2018年10月18日木曜日

森林研究・フィールドトレーニング「森林 de GIS」

森林研究・フィールドトレーニング「森林 de GIS」を、天塩研究林において8月13‐17日に行いました。
横浜、京都、鳥取、札幌から4名の学生さんが参加してくれました。
指導は天塩研究林の高木と早柏が行い、動物の痕跡調査は同林の技術職員と森林技能職員にサポートしてもらいました。
最終日の発表会には、教職員の他、博士課程の学生や博士研究員にも参加してもらいました。

スケジュール

1日目 昼集合/ガイダンス/ドローンによる森林計測
2日目 林内一円動物痕跡調査
3日目 河川・魚調査/研究課題の設定/データ解析
4日目 データ解析・まとめ
5日目 研究発表会/昼解散

大面積の研究林を堪能しながら、1日目午後~3日目午前中に全員で野外調査を行いました。
実習後半はGIS解析をキーワードに、参加者がそれぞれの研究テーマを設定し、とりまとめを行いました。

1日目午後はドローンを使って、森林の計測を行いました。
右上にドローンが飛んでいます。
全員がドローンの操縦を体験し、森林の三次元構造を計測しました。
2日目は、4班に分かれて、林道を一日中車で周り、動物の痕跡を見つける調査を行いました。
調査した林道の総延長は153kmで、天塩研究林林道の総延長の大よそ半分でした。
クマを見ることはできませんでしたが、エゾシカやキタキツネ、エゾタヌキ、エゾライチョウ、アカゲラ、キジバト等のいろいろな動物や野鳥、およびその痕跡など、総計108件目撃し、位置情報を取得しました。
朝のミーティングで各班の調査林道の打ち合わせを行いました。

シカの親子

クマの糞

クマがフキを食べた跡
タヌキ?の糞


3日目の午前中は、天然性林と人工林の2つの流域において、河川と魚類の調査を行いました。
参加者全員で釣りをして、魚の大きさと重さを計測し、時間あたりの釣果から生息密度を比較しました。
加えて河川のpHや電気伝導度の測定も行いました。
室内作業では、GISを用いてそれぞれの流域の地形や植生、地質の解析も行いました。
調査の準備


天然性林では人工林の倍くらいのヤマメが捕れました。イワナは天然性林のみで、ウグイやドジョウは人工林のみで捕れました。

3日目午後から、発表会直前まで室内でGIS解析作業です。
各自の研究テーマは、「複数流域の植生・地形の特徴と水質との関係」、「天塩研究林における動物の分布と植生との関係」、「ドローン計測データを用いた森林構造の14年間の変化」、「流域地形の比較解析」です。
皆さん睡眠時間を削って、解析ととりまとめを頑張ってくれました。必要に応じて、既存の環境情報も加えてとりまとめを行いました。



最終目の午前中に成果発表会をおこないました。2日弱の解析・とりまとめ時間でしたが、①広葉樹林でのみ目撃できた鳥がいたこと、②ヤマメの生息密度や個体サイズが森林タイプによって違ったこと。③広葉樹の水平方向の樹冠成長速度は方位によって違い、これには主風向の影響を強く受けている可能性が高いこと。④地質が河川水質に及ぼす影響が大きいこと。など、企画者の想定以上の解析結果を発表してくれました。





以下、今回の実習で得られた成果集です。皆さん解析技術を吸収する力が素晴らしかったです。
動物痕跡位置図。青色の線が調査林道、丸印が痕跡発見位置(色で種類を区別)、
研究林の植生分布が色で区分されています。

流域単位の森林蓄積量分布。濃い緑色の流域は蓄積量が多いことを表しています。


14年間の森林蓄積量の変化。左図中心部の青色は伐採箇所を表しています。
個々の木の樹冠を黒線で分離しており、右図の個々の木の右上(北東)部分の赤色は
14年間で樹冠が広がっていることを表しています。


10ha以上の大きさをもつ流域の境界(青色)を抽出しています。地質で色分けしています。





2018年10月1日月曜日

信州大学公開森林実習「自然の成り立ちと山の生業演習」


報告者:五十嵐


9月4日から7日の間、信州大学において公開森林実習「自然の成り立ちと山の生業演習」に同行し安全管理、チェーンソー実技等で補助業務を行なってきました。
その内容について紹介します。


スケジュール
1日目 樹木観察、林業実習体験(チェーンソー玉切り、薪割り)
2日目 林業実習体験(毎木調査、高性能林業機械見学)
3日目 里山の森林観察(桂小場登山口経由~大樽小屋)
4日目 講義、レポート作成


1日目

初日午前中は荒瀬先生から演習林紹介のスライドを見せていただき、その後構内で樹木観察を行った。
樹木の特徴を葉の形、樹皮の色だけではなく、手触りや香り、味を手がかりに樹種同定を行なっていた。
また、木の実、果実の味など様々な知識をお持ちの荒瀬先生のお話に学生達は夢中になっていたのがとても印象的だった。


荒瀬先生から信州大演習林の紹介をして頂いた
樹木観察会


午後は手良沢ステーションに移動してチェーンソー玉切り、薪割りを行なう予定であった。
しかし、生憎午後から雨風が強くなり、安全な作業ができないため体験は中止になり講義に切り替えた。
チェーンソー作業は学生が楽しみにしていたプログラムだったので残念ではあったがこればかりは仕方が無い。

夕飯はTAの方々が手際の良く調理してくれて夕食会が執り行われていたが、まさかの停電!
台風の影響で木が倒れ電線にかかり線を切ってしまったことが原因だった。
夕食会は暗闇で続行されたが各々スマートフォンのライトを使い明かりを灯し語り合っていた。
結局、手良沢ステーションを旅立つ2日目夕方までは電気は復旧しなかった。
手良沢ステーションは携帯電話の電波が届かない環境だったので、電波と電気が無い状況が長く続いたが、特段問題無く円滑に実習は進んだ。


2日目

台風は夜中通り過ぎたため2日目は快晴で実習日和だった。
内容は、毎木調査、枝打ち、高性能林業機械の見学。
20m四方のプロットで毎木調査を行い、間伐木の選定を班毎で議論のうえ決定していた。
また、林業実習体験として枝打ちを体験してもらった。
高性能林業機械はハーベスター、グラップル、架線集材機を演習林に終結し一連の作業を見学してもらっていた。
時間があれば試乗させてもらえた学生もいた。
どの木を切るべきかを考える毎木調査から、高性能林業機械による伐採、運搬の作業まで一連の流れを経験できた学生達はとても貴重な体験をできたと思う。

間伐木の選定作業
枝打ち体験


3日目

桂小場登山口から西駒山荘に向けて登山実習を行なった。
前日の台風の影響で風倒木が登山道をふさぎ処理をしながらの登山となった。
時間はかかってしまったが休憩をこまめに取ってくれたため学生達も音を上げること無く登れることができたと思う。
2000m付近まではカラマツ、ヒノキの人工林があり小林先生が適宜森林の歴史について解説してくださった。
登山道一帯は里山として利用され人工林になる前は芝草を利用する場所だった。
時代の変遷に伴い芝草の利用が少なくなり人工林の整備が進んでいった背景があることを教えて頂いた。
森林の生業や変遷について書籍等で知ることはできるが、今回の登山実習のように現地で解説を聞くことによって、より鮮明に記憶に残ることになったと思う。
1日がかりの登山実習の意義を非常に強く感じるところであった。


登山の様子
靴を脱いで川を渡る


4日目

最終日は小林先生の「亜高山帯針葉樹林に関する講義」があり、前日に登山した西駒山荘付近に設定した調査地の詳細についてお話して頂いた。

小林先生による講義


講義の後2日目に行なった毎木調査のデータをヒストグラムにした。
間伐前、間伐後の環境が変わり、そのことが森林にどのような変化をもたらすようになるかを班毎にディスカッションした。
台風の影響によるアクシデントにも先生、TAの柔軟な対応のおかげで、安全で円滑に実習が進んだと思う。
その行動力と臨機応変な仕事はとても勉強になった。
また、すべての食事をTAの方々が作ってくれて疲れた学生の心と体を癒してくれた。
彼らの働きにも感服するものがある。