信州大学農学部の公開森林実習「アルプス登山学演習」を紹介したいと思います。中央アルプスに演習林をもつという信州大学の強みを活かして、登山および渓流遡行についての技術を学ぶという全国でも珍しい学生実習です。なお、実習を行う西駒演習林は標高1,410〜2,672 mまで広がっており、全国で一番標高の高い場所にある大学演習林だそうです。

 実習には信州大学のほかに筑波大学、鳥取大学、宮崎大学、明治大学、日本獣医生命科学大学、京都府立大学、福井県立大学といった様々な大学から学生が集まりました。募集要項に体力についての記載があったことからか、元気な方ばかりでした。

9月2日(初日)

長野県伊那市の信州大学農学部・食と緑の科学資料館「ゆりの木」に集合し、ガイダンスを受けました。まず最初に信州大学農学部准教授の荒瀬輝夫先生に西駒ステーションの説明をしていただきました。つづいて本実習の責任者である同准教授の小林元先生およびTAの信州大学山岳会の皆さんにより、地形図の見方の説明を受けました。

荒瀬先生から演習林の説明を受けます
山岳会の方から地形図の読み方について説明を受けます

 その後バスで信州大学農学部・西駒ステーションの山麓にある桂小場学生宿舎に移動し、装備点検、ザイルワークの説明などを受けました。とくに安全には細心の注意を払っており、持って来た装備を全てザックから出してひとつひとつ丁寧に確認しました。登山に慣れていない学生さんが多く、また、登山は自然が相手であり何が起こるかわからないため、事前準備をきちんとすることが非常に重要だということがよくわかりました。


9月3日(2日目)

 渓流遡行の日です。演習林内の小黒川を上ります。朝4時に起きて朝食を取り、6時過ぎに皆で体操をしてから出発しました。本実習における講師でかつ、世界的に有名なアルパインクライマーの馬目弘仁さんがルートを確保してくださり、小林先生や荒瀬先生、山岳会の方々の助けを受けながら小黒川を遡行しました。学生の皆さんは元気いっぱいでした。

馬目さんがルートを作って
学生さんはひたすら
ひたすら

ひたすら 
登っていきます
目的地のシラベ小屋(標高1950 m)にて記念撮影。みんな笑顔でまだまだ元気そうですね


 夜には馬目さんによる海外登山のスライドショーが行われました。馬目さんは2012年にネパール・ヒマラヤのキャシャール峰初登攀に成功し、ピオレドール賞という国際的に有名な賞を受賞された方です(登山界のアカデミー賞とも呼ばれるほどすごい賞だそうです。くわしくはかっこいい動画を参照してください。なお、この動画の上映会も行われました)。馬目さんは非常に気さくな方で、海外の楽しい話をたくさんしてくださいました。
 
馬目さんのスライドショーは大好評でした

9月4日(3日目)

中央アルプスの西駒登山の日です。桂小場学生宿舎の掃除を行ってから、8時過ぎに出発し、西駒山荘を目指しました。途中から雨が強くなってきて、みんなずぶ濡れになりながらひたすら歩きました。森林限界を超えて山荘が近づいてきても天気が悪く、景色が良くないのは残念でした。

天気が悪い中ひたすら登っていきます
雨はやまず景色は良くなりません
西駒山荘が近づいてきました

 14時過ぎに西駒山荘に到着しました。西駒山荘は中央アルプスの将棊頭山のすぐそばにあります。1913年に小学生の登山で遭難事故が起こったことが原因となり、避難小屋として作られたという歴史があります。なお、この話は、新田次郎の小説「聖職の碑」で有名です。信州大学の中原寮と縁の深い山荘で、かつては中原寮のメンバーが交代で管理人をしていたそうで、現在でも中原寮OBの宮下拓也さんが管理人をされています。20148月にリニューアルされたばかりで、非常にきれいな山荘です。
 山荘では宮下さんから天気図作成についての講義をしていただきました。途中でラジカセの音量が上がらないハプニングがありましたが、宮下さんのアナウンスで天気図を作成しました。ここで、登山において、天気図を読み今後の天気を予想することがいかに重要であるかを学びました。

宮下さんから天気図についての説明を受けます

9月5日(4日目)

残念なことに、前日からずっと雨が続いています。当初の予定では温暖化試験地等を見学しながら山を降りる予定でしたが、前日登ってきた道をそのまままっすぐ降りることになりました。参加学生が多いですし、安全第一ですね。調査地を見学できないのは残念ですが、仕方ありません。下山中も雨足が強くなったり弱くなったりの繰り返しでしたが、昼前には桂小場学生宿舎にたどり着きました。


 みんなずぶ濡れでしたが、馬目さんがとったジコボウ(ハナイグチ)のきのこ汁で暖まりながら昼食を取りました。最後に温泉に行って体を温めてから、食と緑の科学資料館に戻って解散しました。学生の皆さんは最後まで元気でした。お疲れ様でした(学生さんにはレポートとして遡行図や行動記録をまとめる作業が残っているのですが)。

 最後に、このような手間のかかる実習をまとめておられる小林先生、荒瀬先生、馬目さんに心から感謝したいと思います。ありがとうございました。


2014年9月20日土曜日

道北の短い夏は、色んな場所で祭りが開催されます!

こんにちは、片山です。道北の季節を感じようシリーズ第3弾!今回は、名寄の短い夏についてのお話しです。


まずは8/2、名寄のお隣の町の幌加内町で開催された「朱鞠内湖湖水祭」から。
朱鞠内湖は以前にもこのブログで紹介しました通り、昔は北大研究林であった場所を、北電が買い取り、水力発電のために作られた人造湖です。この朱鞠内湖湖畔でお祭りが開催されました!

「この祭りの花火大会がすごい!」ということで、学生さんと一緒に花火見物に行ってきました。

朱鞠内湖のある幌加内町の人口はわずか1630人(幌加内町HPより)。人口密度は、全国の町では最も低い町なんです。(ちなみに、人口密度の低さ第2位は、中川研究林のある中川町、8位は、天塩研究林のある幌延町です。。さらに言うと、全国の村の中では、中川研究林の半分がある音威子府村が全国で6位みたいです。。)



人口以上の4000人の来場数があったとのことです。

写真では普通の花火のように見えますが、本当にすごかったです!
何がすごいかというと、普通の打ち上げ花火の他に、
湖に落下した花火の玉が湖水面にぶつかると花火になって、
それが湖面に反射して上下対称に見える、
という一風変わった花火があるんです!!

その他にも、大きな花火大会のわりに動員人数が少ないので、
すごい近い位置で花火を見れるので、
花火が降ってくるように見えます。

今回の花火大会には、学生さん5人と行ったのですが、初めて行った3人+私は、これまでで一番綺麗な花火大会だった、という意見で一致しました!


ところで、この花火大会のときに撮ったこの写真を見てください。



すごい蛾の量です!
これは「カシワマイマイ」というドクガの仲間です。
大量発生しています。
きづくと体についているー!!


道路標識もこんな状態に、、
朝になると、大量の死骸が落ちています、、

マイマイガ・カシワマイマイは北海道では頻繁に大量発生するみたいです。幼虫がミズナラなどの葉っぱを食べつくしてしまい、雨龍研究林でも被害にあったミズナラもあるようです。この様にマイマイガは8-11年程度の周期で大量発生するようですが、なぜ大量発生するのか、その明確なメカニズムはあまり分かっていないようです(北海道立総合研究機構林業試験場より)。



次は8/5、名寄のお祭りです。御神輿も出ていたみたいなのですが、いかんせん平日のため、そちらは見学に行くことができませんでした。でも!しっかり夕方の屋台には遊びに行って来ましたよ!





でも実は、お祭り当日、24時間降水量が150㎜程度という大雨が降り、
名寄の各地で浸水被害が出てしまいました。
事務所となりの学生さんの畑もこの通り水浸しに、、
でも、このあと排水され、無事に野菜たちを収穫することが出来たようです。
道沿いにたくさんの屋台!300mくらいありました!!
焼リンゴや焼き鳥片手にぶらぶらしてみました。

名寄の学生さんが金魚すくいに挑戦!
無事に3匹(?)持ち帰りました。

最後のお祭りの紹介は、8/31に行った名寄のお隣の町下川町の「しもかわうどん祭り」!
以前、下川町の林業への取り組みなどを見学した実習を紹介しましたが、その時にも昼ごはんで出てきた下川うどん。手延べうどんで、つるんと食べることのできる、少し細めのおうどんです。このうどんをヒューチャーしたのがうどん祭り!出店の他に、うどんの早食い大会や二人羽織りなどのイベントが開催されました。


ステージ上では様々なイベントが開催されていました。


私たち(学生さんと一緒)も早食い大会に参加!
一人前を2分以内に食べます。
早く食べた人が優勝。
優勝した人にはうどん1年分プレゼント!
一般女性の部は5人×5組からなり、1分を超える好タイムが出るなど、
どんどん盛り上がっていきます!
そして、最終組、私たちの出番!!



その結果・・・







なんと、学生さんが57秒というタイムで優勝!!
うどん1年分(36キロ)をゲットしてしまいました!!!!
素晴らしいです!!

研究林の関係者(私含む)はおすそわけを頂きました。
ごちそうさまです。そして、おめでとうございます!!!




ところで、そんなうどん早食い大会が行われていたころ、8月のはじめに大量発生していたマイマイガは姿を消していたのですが、次は「クスサン」という蛾が大発生していました。




写真を撮ったのは9月だったので、、だいぶ勢力はおさまっていました。

大量発生のときには、この様に大量の死骸があります。
クスサンの胴体部分はカラスなどに捕食されるため、
羽だけが残って、一見、落ち葉が落ちているようにも見えます。

クスサンの幼虫も落葉樹の葉を好んで食べます。
ウダイカンバが大好きみたいで、クスサンの大量発生により枯死してしまう木もあるようです。
院生のひとりがウダイカンバを研究のテーマにしていて、
クスサンではなく、マイマイガの方がウダイカンバの葉を食べてしまうので、

とっても怒っていました。

このようなガの大量発生は、森林動態や物質循環にどの様な影響を与えているのでしょうか?
面白そうなテーマですね!



さて、短い夏も終ってしまい、名寄は日々、気温が下がって冬が近づいてきています。
次は第四弾、名寄の秋をお伝えしますね!鮭の遡上・紅葉・マイタケ・山ブドウ!!
乞うご期待~!!



道北の季節を感じようシリーズ第一弾 「シラカバ樹関コーヒー」
                   第二弾 「祝・春到来!」

2014年9月4日木曜日

琉球大学 亜熱帯林体験実習 4日目(最終日)

再び事務担当の山崎です。
楽しかった実習もとうとう最終日を迎えました。
この日は3日間の体験をレポートにまとめる日です。

琉球大学 亜熱帯林体験実習 3日目

こんにちは、片山です。さて、実習も3日目となりました。3日目は片山がお送りします!
今日は1日、演習林を出て色んな場所を見学に行きます。

琉球大学 亜熱帯林体験実習 2日目

8月19日(火)

 こんにちは。 2日目担当の小宮です。
 さて、いよいよやんばるの森へ出発です。午前は与那フィールドの森を、午後は沖縄本島の北端部の見学です。はじめて(ではないひともいますが)の亜熱帯林に「興味津々」!いってきま~す。


琉球大学 公開森林実習「亜熱帯林体験実習」 に参加してきました!(1日目)

事務担当の山崎です。
8月18日~21日に行われた、琉球大学の公開森林実習「亜熱帯林体験実習」に参加してきました。
北大から参加したのは、私を含めた教職員3名です。
今回は3名でブログリレーを行い、実習を1日ずつレポートしていきます。