実習3-4日目は長田が担当します。
3日目は琉球大の方々の調査地の見学および毎木調査を行いました。これは昨年の公開森林実習にはなかった、今年新たに追加されたプログラムです。
ここで与那フィールドのフラックスサイトについて紹介します。
現在、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が上昇して温暖化が進んでいます。このため、森林がどのくらいCO2を吸収しているかを把握することはとても重要です。与那フィールドでは、森林におけるCO2の出入り(CO2フラックス)を調べるためのさまざまな調査が行われています。一番の特徴は、林冠における大気CO2濃度を測定するための観測タワーが設置されていることです。
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タワーを下から見上げるとこんな感じです |
まず、琉球大の松本一穂先生にタワーを使った研究について解説していただきました。このタワーは高さ
14.9mで、森林の尾根部に建てられています。台風の影響が大きいため、尾根部の樹高は
10mくらいしかないんですね。結構低いことに驚きました(谷ではもう少し高くなります)。ちなみにタワー上につけている観測機器は、台風が来るたびに外すそうです。高価な機械ですので、台風のたびにつけたり外したりするのは大変そうですね。
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松本先生からタワーについての説明を聞きます |
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タワーの上から見た景色です。一番上に登ると周りの景色が綺麗です |
このタワーをほぼ中心として、50m✕50mの調査区が設定されています。ここにはイタジイ(スダジイ)、タイミンタチバナ、リュウキュウモチなどの常緑広葉樹が生育しています。
この調査区の一部について、毎木調査を行いました。5m✕5mごとに区切ったコドラート内の樹木個体の胸高直径と樹高を測定していきます。スタッフのかたに丁寧に指導していただきながら、作業を進めました。森林科学系の学生さんはこのような調査には慣れているかもしれません。が、森林フィールド講座には森林初心者の文系の学生さんも参加しています。こうした学生さんにとって、森林で調査をすることがどのような感じなのかを実感できたのではないでしょうか。
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測桿を使って樹高を測ります |
さらに、琉球大の学生スタッフの寺澤さんに土壌呼吸や樹幹流などの測定についての説明をしていただきました。いろいろと試行錯誤しながら研究を進めている様子がわかり、参加学生が研究というものに触れる良い機会になったと思います。
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寺澤さんから土壌呼吸の測定についての説明を受けます |
午後には人工林の見学をしました。道中でリュウキュウヤマガメやヒメハブ、ヤンバルヤマナメクジなどを見つけるたびにカメラが群がります。生き物好きな学生さんばかりです(ちなみにヒメハブはハブより毒が弱く、あまり動かないため、長靴を履いていればほぼ安全とのことです)。そして、イジュとスギの人工林です。本土とはだいぶ様子が違いますね。スギはここではあまり良く育たないとのことです。
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与那フィールドの見学が続きます |
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ヒメハブ発見!歩道の真ん中で寝ていました
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ヤンバルヤマナメクジです。でかいです |
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イジュの人工林です。成長量を調査しています |
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スギの人工林です。成長が悪いため、最近では広葉樹造林に変わっているそうです |
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スギのまわりに木性シダ(ヒカゲヘゴ)が生育しているのが不思議な感じです |
一旦宿舎に戻ってから与那区公民館(よんな~館)に移動して夕食です。たくさんの郷土料理を作っていただきました。
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たくさんの料理をバイキング形式でいただきました。これには皆感動していました |
夕食がすんでもプログラムは終わりません。宿舎に戻ってから、アカデミックワールド第2部が始まりました。この日は信州大学の荒瀬輝夫先生、筑波大学の門脇正史先生、そして私が発表しました。荒瀬先生は信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センターの紹介と植物標本の作成などについて、門脇先生からは筑波大学農林技術センターの演習林の紹介と、ヤマネの研究について話していただきました。
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荒瀬先生による発表の様子です |
そして最後に私が苫小牧研究林の紹介と樹木の展葉フェノロジーの研究について話しました。さすがに参加者の皆さんは疲れているようでしたが、それでも積極的な質問がとんでいました。
皆さん、夜遅くまでお疲れさまでした。
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