2014年6月7日土曜日

初春の雨龍、にぎやかな苫小牧!

みなさん、こんにちは。名寄の片山です。名寄はすっかり夏になってしまい、今日(6/4)は35℃まで気温が上がりました!でも、朝方には10℃まで気温が下がります。季節の移り変わりが早く、1日の中の気温差もとっても大きくてびっくりしてしまいます。

さて、そんな中、少し前ですが、5/19に雨龍研究林の泥川アカエゾマツ林に行ってきました。このブログでも何度か紹介しています(こちら→南の果てから北の果てに!)。



夏の泥川アカエゾマツ林。ササが1m以上も高く、密に生えているので、
森の中に入るのは至難の業です。こういうところには、ダニもたくさんいます・・・。


冬の泥川アカエゾマツ林。
とってもきれいですね!

そして・・・。



初春(5月)のアカエゾマツ林です!!
右下に吉田先生がいますね。アカエゾマツがとても大きいことがわかります。
雪がしまって、ツボ足(スノーシューなど何も特別なものをはかないただの長靴の状態のこと)でも、簡単に歩けます。(たまに、ずぼっと雪にうもりますが。)でも、ササはまだ倒れているので、簡単に歩けるんです。こんな状況、1年の間に数週間あるかどうかです!道北では、ササという強敵がいるため、毎木調査(木の直径を測定する調査)は、この時期に行われます。



列状に木が生えていますね。これは、アカエゾマツの「倒木更新」です。
倒れて死んだアカエゾマツの上に、新しいアカエゾマツが生えて大きくなっています。
ササが多いこと、泥炭地で水位がとても高いことなどの理由により、
倒木の上の方が、アカエゾマツが芽生えるには良い環境であるようです。


雪どけ水でとても水位の高い泥川です!
9月に来たとき(森林保全実習)とは全く違う景色でした!!
アバンダンドチャネル(今は使われていない水路)が、とってもよく分かりました。

さて、これは泥川流域の夏の景観で・・・

これは同じ場所からとった冬の景観です。そして・・・
今回がこれ!ヤナギやカンバの芽が出つつある、まさに新緑です!
ちなみに、この時期の名寄はすっかり春到来しています。

道路にはクマさんの糞が・・・。


さて、そんな初春の雨龍から、春真っ盛りの苫小牧研究林に移動です!
苫小牧では、山菜真っ盛り(ちょっと終わりかけ)で、頂いた山菜を天ぷらにすべく、山菜パーティーを開きました!


苫小牧研究林出身の太田シェフによる天ぷら料理です♪
東京農大、北大生、筑波大の先生、苫小牧研究林ポスドクの人たちなど、
たくさんの人が集まって賑やかな週末でした!
色んな出会いがあることも、研究を行う楽しみのひとつだと思います。

タラの芽、コシアブラなどなど!
私は初めて食べたのですが、本当に美味しかったです!

ウドも頂きました!
苫小牧研究林に来ている学生さん(来月、このブログで紹介予定です!)の
出身地が名古屋ということで、赤みそベースの酢味噌で頂きました!
このほかにも、ギョウジャニンニクで作った餃子もあったのですが、
食べることに夢中で、写真を撮っていませんでした、、

ついで、じゃないや、山菜パーティーのメインの目的は、
数日後に誕生日を迎える苫小牧研究林修士1年生の学生さんを祝福することです!
サプライズケーキを準備しました!

さて、次の日は、神戸大から(ハリガネムシの)佐藤先生がいらっしゃいました。
目的は、ハリガネムシの調査を苫小牧でもやって欲しいとのこと。
調査を担う苫小牧研究林スタッフに向けて、ハリガネムシがどういう生き物なのか、
という講義のあとに、フィールドに出て、実際の調査について説明をして頂きました。

面白そうなので、私も含め、学生・ポスドクの人たちも見学に行ってみました。

数日前に仕かけたハリガネムシトラップに、ハリガネムシかかっているかな??

いました!!分かりますか?ハリガネみたいなものがハリガネムシです!

ハリガネムシ先生とハリガネムシ!
ハリガネムシ先生は、とっても気さくで話もすごく面白い「ハリガネ関西人」なのですが、
こう見えて(?)、日本生態学会の宮地賞という
とても素晴らしい賞を受賞された、新進気鋭の研究者なんです!

ハリガネムシってどういう生き物なのでしょう?
ハリガネムシはそもそも川で生まれるのですが、
カゲロウなどの水生昆虫に食べてもらい、寄生し、
水生昆虫が大きくなって陸に上がるのを待ちます。
陸にあがった水生昆虫は、カマドウマやカマキリ、ゴミムシに食べられてしまいます。
すると今度は、ハリガネムシはカマドウマなどに寄生し、
カマドウマなどの体の中でどんどん成長します。
そして、十分成長した後、ここがとっても怖いのですが
寄生しているカマドウマたちの行動を操って、
水中自殺させちゃって、カマドウマの体から晴れて脱出するんです!!
(つまり、カマドウマなどが自分で川に飛び込んで、自分は死んでしまい、
ハリガネムシはカマドウマから脱出します。)

この写真は、ハリガネムシに寄生された昆虫が水の中に落ちたため、
ハリガネムシがお尻から脱出しようとしているところです。


このハリガネムシ調査を行う研究林スタッフからは、「人間には寄生しないのか?!」と重要な質問がありました。考えただけでも恐ろしいですね。人間に寄生すると、体の中がハリガネムシでいっぱいになって、しまいには川に投身してしまう・・・、あわわわわ、、、

でも大丈夫です!人間がもしハリガネムシを食べたとしても、寄生はされません!イワナなどの魚にも寄生はできず、死んでしまうみたいです。でも、イワナに陸の宿主ごと食べられたハリガネムシは、ウネウネ行動をおこし、それによりイワナはハリガネムシを吐き出し、イワナから脱出に成功するものもいるみたいです。


ところで、イワナは川の中に住む魚ですが、イワナの食べるエサのうち6割程度がカマドウマなどのハリガネムシの宿主になっている川もあるそうです(エネルギー換算。詳しくはこちらの論文を読んでみてください!)つまり、イワナは森の昆虫たちに頼って生きているわけです。ですので、ハリガネムシが寄生した昆虫に投身自殺させることは、イワナにとっては生きるうえでとても重要なことかもしれません。そして、季節によってもハリガネムシの出現頻度は異なってくるみたいなので、イワナにとってのハリガネムシの重要性というのは、季節によっても異なるかもしれません。佐藤先生は、河川に棲む生き物にとって森がどんな風に重要であるのかを、主にハリガネムシを通して研究されているとのことでした。

森にすむ生き物と川にすむ生き物。ハリガネムシが両者をつなぐ重要な役割を担っているんですね。ハリガネムシ、その生き様から果たしている役割まで、とっても興味深いです!


その他、おじさんたちが色んな調査をしていましたが、
残念ながら今回はあまりうまくいかなかったようです(つまり、失敗・・・)。
研究というのは、失敗することは日常茶飯事です。
もちろん、失敗してしまうととっても哀しいですが、
このおじさんたちも、今回の失敗をもとに次の調査の計画を立てていました!
おじさんたちの背中、かっこいいですね!!

こんな風に毎日楽しい苫小牧研究林!
やさしく指導してくれる日浦先生もいます!
大学院生、募集中です!!



さて!もう既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今年、新しいタイプの実習を開催します!大学・学部・年齢にかかわらず、誰でも参加できます!南紀熊野の森で、林業を中心に森について学びます。実際に体験して、色んな人の話を聞いて、そして、様々なバックグラウンドを持つ学生と交流するチャンスです!参加者は20名限定で先着順です。ぜひ、早めに応募ください!
森林フィールド講座ホームページ 

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