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2022年10月14日金曜日

森林フィールド講座・北海道編が開催されました(3・4日目)

 森林フィールド講座・北海道編の3,4日目の様子です。

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3日目:921

午前中は中路先生によるプログラム、「ドローンで森林を測る!」。

さまざまな分野でリモートセンシング(遠隔探査)が活躍していますが、人工衛星による森林のバイオマス(生物量)予測もそのひとつです。森林バイオマスは地球温暖化対策などの国際的な取り決めにも影響を及ぼす重要な指標ですが、予測誤差が大きいなどの課題があります。北大研究林はその課題解決に向けての取り組みに参加しており、そのひとつがドローンを使ったリモートセンシングによる森林観測精度の向上です。このプログラムでは、ドローンで測定された樹高と森の中で自分たちが計測した樹高とを比べて、リモートセンシングの誤差とその要因を調べました。

北海道内でも珍しい泥炭湿地に広がるアカエゾマツの純林にて。
泥炭湿地の特性や過酷な環境で生きるアカエゾマツの生態を学び、樹高測定へ!

ドローン飛行の実演に興味津々の受講生たち

午後のプログラムは林業。

まず、吉田先生から雨龍研究林が取り組んでいる新しい林業について、お話を聞きました。ササが生えていると森が育たないため、道北には無立木地が点在しています。研究林は、ササを取り除くことで種子散布能力の高いシラカンバなどの天然更新を手助けし、効率的な木材生産につながる森づくりに関する研究も行っています。大型の重機を使ってのササ刈り・土の掻き起こしの現場を見学しながら、道北ならではの新しい林業の可能性を学びました。その後は、技術職員さんの指導を受けながらの林業体験。トドマツの植林、チェーンソーを使っての木材加工、薪割りなどを行いました。受講生たちは、鍬や斧などの昔ながらの道具の扱いに苦労しながら、楽しそうに活動していました。

この日は道中、ひょこり現れてバスの前に座り込むという謎の大サービスで、キツネも受講生たちを楽しませてくれました。そして、北大研究林はヒグマの生息地でもあります。実は、林業体験中にヒグマにも出会いました。こちらに驚いてすぐに逃げる様子はなく、皆伐地を悠々と横切るではありませんか。数百メートル以上離れているとは言え、一同に緊張が走ります。同時に、野生のヒグマをこの目で見ているという静かな高揚感にも包まれました。でも、こういう場合は安全を最優先します。その後は、残念でしたが予定していた重機体験や伐採体験を断念し、安全な庁舎付近まで戻って実習を継続しました。

どんどん近づいてくるキツネ

4日目(922日)

実習最終日。これまで、針広混交林、ミズナラの純林、アカエゾマツの純林といろいろなタイプの森林を見てきましたが、この日は河畔林を散策しハルニレやヤチダモ、ケヤマハンノキなどを観察しました。川では、運よくイトウを見られた受講生もいたようです。

河川生態系における倒木の重要性についてのレクチャー中

実習のまとめの時間には、4日間で興味を深めたことなどを一人一人が発表しました。この実習はフィールド初心者向けに設定されていましたが、実は受講生のみなさん、鳥・魚・昆虫・植物などすでに自分の得意分野を持っている人も多く、興味深く発表を聞かせていただきました。発表の場にも慣れていて堂々と自分の興味を披露していたことも印象的でした。

森林フィールド講座・北海道編が開催されました(1・2日目)

学術研究員の風張です。「森林フィールド講座・北海道編」、コロナ禍で2年延期になっていましたが、91922日に北海道大学雨龍研究林でようやく実施されました。新型コロナウイルス対策のため、例年の半分以下の参加者を募集しましたが40名以上の応募があり、最終的には10名の学生さんが参加してくれました。3年ぶりの森林フィールド講座の様子をご覧ください。

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 1日目:919

13時に名寄駅に集合し、研究林のバスで雨龍研究林の母子里庁舎へ。そして、雨龍研究林とフィールドワークの初歩的なガイダンスを受けて、いざ森林散策へ!この日は台風の影響であいにくの雨でしたが、道北の針広混交林の代表的な樹種の見分け方などを学びました。

雨のため見晴らしはイマイチでしたが、夕暮れ時の朱鞠内湖も見学

2日目:920

午前中は、小林先生による「常緑針葉樹の生き様を学ぼう!」。

葉の寿命に着目して針葉樹の生き方の戦略を、仮説検証型研究を体験しながら学びます。どんな環境条件が葉の寿命を左右するのか仮説を立て、環境条件から葉の寿命が長い・短いと予測したトドマツを選んで実際の葉年齢を数えて、自分たちの仮説が支持されるかどうかを確かめました。結果発表では、仮説が支持された班もそうでない班も議論が盛り上がりました。

サンプリングした葉の年齢を数えているところ

昼食後は、吉田先生の「さまざまな稚樹を探そう!」。

雨龍研究林には、樹齢200300年のミズナラの純林が点在しています。下生えのササが森林更新を妨げるため、老齢の木ばかりなのだそうです。そこで、研究林では木材としても価値の高いミズナラの林を維持するために、さまざまな研究を行っています。このプログラムではそのひとつ、ササを刈り取った後に地面を掻き起こすことで更新を手助けする研究を体験しました。様々な樹種の稚樹を覚えて、実際の試験区でササ刈りの条件による稚樹の生育の違いを調べました。ミズナラの繁殖戦略についての解説に、彼らの生涯の長さに思いを馳せ、ついロマンを感じてしまった受講生もいるのではないでしょうか?

ササ刈り後の試験区で、稚樹の数を数えています
ミズナラの種子(ドングリ)の生産量を調べる研究サイトにて

夕食後に、この日最後のプログラムがありました。揚妻先生による「夜の動物観察」です。

まずは、シカの個体群の動態や人との関係などのレクチャーを受けた後、ライトと双眼鏡を使ってエゾシカを探すライトセンサスを体験しました。何頭ものシカを見つけることができ、受講生たちはそのたびに大喜びでした。その後、バットディテクター(超音波検知器)を片手に夜の森を歩きました。飛び回るコウモリの出す超音波もしっかり聞くことができました。

照らされているあたりにシカ?
バスとシーツの即席スクリーンで、コウモリについての講義

例年より気温が低く肌寒い一日でしたが、受講生のみなさん元気に過ごしました。



2021年12月21日火曜日

森林研究・フィールドトレーニング「近接リモートセンシングによる樹木の環境応答の評価」

担当の中路@雨龍研究林です。
今年の本フィールドトレーニングは11/7~12日(追加見学含む)の6日間行いました。

コロナ感染症の影響で9月開催を一度断念したのですが、11月の再募集では、信州大学、北大、東京農工大から4名の学部生が参加してくれました。
また、今回はゲスト講師の牧田直樹先生(信州大学)も2日間、参加してくれて、一緒に野外調査を行いました!!

初日は道内に集合。新千歳や旭川空港から、自己紹介や森の話をしながら陸路で移動。
名寄市の北大の苗畑を見学してから、雨龍研究林に到着。夜はリモートセンシングや分光観測についての座学を行いました。
2日目からは、天然の針広混交林に入ります。最初は、森林バイオマスの計測体験です。紅葉も終わってしまったので、今回はトドマツ人工林でドローン観測&マニュアル観測(樹高)を体験しました。

朱鞠内湖を望む高台にて

ドローン撮影した樹木のサイズを実測

上空から撮影した連続写真を合成することで森林表面の三次元データを作成します。
手動で樹高を実測した個体と比較するとどうでしょうか・・・・?

トドマツ人工林の立体画像
ここで計算した木の高さと学生が実測した高さを比較しました


この後、室内で解析をして、両者の関係をみてると、トドマツでは比較的良い対応が得られましたが、シラカンバやケヤマハンノキでは5~10mも過小評価になりました。
(葉が無いので樹木先端が検出されないため)

比較結果には樹種による違いが・・・

成功する、成功しないケースがあること、さらに、このような特徴を逆手にとって樹種判別や地表面の評価を行う事例について話をしました。

地上部の次は、視点を変えて、牧田先生にサポートいただきながら、樹木やササの根を観察しました。
アカエゾマツをメインに、造林地と天然林を歩きます。初めて森の土を掘る学生もいる中、樹種による根の違いや菌糸との見分け方などを習います。

牧田先生による細根サンプリングの指導

さらに、国内でも珍しいアカエゾマツの湿地林でも調査を行い、数百年前から積もった貧栄養の泥炭地に生きる樹木とその根を観察しました。

根っこだけでなく菌糸も観察。長~~い!


同じアカエゾマツやササでも、斜面と湿地、マウンドと水面下、など、立地の違いで根の形態も大きく変化します。
サンプリングをしながら、可塑性や根の機能、樹木の生き様についても議論しました。


湿地林にて。後ろには樹齢400年くらいのアカエゾマツが

さて、このような森林の地上部・地下部の観測トレーニングを行いつつ、学生たちは、自分の興味のあるものを活発に採取します。

最終日に、興味のある現象について、研究報告を行うところまでがトレーニングなのです。

今回参加した4名は『非破壊測定』や『新しい観察法』といった観点で積極的に興味を広げていきます。針葉や枝、落葉に細根、土壌まで・・・・悪天候の中、時間ギリギリまで精力的に採取しました!

獲物の整理。いろんな落葉を拾い、樹種ごと、分解の段階ごとに並べています

フィールドから戻るとサンプルの解析です。
採取した根や落ち葉を観察して、形や色、いろんな波長の反射や発光、CO2放出速度など、多面的な測定を行います。
得られるデータの意味、それをどのように活かすか・・・講義の合間に、学生間でも活発に意見交換がされました。
(中路は、終盤、この学生達のパワーに圧倒されることに・・・)

高解像度で多波長画像を撮影します
植物や土壌の多様な色に驚きでした



とにかく学生の話し合いが活発で、解析と議論が連日夜半まで続きました・・・・

最終日は4名それぞれが自分が興味を持った現象について、プレゼンテーションを行いました。 
 正味3日間と準備期間も短く、天候も厳しかったのですが、今年の4名はとてもハイレベルな発表を見せてくれました!

凄いポテンシャルの4人(体力もね)


どれも野心的で、秋~冬ならではの面白いテーマです

技術職員も交えて、質疑応答や講評など盛り上がりました
「卒論並みじゃない?」との声も

どのプレゼンテーションも、着想や予想、実験と解析結果について論理的に説明していて、内容も今後の発展が期待されるものでした。
期待通りの結果がでなかった学生が『正直、こんなに悔しいのは初めて。次こそは!』とリベンジを誓っていた点も真剣に取り組んだ結果だと思います。

短い期間でしたが、雨龍の森で得られたこのトレーニングコースの経験・知識が、今後のみなさんの研究に活かされることを願っています!!

活躍を期待しています!


2020年12月21日月曜日

森林研究・フィールドトレーニング「天然林で森林施業」

 北海道大学 森林研究・フィールドトレーニング
「天然林で森林施業」
2020年 9月23日~ 9月25日(2泊3日)


林業における現在の主要な生産対象は人工林材ですが、内装や家具に用いられる広葉樹を中心とした天然林材への需要が高まっています。この「天然林で森林施業」では、天然林資源を持続的に活用するために必要な研究を考えます。

今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、日程を慎重に検討した結果、2020年9月23日~9月25日(2泊3日)の短縮開催としました。

札幌から、森林科学科の2年生が4名参加してくれました。短期のため、期間中はフィールドでの学習を優先して、研究計画の議論については、後日やり取りする形としました。

前泊後、2日目の午前は、雨龍研究林の原生的な森林を巡りました。4人とも、これまで野外実習にほとんど出られず、「本格的に山に入ったのは初めてだった」との声も。


アカエゾマツ湿地林。4人、それぞれの興味はさまざまで、議論がはずみます。

午後は技術職員にお願いして、最近の更新施業地を回ってもらいました。ミズナラの樹冠下かき起こし地。

シラカンバが更新している様子。旭川周辺の方々と進めている「白樺プロジェクト」にも興味を持ってくれました。

間伐施工地の中にあったアカエゾマツの大径木。このあとアイヌの外洋船に使われた木です。

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翌日は、朝、中川研究林へ。私の主要な調査地のひとつである「照査法試験地」へ。膨大なデータから、どのような施業研究が可能か、議論しました。

次は、高齢のヤチダモ人工林へ。よい天気です。

4人で話が盛り上がっていました。

その後、中川町に移動し、役場の高橋直樹さんにお話しいただきました。ミズナラの植栽地。
間伐後の天然更新の状況を観察。最後は町内の工房も見せていただきました。

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今回、ごく限られた時間で 、本格的な「トレーニング」にはできませんでしたが、それぞれ、後日、天然林における森林施業に関連して「自分が行いたい研究テーマ、その方法、結果の予想」をレポートにまとめ、議論を深めました。天然更新とその補助作業、シラカンバの生育・活用についての具体的な研究提案は、いずれも研究林で実現可能な内容でした。2月に中川研究林で行われる予定の「森林空間機能学演習」の発表テーマにつなげた学生もいました。

今後、ぜひ再度、研究林来てもらい、森林の施業や管理についてさらに学びを深めてほしいと思います。

2019年7月11日木曜日

森林圏学特論Ⅲ@雨龍研究林


森林圏科学特論Ⅲ&フィールドドレーニング

技術補佐員の大島です。

今年も2019年6月10日~13日に雨龍研究林で大学院生対象の「森林圏学特論Ⅲ」が行われました。今回ははじめての試みとして全国の学部生を対象とした森林研究のフィールド・トレーニングも兼ねての実習となりました。
森林研究・フィールドトレーニング ←詳細はこちら
 この実習では、野生動物に関する科学的な調査法を体験、それらの生態学的な理論を学び、調査結果をまとめる一連の作業を通じて、理論・データ・解析・議論の関係など研究に関わる一連のプロセスについての理解を深めることを目標としています。

幌加内町母子里にある雨龍研究林
【1日目】
到着後、早速研究林内に向かい、まずは“ハリガネムシ”についての説明を受けます。
なんと、陸生昆虫に寄生して、その行動をコントロールするという虫・・・
それによって昆虫が魚類のエサにもなっているとか。自然界は複雑に絡み合っているのですね。 全員で周辺を探します。ハリガネムシや寄生されている虫は見つかるでしょうか??

 いたようです! ただの糸ではありません。宿主から出てきたハリガネムシがこちら。


場所を移動して、今度はネズミのトラップを仕掛けに行きます。
ネズミが通りそうなところに仕掛けて。明日はかかっているといいなぁ~

 そしてお次は、林内に設置されている赤外線カメラの回収。動物は映っているかな??

 作業はまだ終わりません。周辺のクローバーの葉を採取します。

 庁舎に戻り、回収してきたカメラの画像解析やネズミの頭数調査についての講義。

 赤外カメラにはシカ、ネズミ、コウモリ、人間などが写っていました。


 夕食は楽しく団欒タイム初日はトンカツのボリュームご飯です。
よく動いたのでみなペロリ、でしたね?!

夜は、班毎に解析した赤外カメラからのベストショット!を発表
この後、暗闇の中シカのライトセンサス(周辺のシカ調査)に向かいました。
遅い時間まで盛りだくさんの実習です。


【2日目】 

この日は早速、昨日しかけたネズミトラップを確認しに行きました。
ともにトラップに入っていた 左:エゾアカネズミ 右:エゾヤチネズミ
捕獲したネズミにはマーキングをして、フィールドに放しました。

 午後はブトカマベツ川で魚類調査実習です。魚を釣り上げる・・・のではなく、電気ショッカーで一時的に麻痺した魚を捕獲して調査します。

 ヤマメを観察用のミニ水槽に入れて、じっくりと観察。


 朱鞠内湖へそそぐ河口付近へ移動し、川の太さによって生息している魚の大きさがどのように違うかを見ます。仕掛けられた定置網には30センチを超えるウグイがかかっていました。 ウェーダーを着ていると、川の中を自由に歩き回れます。

 講義室に戻って、前日採取したシロツメクサの葉の実験の準備にとりかかりました。
動物の食害に対する植物の対抗適応を知るため、既にデータのある北大構内と札幌市内のシロツメクサと比べ、その成分に違いがあるかを調べます。

夕食をはさんで、結果が出ました。幌加内町のシロツメクサは他地域のものに比べて青酸反応のある個体は少ないようでした。

この日の夕食はハンバーグとエビフライ。豪華です♪

【3日目】
最後のフィールドワークは、河川でのベントス(底生生物)調査です。
川底の石を拾い上げ、付着している生き物をひとつひとつピンセットで収集します。
時折霧雨のぱらつく寒い気候の中、頑張りました。研究には体力・気力も必要ですね。

持ち帰った無脊椎動物試料を講義室で分類します。トンボやカゲロウなど陸生昆虫の幼虫もいれば、水生昆虫、一見小石にしか見えない生物もいるようでした。

最後の夕食はジンギスカン!ここでしっかり体力を回復して、明日の課題発表に備えます。
この後、夜中過ぎまで課題に取り組んだ班もあったようです。

【4日目】
いよいよ最終日です。
 今回の実習で収集したデータやその他の課題を班毎に解析、考察し、プレゼンテーションを行いました。
各班、力の入った発表で質疑応答も飛び交います。
時間をいっぱいまで使った課題発表をもって、4日間の実習は締めくくられました。
それぞれ異なった研究テーマを抱えた学生ですが、今回の実習を今後の研究生活に存分に生かしてくださいね!

この実習の担当教員
内海 俊介:内海研HP
揚妻 直樹:けだもの研究室
岸田 治 :岸田研HP