2014年1月22日水曜日

南の果てから北の果てに!(琉大造林学研究室@厳冬の天塩、雨龍研究林)

こんにちは、名寄の片山です。気づいたら、もう2014年!名寄はすっかり厳冬期に入り、毎日の最低気温が-20℃を下回る季節になりました。そして、積雪も1m!国内でも有数の寒くて雪の多い場所なんです。

そんな、真っ白で氷点下の道北に、亜熱帯の沖縄に住む琉球大学の方が実習に来られました。今回は、南の果てから来られた皆さんが、北の果ての森での実習を紹介します!


2014年1月15日、琉大造林学研究室から、教員・学生さん7人が北海道に来られました。実習1日目は、札幌から特急に乗り、一気に天塩研究林まで移動です。
天塩研究林では、以前も紹介したカラマツ林のフラックスタワーを見学しました。この研究サイトでは、森林と大気の間でどのくらいの二酸化炭素が交換されているか、つまり、森林が正味、どのくらいの二酸化炭素を吸収(or放出)しているのかといった森林の炭素循環に関する観測が行われています。観測は2001年から始まり、2003年にもともとあった針広混合林を伐採し、その後、カラマツを植林しました。案内は高木林長です!

冬の間、森の中を移動するには雪上車に乗ります!

今回、森の中の移動は、ほとんどが雪上車でした。

雪上車はもちろんのこと、雪を見るのも初めて、という学生さんもいました。
みなさん、歩くのに一苦労・・・。ほら!タワーが見えて来ましたよ!!
このとき、積雪約1mです。かろうじて、スノーシューやかんじきなしで
歩くことが出来ました。

夏の間は、青々としていたカラマツ林とその奥の針広混合林でしたが、

天塩フラックスタワーから撮影。 (2013年6月)

今回行ってみると、真っ白な世界が広がっていました。

天塩フラックスタワーから撮影。(2014年1月)

伐採前、森林は炭素の吸収源でしたが、伐採後に炭素の放出源となりました。しかし、伐採後8年目で再度、炭素の吸収源になったとのことでした。

夏の間、林床を覆っていたクマイザサは、雪の下で越冬しています。ササは樹木の更新にはマイナスの影響がありますが、樹木の栄養である窒素を保持する機能(物質循環機能)という点からは、プラスの効果があることが近年分かってきたようです。

雪の上には、色んな動物の足跡がありました。高木林長の説明の間にも、キタキツネがトコトコトと歩いていました。

最近、琉大演習林内のやんばるの森にもフラックスタワーを立てられたようです。歴史ある天塩のタワーとやんばるの新しいタワー。色々と違うところが多いようで、学生さんたちは自分たちのタワーと比較しつつ、高木林長に質問する、ということを繰り返していました。


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余談ですが、天塩に向かう列車の中で、途中、列車が減速しました。なぜだろうと思うと、車掌さんからの放送がありました。

「現在、列車の前にシカが走っており、この列車はシカと一緒に走っています。」

(ああ、そういうこともあるんだな~)
しばらくすると、列車がついに止まってしまいました。

「現在、シカが走るのをやめてしまいました。しばらくお待ちください。シカをひいてしまったわけではありませんのでご安心ください。」

(うん?シカ・・・、、早くどけいてくれ!中川駅で高木林長が待ってるんだから!!)
そして、またしばらくすると、

「やっとシカが走り始めましたが、まだ、前を走っております。」

(まだ走るの?!!笑 シカも大変だなあ、、)
と、シカと列車の追いかけっこの実況中継をしてくれました!しばらくたって、やっと、シカが線路から降りてくれたようで、列車はもとのスピードに戻りましたが、このために到着時間20分程遅れてしまいました。こういうことは、よくあることみたいです。
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さて、そんなハプニングもありましたが、1日目のメニューを無事に消化し、天塩研究林から名寄まで戻って来ました。名寄に着いたのは20時前。雪がしんしんと降っていて、街はしんと静まりかえっていました。この日は雪が降っていたので気温はあまり下がらず、-10℃程度でした。



2日目は、雨龍研究林にて林内散策をしながら、針広混合樹林の特徴を勉強します!
雨龍研究林は北海道の中でも豪雪地域で、積雪はおよそ2m!ですので、長靴では林内は歩けません。というわけで、山スキーです! 
みなさん、もちろん初めての山スキー!山スキーの板には、ゲレンデスキーの様なエッジがなく、曲がることがとても難しいのですが、板の裏にはアザラシの毛がついていて、坂道でも登っていくことができます。(北大研究林のスキーはとても古いので、アザラシの毛がついていますが、今売られているものは人工物だそうです。)林内はあまり傾斜がないので、普通に歩くだけ。皆さん、すぐにコツをつかんで、ガシガシ歩いていきます!


山スキーで林内散歩です。
吉田林長による森の解説。
天候は晴れ!とても気持ちの良い天気です。この日、案内頂いたのは、吉田雨龍研究林長。トドマツとアカエゾマツの見分け方や、ミズナラどんぐりの豊凶などについて話を聞き、クマゲラの巣を見、ヤチダモの種子がクルクルと落ちてくるのを見、汗だくになりながら、とても気持ちの良いお散歩となりました。

そして、途中の斜面では、スキーの練習の時間!勇気ある男子学生たちが斜面をさっそうと滑りました!初めてとは思えないほど、とても上手に滑っていました。
雨龍研究林の技術職員さんをお手本に、
斜面を滑りぬけます!
森から出ると、夏にはそば畑だったところに雪原が広がっています。とても寒いので、雪の結晶がはっきりしていて、それが太陽に反射してキラキラ輝いていました。写真ではその美しさをお伝えできず、とても残念です。

森から出て、雪原を歩きます。


午後は再び雪上車に乗って、泥川流域の方に足をのばしました。いつもの展望台から流域の植生の変化を眺めます。

ここからは泥川流域全体を眺めることができます。
泥川沿いの湿地林、その周辺に広がるアカエゾマツ泥炭湿地林、
斜面あたりから広がる針広混合樹林帯と、微地形により景観が異なります。

夏にはこの様な感じでしたが、
今回はこの様に、真っ白の世界が広がっています。

展望台からアカエゾマツ純林が広がる泥炭湿地林に下りてきました。ここも夏はササが覆い茂っているのですが、今回は全くササの気配はありません。この冬の景色を見ると、まるで北欧ですね。

冬の泥川アカエゾマツ林。

夏の泥川アカエゾマツ林。林床にはササが繁茂しています。

午後は「かんじき」を履いて森を歩きました。このシンプルな履物が、とっても歩きやすいんです!これまでひんぱんに転んでいた学生さんも、今回は全く転ぶことなく歩いていました!しかも、このかんじきは北大研究林の職員さんの手作りとのこと。木でできているのですが、曲げる技術がとても高度で、今では作れる人がいないとのことでした。

かんじき




3日目は、北大研究林で行われている天然林施業の研究を学ぶため、伐採現場の見学を行いました。ここ道北の森では、伐採は冬に行っています。夏に行うとササが繁茂していて大変なのですが、冬だとササの心配をすることはありません。
と言っても、もちろん、簡単に作業できるわけではありません。先週末に大雪が降ったようで、伐採現場や土場を除雪するのに何日も費やすとのことです。また、積雪が2m程度もあるので、伐採木周辺の雪を掘り起こす必要もあるようです。

もうだいぶ慣れた雪上車に乗り、伐採現場に到着して、技術職員さんから説明を受けます。皆さん、熱心に説明を聞かれていますね。

ちなみに、この日の前日、写真の様にきれいに晴れていたため放射冷却がすすみ、とってもしばれた(冷え込んだ)朝でした。雨龍研究林の気象観測では、-33℃まで下がったとのことです!!
日本の最低気温の記録は、旭川の-41.0℃という公式記録(気象庁観測)がありますが、非公式では-41.2℃という記録もあります。これはまさに、北大雨龍研究林(幌加内町母子里)で観測された記録で、雨龍研究林は国内でも本当に寒い所なんです!


伐採現場で説明を受けます。

さて、今日はこの立派なアカエゾマツを伐採するようです。沖縄からの学生さんということもあり、現場の方々はいつもより気合いが入っているようでした!笑

このアカエゾマツを伐採します。


この大きな木(樹高約30m、胸高直径40㎝)は、たった数分で倒れてしまいました。

数分の間に伐倒されました。重機で土場まで運びます。

そして、重機を使って土場に運ばれ、枝を切り落とし、玉切り(規定の長さに丸太にすること)し、あっというまに出荷される姿になりました。

ベテラン山師に丸太の等級の解説などをして頂きました。

北大研究林では、生態系の保全を含め、持続可能な天然林の施業(伐採・間伐・植栽など木材生産にかかわるおこない)は可能かどうか、という問題について、研究を行っています。本州ではスギやヒノキなど、山全体を一度伐採し、単一樹種を植林する、という「人工林施業」が主流ですが、北大研究林では、もともとあった森(天然林)から少しずつ木を伐って、天然林を維持しながら木材を生産する「天然林施業」を行っています。

天然林を維持しながら木材を生産するためには、どの樹種の、どのサイズの木を、どのくらいの量で、どの様に伐採し、どの様に更新(新しい樹木が生育すること)させるのが良いのか(更新させることが出来るのか)、といったことをきちんと知る必要があります。しかしながら、樹木が成長するのにはとても長い時間がかかりますので、一朝一夕にはその様な問いに答えを見つけ出すことは不可能です。では、どうやって問いに向き合うのか?それは地道に、1本1本の木の成長を測り(つまり、毎年直径を測り)、あるいはひとつひとつの実生(発芽したばかりの植物)を調べ、どういう施業をしたらどんな風に森林全体が成長し、更新するのかを、長い時間をかけて調べていく必要があります。その様な研究を、実際の森林をフィールドに、地道に続けています。

興味のある人は、吉田先生のHPを是非ご覧になってください!



さて、午後はゼミの時間です。今回は琉大と名寄院生とのスペシャル合同ゼミ!琉大の教員の方も含め、琉大の皆さん+名寄の学生さんに研究紹介をして頂きました。これがとっても盛り上がり過ぎて、14時から4時間半も、大幅に予定を延長して議論が繰り広げられました。とても興味深い研究ばかりでした。この後は、琉大・北大の懇親会が行われました。

総勢20名にものぼる合同ゼミ!



さて、最終日はエクスカーション!朱鞠内(しゅまりない)湖にワカサギ釣りです!!朱鞠内湖は日本最大の人造湖で、イトウを釣ることができることで有名ですが、冬にはワカサギ釣りも楽しめます。琉大の学生さんたちががんばってくれ、無事にたくさんのワカサギが釣れました!


朱鞠内湖です。道東の方の雪が少ない地域の湖と違って、
雪の多いこの地方では、氷は薄く、50㎝ほどの深さのみぞれのようなものが
湖面に蓄積されている、という感じです。
大漁!

もちろん、ワカサギは天ぷらにして頂きました!
美味しい~!!


今回は、南の端からはるばる北の端に来て頂きました。気温差なんと、40℃以上!!琉大の学生さんには沖縄出身の人が多く、初めて線路を見た、とか、キッチンの給湯器が何か分からなかった、など、思いもよらないところでびっくりされていたようです。また、宿舎では毎晩「水落とし」といって、水道管が凍結破裂しないように水を地面まで落とす作業をする必要があります(最近の家は気密断熱機能が向上して、その様な必要はありませんが、宿舎は古い建物なので、毎晩水を落とす必要があります)。その様な北の生活も体験して頂きました。


日本には色んな気候帯があり、そこに生育する森林も大きく異なります。やんばるの亜熱帯の照葉樹林と道北の針広混合林。森林の生育の仕方や樹木の種類、そこに生育する生き物も違います。森林施業の仕方も異なるし、そこに住む人間の生活様式も異なります。その様な「多様性」を理解し、沖縄に帰っても、たまには北海道の森に思いを馳せてくれたらいいな、と思いつつ、みなさんを名寄から送り出しました。

次は私たちがやんばるに行きたいな!

2013年12月14日土曜日

拠点シンポジウム in 広島

みなさん こんにちは。 苫小牧研究林の佐伯です。

2013年11月23日に、広島大学主催の拠点事業シンポジウムに、山崎さんと参加してきました。このイベントは、練習船、農場、演習林などの野外フィールド施設をもつ大学のうち、文部科学省より拠点事業認定を受けている団体が集まり、情報交換をするために開かれたものです。

拠点事業というのは、正式には「教育活動共同利用拠点事業」といいます。いうなれば、演習林などの教育施設を、自分の大学だけでなく、他大学の学生さんたちにも、積極的に使ってもらおう! というキャンペーン活動のことです。わたしたちが所属する北海道大学研究林も拠点認定を受けており、これまで多くの方に利用をいただいています。


シンポジウムは、各参加団体によるポスターセッション、講演、パネルディスカッションの3部構成で行われました。

講演直前の様子です。全国の拠点認定を受けた大学関係者が集まりました。
 
 
ポスターセッションの様子です。
大学ごとに事業紹介のポスターやパンフレットを持参し、取組の紹介をしています。


北大研究林のブースにも多くの方が訪れてくださいました。つたない説明でしたが、少しでも有意義な情報を提供てきていたらうれしいです。大学によっては、PRムービーなども作っていました。
私たちもつくらないといけませんね!

演習林代表としてご講演くださった京都大学吉岡先生です。最後に、北大のネットワーク型拠点事業についても説明をしてくださいました。ネットワークの取組についてはまた別の機会に紹介させていただきますが、講演後のポスターセッションでは、たくさんの質問、コメントをいただきました。


演習林関連では他に、新潟大学の佐渡ステーションの方がポスター発表をされていました。日々の運営について情報交換できてよかったです!

※新潟大学佐渡ステーションのブログアドレス
http://sadoken.blogspot.jp/2013/11/blog-post_26.html



北大の発表に用いたポスターはこちらです。 (じゃーん!)
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~kyoten/poster.pdf

そして、このシンポジウムで初お披露目となりました、PR用リーフレットです。(じゃじゃーん!!)
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~kyoten/leaflet.pdf
※リーフレットの2ページ目の研究林紹介は、各林長から直接、文章と写真をご提供いただいたんですよ。林長一押し「萌えポイント」、ぜひともご一読ください!


北大研究林では、これからも、全国の学生さんに喜んでいただけるような事業運営を目指してがんばります。よろしくお願いいたします!



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お昼やすみに山崎さんと食べに行ったお好み焼きです。わたしはネギをたっぷりのせたメニューを注文しました。シンポ終了後には、カキやガンス(絶品!http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%99)も食べて、広島の夜を満喫させていただきました。

2013年12月13日金曜日

謎の訪問者

みなさんこんにちは。苫小牧研究林の佐伯です。少し前のことですが、わたしたちの研究林で大変な事件が発生しました。

********* 再現VTRスタート *********

O君 (苫小牧研究林 D3学生)
  「佐伯さん、佐伯さん、大変です。なんか今、未確認生命体が、すぐそこの森にいました!

佐伯
  「え、未確認生命体?! どんなのだったの?」

O君
 「そこの窓からのぞいてみてください! なんだか変な、白っぽいものが木立のかげからチラチラみえます!

佐伯
 「え、よく見えないよ・・・ あ、いた! なんか白っぽい大きいものが見える!!!」

 (撮影 苫小牧研究林Nさん) 


と、ここで、こちらの建物に全速力で走ってくる人影を発見。

O君
 「あ、あれは研究員のHさんだ。Hさんも未確認生命体に出会ってびっくりして逃げてきたんだ。」

(ややあって、Hさんが部屋にかけこんでくる)

Hさん
 「いやー、びっくりした!  ちょっと散歩してたら、いきなり、変なもんがでてきてびっくりしたよ。あれ、何だったんだろう・・・。」

O君
 「やっぱり気になるなあ。勇気を出して、みんなで確認に行ってみよう!

(部屋にいたN君も合流し、みんなで未確認生命体を確認にいく)

O君
 「あ、佐伯さん、いました!

樹木園わきにたたずむ未確認生命体


一同
 「あ、あれはもしや・・・・ トマチョップだ!!!

トマチョップは、苫小牧市のゆるきゃらです。なんと、苫小牧研究林に、カレンダーの撮影に来ていました!

熱烈歓迎をうけるトマチョップ

わたしもツーショットで撮影してもらっちゃいました!
トマチョップのほっぺたは、とってもあったかかったです。

せっかくなので、トマチョップに、研究林の看板の前でポーズをとってもらいました。


カメラマンの方いわく、「ここは苫小牧市で一番きれいな場所なので、撮影させてもらっていたんですよ。」とのこと。

なんだかうれしいですね。 めでたし、めでたし。 


参考URL

トマチョップブログ
http://ameblo.jp/tomachopu/

苫小牧研究林
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~exfor/Toef/hp_j/0_top.html










 

2013年11月28日木曜日

北大時報で野外シンポジウムが紹介されました!

皆さん、こんにちは、片山です。
このブログでも既に紹介しましたが、今年、8月に天塩・中川研究林で、9月には和歌山研究林で野外シンポジウムが開催されました。その時の様子が、北大の学内向け広報誌「北大時報」に紹介されました!


天塩・中川編はこちら。
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/news/jihou/jihou1309/mokuji.html

エクスカーションの時に撮った写真が、表紙を飾っています!


和歌山編はこちら。
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/news/jihou/jihou1310/715_26.html

インターネット上で見れますので、是非ご覧になってください!


私の住んでいる名寄市では、今朝、今シーズン初めての除雪車が活動していました。ついに、冬が始まります。写真は北大研究林の北管理部です。ぜひ、極寒の冬にも、北大研究林に遊びに来てください!




2013年11月22日金曜日

札幌研究棟より~初冬

事務担当の山崎です。

札幌では、11月8日に初雪が観測されました。
平年より11日遅く、昨年(11月18日)より10日早いそうです。

現在の札幌研究棟の姿をご紹介します。


11月22日撮影
さ・・・さみしい姿に・・・・


9月はこんなにhttp://frs-kyoten.blogspot.jp/2013/10/blog-post_5664.html 葉が繁っていたのに、すっかりどこかへいってしまいました。
実も落ちてしまったようで、カラスとご対面することもなくなりました。



先日は業者の方にツタの剪定をしていただきました。


高所での作業、ご苦労様です

すっきりとした姿で、冬を迎えます。

2013年11月9日土曜日

野外シンポジウム@和歌山研究林 後編

こんにちは。再び佐伯です。前回に続き、和歌山研究林で行われた野外シンポジウムの様子をお伝えします。

〇森の足元でうごめくモノたち

 「♪ ミミズだーって、ヤスデだーって・・・♪」 そう、みんな生きているんです。友達なんです。
 不肖なわたしはついつい、このことを忘れてしまうのですが、土壌生態系について研究されている小林真(こばやしまこと)さんとお話ししていると、土壌動物の世界の奥深さに、しばしば驚かされてしまいます。このセッションでは、足元の土壌の様子、そしてそこでうごめく生き物たちの様子を学びました。


冒頭のポスター説明の様子です。
左のオレンジの服を着た方が、セッションを担当された小林さんです。
今秋より、中川研究林に来てくださることになりました。 (撮影:太田民久さん)


実際に土をほってミミズを探します。
植物の根がはっているので、森の土を掘るのってなかなか難しいんですよね。
実際にミミズが出てくると、「あ、いた!」という声があがりました。

採集した土壌を水の中でふるいにかけ、団粒構造の様子を観察します。
ゆーらゆーら揺らしていると、だんだん、土の構造が見えてくるんですよ。
 (撮影:太田民久さん)
〇幹だって呼吸する!

このブログで再三、おもしろい記事を書いてくださっている片山歩美(かたやまあゆみ)さん。いつも明るく周りを盛り上げてくれる彼女は、みんなの人気者です。でもそれは、彼女のほんの一面にしかすぎません。彼女は、「森林の炭素循環」を専門とする、バリバリの研究者なんです! 
 樹木は葉や幹や枝で呼吸をし、また葉の光合成を通じて二酸化炭素を吸収して酸素を大気中に放出しています。片山さんのセッションでは、この基本的かつ重要な仕組みを調べるための調査を体験しました。

 
片山さん(手前、青とピンクのジャケットの方)が、ご自身でつくられたという測定機械を
幹にあてて、幹の呼吸速度を測定します。いろいろな大きさの樹木を測って、
呼吸速度の違いがないか調べてみました。(撮影:太田民久さん)

〇樹木の形はどうして決まる?

このセッションでは、ジャングルジムという、樹冠観測用のタワーにのぼって、アカガシの梢(こずえ)の様子を観察しました。一見、同じように見える樹木の枝葉ですが、よく見ると、樹木のどの場所についているかで形が変化しているんですね。ジャングルジムに登って、実際に枝や葉を採集し、室内で特徴を計測してその違いを学びました。

ジャングルジムにのぼっていく学生さんたち。

室内での作業の様子です。実際に葉をもちかえって、担当の長田典之さん(苫小牧研究林)から、
葉の大きさや枝の計測の仕方を学びます。
長田さんは、ジャングルジムなどを使って、樹木の葉や枝の形態を明らかにするご研究をされています。



あ、妖精さん?!  (ジャングルジムにときどき出てきてくれるらしいです!)
 

〇光でみる葉っぱの健康

さてさて、野外シンポジウム、ほんとに盛りだくさんで楽しいですね。最後にご紹介するのは、中路達郎(なかじたつろう)さんのセッションです。中路さんは、リモートセンシングという光学技術を使って葉の様々な形質を測定する研究をされています。セッションでは、実際にヒサカキの葉を使って、厚さや色、葉緑素の量などを測定し、環境の違いが植物の葉の性質にどのような影響を与えるかについて考えました。

異なる環境で育ったヒサカキのシュート(枝と葉)をならべて、次々と形質をはかっていきます。
はかったデータを白板に書き出していきます。 むむっ。なにか傾向はあるかな?
セッションの行われた展望台からの風景です。
澄み切った青空と、美しい風景に囲まれて森のことを考える -
野外シンポの醍醐味ここにあり、といった感じですね。

このあと、恒例のアンビシャスセッションが行われ、参加学生さんたちのとっても「アンビシャス」な研究計画が発表されました。懇親会も盛り上がり、スタッフ、学生の垣根を越えて交流の輪が広がりました。

みなさん、新学期に入ってそれぞれの生活に戻られていると思います。野外シンポでの体験が参加してくださった学生さんたちの心に長く残ってくれたらうれしいです。またどこかでお会いできるのを楽しみにしています!

どんぐりポーズで記念写真。
(もちろん、ジャングルジムで観察したアカガシのどんぐりですね!)

参考URL

和歌山研究林の野外シンポ報告ウェブサイト
http://www.za.ztv.ne.jp/hokudai/yagaisymposium/2013.html
※こちらもぜひご覧ください。 きれいな写真がたくさんのっています!

北大研究林野外シンポジウムHP
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~yagai/bosyu/2013/

教育拠点事業 教員紹介HP
http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~kyoten/member.html
※各教員の専門、研究室紹介などへのリンクがはられています。


2013年11月5日火曜日

野外シンポジウム@和歌山研究林 前編

みなさん、こんにちは。佐伯です。

今回は、9月23日~27日に和歌山研究林で行われた「野外シンポジウム ~森をしらべる~ 南紀―古座川(和歌山研究林)編」の様子をご紹介します。和歌山研究林、ブログ初登場です! 森も、川も、人々も、とにかく素敵な和歌山研究林。その魅力を、参加学生さんたちとたっぷり堪能してきました。記事を書いていたら、なんだか内容盛りだくさんになってしまったので、前編、後編の2回に分けてレポートします。



和歌山研究林の庁舎です。文化財にも登録されています。

野外シンポジウムとは、北大研究林が毎年開催している、学生さん向けのフィールド研究体験イベントです。今年は、天塩・中川(http://frs-kyoten.blogspot.jp/2013/09/blog-post.html)に続き、和歌山でも開催されることになりました。全国各地の大学から11名の学生さんが来てくださり、4泊5日の日程で様々なセッションを体験していただきました。


〇森林軌道にのって・・・
和歌山研究林はとても傾斜の急なところにあります。常緑広葉樹林と人工林が主体ですが、森の中を徒歩で行き来するのはとても大変です。そこで、研究林内には森林軌道というモノレール風の乗り物が設置されており、急な斜面をのぼったりおりたりできるようになっています。わたしも乗せていただきましたが、これは楽しい! 森林軌道から見える木々の風景は、足で歩くのとはまた違ってとても新鮮でした。


森林軌道。


〇コウモリたちの宴
夜には、和歌山大学の福井大先生に担当いただき、バットディテクターという機械をつかってコウモリの超音波をききとりました。「ピピポパポ・・・」 すごい! 宇宙人と交信しているみたい!! (ちなみにこれは、キクガシラコウモリの超音波をひろった音です。) セッションの後半には、福井先生がつかまえてくださったユビナガコウモリをみなで観察しました。野生の生きたコウモリを間近で見られるなんてそうありません。学生さんからは、とぎれることなく質問が出ていました。


ユビナガコウモリです。かわいい・・・。
(って、動物が出てくるたびに書いているような気がしますが、ほんとにかわいかったです。)

〇カルシウム足りてますか?
みなさん、カルシウム足りてますか? イライラしたとき、カルシウムとるといいっていいますよね(※) このカルシウムをとても必要とする生物がいます。それは、エビやカニといった甲殻類です。この殻をつくるのに、カルシウム、足りてないとダメなんです!
 カルシウムは、自然界では、土壌や水に溶けて存在しています。その濃度は土地によって様々なのですが、和歌山研究林は、カルシウムのとても少ない土地柄なのだそうです。でも不思議なことに(?)、スギが生えていると、地面に堆積した落ち葉中のカルシウム濃度が高くなり、エビやカニの数が各段に多くなります。この興味深い現象を研究されている苫小牧研究林の太田民久さん(博士課程3年)と一緒に、みんなでエビやカニを探す調査を行いました。


採集した石や落葉を仕分けながら、エビやカニ、ヒメフナムシなどを探します。ヒメフナムシは、やはりカルシウムを多く必要とする土壌性甲殻類です。セッションでは、川と陸、双方で探査を行い、
森林タイプと個体数との関係を考察しました。

あ、サワガニがいました! 赤ちゃんもいますよ!!! カルシウム、足りてるようですね。
(※:記事を書いたあとに教えていただいたのですが、イライラとカルシウムの関係には諸説あるそうです。)

〇哺乳類の痕跡調査
3班に分かれて、野生動物の痕跡を探しにいきました。班ごとに、それぞれタイプの異なる森林に出かけ、どんな場所に動物たちが暮らしているのか考えるのが目的です。現地では、シカの糞塊を探したり、自動撮影カメラにうつっていた動物を確認したりしました。普段はなかなか目にすることのできない動物たち。こうした調査を通じて、その様子を知ることができるのですね。


自動撮影カメラでとらえたシカの映像です。

セッションを担当された揚妻直樹(あげつまなおき)和歌山研究林長です。
揚妻林長は長年、シカ、サルをはじめとして多くの野生動物の生態を調査されてきました。夜のポスターセッションでは、和歌山研究林でみられる野生動物のハビタット調査の結果をご紹介くださり、
学生さんと熱いディスカッションが展開されていました。

〇空の上から眺めよう
 
和歌山研究林のある平井集落は、ゆずの生産で知られています。山あいの小さな集落ですが、歩いてみると、ゆず畑のほか、きれいな風景がたくさんあって、とてもここちよいです。このセッションでは、和歌山大学の院生の方々と一緒に、コンピューター上の地図情報を参照しながら、集落内をゆったり散策しました。うーん、いい天気で気持ちよかったです!


平井集落。


タブレット式のコンピューターに入った情報をもとに、集落を散策します。
ちょっとだけ寄り道して、平井集落オリジナルのゆずアイスクリームも食べに行きました。
(あ、書いちゃった!)
 
(後編に続く・・・)


参考URL
和歌山研究林野外シンポジウム報告サイト
http://www.za.ztv.ne.jp/hokudai/yagaisymposium/2013.html
※こちらもぜひご覧ください!