横浜、京都、鳥取、札幌から4名の学生さんが参加してくれました。
指導は天塩研究林の高木と早柏が行い、動物の痕跡調査は同林の技術職員と森林技能職員にサポートしてもらいました。
最終日の発表会には、教職員の他、博士課程の学生や博士研究員にも参加してもらいました。
スケジュール
1日目 昼集合/ガイダンス/ドローンによる森林計測
2日目 林内一円動物痕跡調査
3日目 河川・魚調査/研究課題の設定/データ解析
4日目 データ解析・まとめ
5日目 研究発表会/昼解散
大面積の研究林を堪能しながら、1日目午後~3日目午前中に全員で野外調査を行いました。
実習後半はGIS解析をキーワードに、参加者がそれぞれの研究テーマを設定し、とりまとめを行いました。
1日目午後はドローンを使って、森林の計測を行いました。
右上にドローンが飛んでいます。 全員がドローンの操縦を体験し、森林の三次元構造を計測しました。 |
調査した林道の総延長は153kmで、天塩研究林林道の総延長の大よそ半分でした。
クマを見ることはできませんでしたが、エゾシカやキタキツネ、エゾタヌキ、エゾライチョウ、アカゲラ、キジバト等のいろいろな動物や野鳥、およびその痕跡など、総計108件目撃し、位置情報を取得しました。
朝のミーティングで各班の調査林道の打ち合わせを行いました。 |
シカの親子 |
クマの糞 |
クマがフキを食べた跡 |
タヌキ?の糞 |
3日目の午前中は、天然性林と人工林の2つの流域において、河川と魚類の調査を行いました。
参加者全員で釣りをして、魚の大きさと重さを計測し、時間あたりの釣果から生息密度を比較しました。
加えて河川のpHや電気伝導度の測定も行いました。
室内作業では、GISを用いてそれぞれの流域の地形や植生、地質の解析も行いました。
調査の準備 |
天然性林では人工林の倍くらいのヤマメが捕れました。イワナは天然性林のみで、ウグイやドジョウは人工林のみで捕れました。
3日目午後から、発表会直前まで室内でGIS解析作業です。
各自の研究テーマは、「複数流域の植生・地形の特徴と水質との関係」、「天塩研究林における動物の分布と植生との関係」、「ドローン計測データを用いた森林構造の14年間の変化」、「流域地形の比較解析」です。
皆さん睡眠時間を削って、解析ととりまとめを頑張ってくれました。必要に応じて、既存の環境情報も加えてとりまとめを行いました。
最終目の午前中に成果発表会をおこないました。2日弱の解析・とりまとめ時間でしたが、①広葉樹林でのみ目撃できた鳥がいたこと、②ヤマメの生息密度や個体サイズが森林タイプによって違ったこと。③広葉樹の水平方向の樹冠成長速度は方位によって違い、これには主風向の影響を強く受けている可能性が高いこと。④地質が河川水質に及ぼす影響が大きいこと。など、企画者の想定以上の解析結果を発表してくれました。
以下、今回の実習で得られた成果集です。皆さん解析技術を吸収する力が素晴らしかったです。
動物痕跡位置図。青色の線が調査林道、丸印が痕跡発見位置(色で種類を区別)、 研究林の植生分布が色で区分されています。 |
流域単位の森林蓄積量分布。濃い緑色の流域は蓄積量が多いことを表しています。 |
14年間の森林蓄積量の変化。左図中心部の青色は伐採箇所を表しています。 個々の木の樹冠を黒線で分離しており、右図の個々の木の右上(北東)部分の赤色は 14年間で樹冠が広がっていることを表しています。 |
10ha以上の大きさをもつ流域の境界(青色)を抽出しています。地質で色分けしています。 |