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2023年4月19日水曜日

大規模魚類調査@苫小牧研究林

 苫小牧研究林で春と秋に実施しているビッグイベント「大規模魚類調査」を4月3日から7日にかけて幌内川で実施しました。
この調査は苫小牧研究林を流れる幌内川で実施されており、5km以上の調査区間にいる魚を捕獲して個体を識別して身体測定やDNA試料採取などを行うものです。
今回は北大から3名、他大学から3名が参加してくれました。

まずは、採捕調査です。電気ショッカーという機械で川に電気を流し、しびれた魚をすくいます。捕獲に関して特別な許可を取った人たちだけが実施できます。

捕獲した魚はトラックに設置された計測基地に運ばれ、各種計測が行われます。カメラを構えているのは北海道新聞の記者です。
(本調査は、苫小牧研究林の名物になっているのでマスメディアの取材を受けることがあります)

こちらは写真撮影の様子です。黒いボックスの中に魚を入れ、写真を撮影します。
スタッフ御手製のボックスにはきれいに撮影するための工夫が施されています(詳細は企業秘密)

魚の体重はキッチンスケールで測ります


データは記入用紙に記録します。この記入用紙も創意工夫が凝らされており、ミスが生じてもすぐに発見できます。

調査終了後、参加者にはデータ分析もしていただきました。写真はデータ分析結果のお披露目会です。自由闊達な議論もありました!

調査期間は5日間でしたが、参加者6名はそれぞれ無理のない日程で参加していただきました。次回は9月下旬から10月にかけて実施の予定です。

2018年9月25日火曜日

森林研究・フィールドトレーニング「川の動物生態学」

報告者:岸田

今年度の森林研究・フィールドトレーニング「川の動物生態学」は、檜山研究林を拠点に9月14日~17日に上ノ国町の河川で実施する予定でしたが、9月6日に発生した胆振東部地震による混乱を避けるため、苫小牧研究林で実施しました。

京都と札幌から6名の学部生が参加してくれました。
指導には、苫小牧研究林の岸田と北大農学部の荒木教授のほか、5名の大学院生と苫小牧研究林のスタッフがあたりました。


スケジュール
1日目 集合後ガイダンス,環境DNA実習,魚類調査実習
2日目 環境DNA実習,魚類調査実習,ドローン実習,バーベキュー,調査データの分析
3日目 調査データ分析結果の発表,魚類調査実習,熊撃退スプレーの実演


今回のフィールドトレーニングは、主に、水中に存在する生物のDNAを調べるための技術(環境DNA手法)の習得と魚類の生態調査手法の習得を目的として実施しました。

また魚類調査で得られたデータを分析することで、フィールドワークによってなにがわかるのかを実体験してもらいました。



環境DNA実習の様子
採水時の注意点について荒木さんから説明を受けました

分析用の水に、人体に付着した他の動物のDNAが入らないよう、人が川に入らないようにして水を汲みます。


現場でのろ過。

注射器にステリベクスフィルターを取り付け、採った水をろ過します。
フィルターが吸着した物質に水生動物のDNAが含まれているはず・・・。
DNAの分析は後日、荒木さんの研究室で行われます。


川の源流部(水が湧き出している)でも採水しました。

技術スタッフが電気ショッカーを用いて魚をしびれさせ、学生が魚をすくいます。


捕獲した魚には、サイズ(尾叉長・体重)の計測、胃内容物採取、タグの装着などさまざまな処理を施します。
大規模な野外調査ではチームワークが命。
多岐にわたる処置を、手分けして効率よく進めます。




データは迅速かつ正確に記録しなければなりません。

魚の胃内容物には、ハリガネムシも入っていました。

なぜかアメマスだけから大量の寄生虫が出てきました。
こういった発見が研究につながるかもしれませんね。


魚の捕獲方法は場所によって変わります。
ここでは、定置網を仕掛けました。

発表会の様子
調査で得られたデータを分析し、その結果を発表しました。

幸い天気に恵まれ、充実したフィールドワークを行うことが出来ました。
地震後の混乱が続く中、参加してくれた皆さん、本当にありがとうございました。

森林研究・フィールドトレーニング「池の動物生態学」


6月19日~22日の日程で、森林研究・フィールドトレーニング「池の動物生態学」を苫小牧研究林にて実施しました。

報告者:岸田

北大水産学部から1名の学部生が参加してくれました。
参加者は卒業研究で両生類幼生の生態学的研究に取り組んでいる方でしたので、今回のフィールドトレーニングは、参加者のレベルに合わせ専門性の高い内容で実施しました。


主な内容
1日目 集合,研究林の紹介,参加者の卒業研究(実行中)の発表
2日目 両生類幼生の計測実習,実験計画の立案
3日目 両生類幼生の計測実習,実験計画のブラッシュアップ,実験材料の採集
4日目 実験計画の最終チェック,実験の実行

参加者が卒業研究の経験と知識をもとに実験計画を立てました

苫小牧研究林内の池で実験材料を採集

採集したのはエゾサンショウウオの越冬幼生

TAと一緒に考え、実験計画をブラッシュアップ

完璧な実験を計画すべく、議論を繰り返します。

実験のセットアップ(孵化したばかりのサンショウウオ幼生を選り分けているところ)

実験の結果が出るまでは1ヶ月ほどかかるため、フィールドトレーニングの期間内では実験結果を確認出来ませんでした。

その後、実験はチューターが引き継ぎ、結果を参加者と共有しました。

このフィールドトレーニングの間、参加者は寝る間を惜しんで研究計画を考えました。
本当にお疲れ様でした。


2018年9月21日金曜日

森林研究フィールドトレーニング「分光技術を使った森林観察~光合成から土壌有機物まで」

森林研究フィールドトレーニング「分光技術を使った森林観察~光合成から土壌有機物まで」
2018年9月5日~9月8日開催@苫小牧研究林

担当:中路


今年のフィールドトレーニングは大変な状況の中、行うことになりました。

前日に非常に強い台風が西日本に上陸して北海道東部を通過したことで、空の便が影響を受け、初日の合流が半日遅れました。
また、2日目の未明に胆振東部地震が発生したため、2日目から3日目の朝まで停電と余震に悩まされました。
幸い、参加者はじめスタッフに怪我等の被害はありませんでしたが、食料の確保、帰りの交通手段など、多くの不安のなか始まりました。



という状況でいきなりバーベキューですが、これは決して遊んでいるわけではありません。
電気とガスが使えない状況のため、2日目は冷蔵庫の中の食材を炭火で焼いて食事にしました。
絶えずラジオで災害情報を聞きながらでしたが、この日は実習で滞在していた信州大学の学生も大勢いて、不安の中にも心温まる食事となりました。


今回の参加者は京都大学と信州大学から来た2名です。


1日目は、フィールドを見学し、夜に分光観測の基礎、応用事例、トレーニング内容について講義しました(まだ電気はきていた)。


2日目は早朝から被害状況の確認、情報収集、安全確保と停電対策・・・大変な状況だったため、当然、トレーニングコースの中止も考えました。

しかし、学生2名は『可能な限り勉強したい』とのこと、安全と交通情報を気にしながらトレーニングを続けました。



森は倒木だらけでしたので、事務所の近くで発電機を使って分光カメラを動かしました。

晴天下と遮光条件の葉を撮影し、解析の教材にしました。
ホワイトボードを使った講義を聞きながら、二人はノートPCで画像をせっせと解析します。
もちろん、照明は自然光。
植物葉の反射スペクトルの計算、Greennessやキサントフィルサイクルに関係する植生指標の解析をしました。
各指標値の光応答や葉身内の分布について、予想と結果について意見を出し合いました。


暗闇の中でカレーを食べます
夕食はランタンをつかってカレーライスです。
この後、信州大学の学生が乗るフェリーが無事に出港できると聞き、みんなで港に見送りに行きました。

一部の施設以外は市内の街灯・信号は消えており、異様な雰囲気でした。
星がとても良く見えたのは東日本大震災以来です。
普段なら、夜もレクチャーをしますが、この日は地震当日ということもあり、早めに就寝となりました。


3日目は、朝から電気が復旧しました。
被害状況もだいぶ判明し、二人の帰路も大丈夫そうという事で、いくぶん明るくトレーニング開始です。

この日は、各自の興味・仮説ににあわせたデータを取得し、解析、取りまとめをするメニューです。
非常にハードでしたが、二人とも精力的にがんばります。


信州大学の田村さんは樹木細根の形態と反射スペクトルの関係をテーマにしました。
台風の影響でいたるところに根返りを起こした倒木があります。
これを利用して、内生・外生菌と共生する樹木根を集めていきます。

京都大学の野口君は、台風の攪乱の影響をリモートセンシングデータから解析したいのこと、衛星データや各地のフェノロジー観察カメラのデータを収集します。

夜は市内の食堂で夕食をとり、ひたすらプレゼンテーションの作成です。
こちらが音をあげるほど、二人の気合が凄く・・・午前3時くらいまでやった模様です。


最終日、成果発表です。
土曜日だったため観衆は大学院生だけでしたが、かなり面白い内容で、意見も出て盛り上がりました。


田村さんの発表では、樹木の種別、細根の太さでどうスペクトルが変わるのか報告がありました。
(詳しくは書けませんが)新しい観察手法の開発や分類などに可能性が示唆される内容でした。
卒論でも樹木細根を研究したいとのこと、今後に期待です。


野口君は林冠のGreennessを指標化し、気象データとの関連性について発表してくれました。
台風に注目し、攪乱影響の不可逆性、地域間の違いなど、学部2年生とは思えないほど、質疑応答もしっかりしていました。
リモートセンシングデータを使った、気候変動が生態系サービスに与える影響の検出は今後も重要な研究テーマになるはずです。



最後に森林資料館の見学をして、解散です。
空港に行く前に、港の海鮮屋が店を開けてくれてたので(滞在中、厳しい環境だったと思いますが)最後は満足して帰路につけたのではないかと思います。

今後も、森林の営みを観察し興味深いテーマに取り組んでほしいと願っています。
縁があれば北大にまた来てもらいたいですね。

2018年6月11日月曜日

森林科学特論Ⅱ@苫小牧研究林

みなさん、こんにちは。
事務補佐員の遠藤です。
今回、私は、「森林科学特論Ⅱ」という苫小牧研究林で行われた大学院(環境科学院)の実習に参加してきました。
日程は、6/5(火)~6/8(金)の4日間です。
参加人数は男子学生8名、女子学生6名、合計14名でした。

1日目(6/5)
実習は午後から始まりました。

まずは、中村先生による「地球温暖化と森林昆虫」の講義
地面を暖めて温暖化を作り出し、そこに生えているミズナラと、温暖化させていない場所のミズナラではどういう違いが出るのかを調査します。

研究林に移動し、林冠クレーンに乗って地上25の高さまで上がります


こんなに高いんです
地上がとても遠く見えます

地上へ降りてきたら、採集した葉の窒素含量を調べます

採集した葉の窒素含量(葉緑素)をSPADで計測し、それぞれの違いを調べました。
このときは、中村先生の思うような結果にはならず、全員、温暖化と温暖化じゃないところで逆の数値が出てしまいましたが、それがなぜなのかを考えるのもおもしろいようです。

夕飯は毎回ビュッフェ形式で自分の好きな量だけ取れます。
一日目の夕食はこんな感じ。

2日目(6/6)
一日の始まりは朝食から…

朝食も毎回ビュッフェ形式でした
午前中は、車先生による菌根菌の調査です。

研究林内にある倒木に住みつく菌根菌の観察

木の根っこのように見えるもやもやの一部が菌根菌

菌根菌を採集

菌根菌を顕微鏡で観察

菌根菌をカットし、顕微鏡で見られるようにプレパラートを作ります


菌根菌のマントルがきれいに見えるように作るのがとても難しかったようです。
みなさん、集中してプレパラートを作っていました。

こちらは学生の作ったもの。とてもきれいです!


午後は、植村先生によるハンノキの調査です。
みんなでウトナイ湖へ移動します。

ウトナイ湖近くの湿原で、ウェーダーを履いてハンノキの調査

水の多い場所のハンノキと少ない場所のハンノキ、
それぞれの基部直径、最大稈長、樹幹面積(直径と短径)を測ります
湿原では、ぬかるみに足を取られて動きにくく、体力を奪われます…

歩いて川くだりをする男子学生たち。ウェーダーならではの楽しみ
講義室に戻り、みんなで採集したデータの解析をします。

エクセルを使ってデータ解析

C/F値を算出し、低木型と高木型のハンノキで、死亡率に違いが出るかデータ解析します。
今回のデータでは、どちらのハンノキも来年、枯死する確率は低いとの結果が出ました。
文系の私から見ると、エクセルでちゃちゃっと簡単にデータ解析してしまう学生さんたちは、とてもかっこよかったです!

3日目(6/7)
本日は、日浦先生と中村先生の講義です。
日浦先生は、NPP(ある時間内にどれだけ物質が生産されるか)について、
中村先生は、被食(食害)についての講義です。
研究林から一本のミズナラを伐採してきて、NPPのデータ採集と被食を調査しました。

番号のついた木をみつけ、樹種を調べて、幹の直径を測ります
1班につき30本程度測りました

これはシカに食べられた跡
スタッフの方が木を伐採してくれました

切った木を細かくしてトラックに積み、建物へ運びます
  
みんなで葉っぱを摘み取ります → 摘み取り完了

細かく切った幹や枝、葉を測り、一本の木の重さを出します
ようやく終了~
やりきった感にあふれてる!
続いて、ミズナラの上部と下部それぞれ100枚ずつ葉っぱを選び、目視で被食率を確認
選んだ葉っぱの窒素含量と葉の厚さを計測
採集したデータを解析

このデータ解析が非常に大変で、みなさん四苦八苦しながらがんばっていました。
夕飯の時間になっても、残って解析している学生も…


最後の夕飯はカレーでした♪

4日目(6/8)
いよいよ実習も最終日を迎えました。
午前中、苫小牧研究林内をバスでめぐるエクスカーションです。


シカ柵実験
シカの密度によって、森にどういう影響が出るかを研究している場所です。赤線より右はシカが高密度でいるところ、左は、シカを減らしているところです。植物の量が明らかに違います。


左の写真は大人のジャングルジムと呼ばれている調査場所
右の写真は丸太温暖化実験をしています

土壌の断層観察
台風で更地になったところを利用し、草木の植生遷移の調査を始めた場所
有機物質を取り除いた土地、有機物質はあるけど、土を押しつぶして固めた土地、何もしていない土地
この3つの土地の植生の違いを観察

苫小牧研究林内を流れる川の調査区域
晴れていたら、とてもステキな場所です
見学終了後、宿舎に戻り、お昼を食べて、苫小牧駅で解散となりました。

以上、盛りだくさんの内容で、とても充実した実習だったと思います。
学生のみなさんは、男女問わずすぐに仲良くなり、大変和気あいあいとした雰囲気の中で実習を楽しんでいました。
先生方、学生のみなさま、お疲れさまでした!

苫小牧研究林宿舎裏手の池
絵葉書になりそうな風景